地域情報(街・人・文化)
2020年8月7日更新
住民でつくる水と緑のまち -宜野湾市伊佐区-
[歩いて見つけた!地域の住み心地(地域活動編)-39-]中南部への交通アクセスがよく、スーパーなどの生活に必要な施設が充実している宜野湾市伊佐区。住宅街の一角にある水路が流れる遊歩道「ふんしんせせらぎ通り」では、沿道に住む住民らで結成した「せせらぎシーサー通り会」がボランティアで緑化活動を行う。また、これまで防災に力を注いできた自治会は新たな会長を迎えて防犯にも注力。子どもが安全に遊べる地域づくりに取り組む。
1 ふんしんせせらぎ通りの様子。幅6メートルほどの遊歩道に水路や植栽帯、太鼓橋などが整備されている。通り会が植栽手入れや水草除去などをしている
地域のお散歩人気コース! 澄んだ水がさやさやと流れて気持ちいルン♪ |
子どものにぎやかな声響く
宜野湾市伊佐区は、国道58号と宜野湾バイパス、県道81号線が地域内を通り、中南部への交通アクセスがいい。国道58号より海側の区域は区画整理によって住宅街の中の道も整然としていて、一戸建て住宅やアパートのほか、バイパス沿道にはマンションも立ち並ぶ。地域内にはスーパーやパン屋、飲食店のほか、診療所などもあって生活に必要な施設がそろう。
活動して交流も深まる
この地域にはランドマークとも言える場所がある。住宅街の中、さらさらと水が流れる遊歩道「ふんしんせせらぎ通り」だ。くねくねと曲がる水路の水は澄み渡り、手入れの行き届いた花壇には草花が咲き、訪れる人を癒やしてくれる。車が通らないため、下校中の子どもたちが魚取りなどして遊んでいて、楽しそうな声が聞こえてくる。
「日中は地域内外の保育園児たちが散歩に来るし、土日も子ども連れの家族が来て、散歩やウオーキングなどを楽しんでいる。夜は家の中にいてもせせらぎが聞こえて心地いい」と話すのは、この通りの緑化活動に励むせせらぎシーサー通り会会長の宮城眞光さん(78)。「地域の魅力の一つである水の豊かさが感じられる通り」と誇らしげ。
活動するのはこの人たち!
せせらぎシーサー通り会
左から会長の宮城眞光さん、事務局長の伊佐真英(77)さん、会計の伊佐明さん(70)
以前の通りはごみが散らばり、植栽の樹木は十分に手入れが行き届かず、うっそうとして根も張り出していたという。同通り会事務局長で、発起人でもある伊佐真英さんは、「水は枯れることも濁ることもない。他地域では見られないこの魅力を生かし、みんなに親しまれる場所にしたい」と、結成前から個人で通りの清掃をし、木を間引き、土を整えて花壇にするまで5年をかけて手入れした。
個人の活動が広がり、2019年7月に同通り会を結成。遊歩道に面する住宅に住む16人が会員となってボランティアで植栽や水路の手入れをしている。ことし4月には「花と緑のまちづくりコンクール」で沖縄タイムス社長賞を受賞した。伊佐さんは「たくさんの人が来てくれて、今では花壇を手入れしていると『ごくろうさま』とお茶をくれる人もいて、やりがいを感じている」とほほ笑む。
宮城さんは「通り会を結成してから、隣近所の住民とも知り合え、交流が深まった。コミュニティーができれば安心して暮らせる。地域の人は呼びかけに協力してくれ、穏やかな人ばかりなのも、伊佐の魅力だと思う」と話す。「今後の活動ではもっと緑を増やし、コロナが落ち着いたら、子どもたちのためにこいのぼりやイルミネーションもしたい」と意欲を語った。
有志で防犯に取り組む
「地域の人々はつながりが強く、協力的。自発的に活動してくれる人もいてありがたい」と話すのは、伊佐区自治会長の安良城かつみさん(60)。区立幼児園の保育士を務め、ことし5月に自治会長に就いた。前自治会長が力を入れていた防災の取り組みも引き継ぎ、「子どもたちが安心・安全に遊べるまちにしたい」と防犯活動にも力を入れる。
伊佐区新自治会長の安良城かつみさん
住民が自発的に取り組む防犯活動の一つに夜間パトロールがある。毎月13日を「伊佐の日」として、その日の夜に青年会OBらが地域内をパトロールする。地域の住民からは「パトロールのおかげで夜間に出歩く子どもたちを見かけず、安心できる」と好評だ。また、青色の回転灯が付いた車で防犯パトロールする「青パト」は人手不足のためしばらく休止していたが、9月から再開を予定している。「子どもたちの下校時間に合わせて活動し、安全に帰宅できる環境をつくりたい」と話す。
毎月13日「伊佐の日」に行われる夜間パトロール。40~50代の青年会OBが地域を回る
安良城さんは「小さな活動からどんどん地域に広がってほしい。高齢化が進み活動できる人が限られていて、若者も活発に参加してもらえるとうれしい。区民みんなで安全な地域づくりに取り組みたい」とほほ笑んだ。
エリアマップ
学校区地域内全域、小学校区は大山小学校。中学校区は真志喜中学校。
2 宜野湾バイパスを大山方面から見る。沿道にはマンションなどの中高層集合住宅が建つ。写真左手にある伊利原市営住宅は津波時の一時避難ビルになっている
3 宜野湾バイパスから国道58号につながる道。幅が広い道路沿線には歯科や内科などのクリニック、飲食店などが並ぶ。不動産事業者に賃貸動向を聞くと、利便性のいい地域のため、アパートなどは入居者がすぐ決まる状況だという
取材/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1805号・2020年8月7日紙面から掲載