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2025年8月22日更新
光と影の揺らぎ 本質に迫る写実|アートを持ち帰ろう(53)
文/本村ひろみ
そこに在る出来事をつぶさに観察

「光と影」
500000円(税込み)
1000ミリ×803ミリ
1000ミリ×803ミリ
木々が茂る通りを歩くと足元に光と影が揺らめく。風が吹くと影もさざめく。見上げるとまぶしい光も、影をともなう地面ではやわらかい。目に映るこの世界は美しい。そんな瞬間を園田は作品に落とし込む。
油彩画家・園田明華。彼女の制作テーマは「存在」。「そこにものが在(あ)るということ。存在しているということ。それ自体が美しい出来事」と園田は言う。作品『光と影』には、傾いてきた午後の光、湿度を感じる日陰の植木鉢、木漏れ日、枝から落ちたブーゲンビリアが描かれている。何げない日常の風景から美を見いだし、その本質を抽出して描くリアリズム。どの作品からも対象をつぶさに観察し、正確に描きとろうと試みる彼女の姿勢が伝わってくる。
日々淡々と描き留める
今年1月に開催された初めての個展「-光と影-」。園田は制作について「光の反射、影のかたち、面の移り変わり、ものの厚み。植物でもグラスでも、こういったことに着目すると描くところがいっぱいある。私にとっては、何を描こうか迷って手を止めている時間がとにかくもったいない。目の前にある美しいものたちを日々淡々と描き留める。そんな制作スタイルです」と語ってくれた。静謐(せいひつ)な印象の彼女の絵は、構成、緊張感、質感で見る者を惹きつける。画家のまなざしは冷静でありながら、描かれた世界は物語を感じる。
今は花屋に出かけてモチーフを探すのが楽しみだという園田が、今後どんなモチーフを描いていくのか、次回の個展が楽しみだ。

「在る」
100000円(税込み)
455ミリ×273ミリ
455ミリ×273ミリ

「静物」
100000円(税込み)
455ミリ×380ミリ

「バラ」
37500円(税込み)
273ミリ×273ミリ

「葉の観察」
50000円(税込み)
333ミリ×242ミリ
油彩画家・園田明華(そのだはるか) 那覇造形美術学院 非常勤講師
今後の展示会情報はInstagramで
https://www.instagram.com/sonoda_haruka/
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2068号・2025年08月22日紙面から掲載
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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。