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2023年6月2日更新

【3】コンクリートのひび割れ②(補修方法)|幅により3工法使い分け[マンション修繕のススメ]

文・あかみね かつじ/一級建築施工管理技士
前回(1948号、5月5日発行)は、コンクリートに発生するひび割れの原因や仕組みを紹介した。今回はその補修方法を紹介。一般的にひび割れの幅によって3種類の工法を使い分けており、0.3㍉以上なら早めの対応が必要となる。



覆う、注入、削って充填

コンクリートのひび割れの補修方法は主に「ひび割れ被覆工法」「注入工法」「カット充填工法」の三つ。表面のひび割れ幅によって使い分けます。

まず、ひび割れ被覆工法は、下地調整材などで割れ目を覆う工法。ひび割れをふさぎ、広がらないようにします。表面のひび割れ幅が0.2㍉未満の小さなひび割れに適しています。

次に、注入工法。ひび割れ幅が0.2㍉以上や、内部のひび割れがどこまで広がっているか分からない場合などに用いられる工法です。割れ目にエポキシ樹脂などを注入し、分断されたコンクリートを一体化させて復元します。手動式と機械式、自動式低圧注入工法がありますが、注入材料を管理しやすい自動式低圧注入工法が用いられることが多いです。ひび割れの上に250㍉間隔に低圧注入器を取り付けて自動注入することで、微細なひび割れにまで注入できます。

最後にカット充填工法。ひび割れ幅が0.3㍉以上の補修で用いられる工法です。ひび割れに沿ってU字型にカットし、そこにシーリング材やエポキシ樹脂などの補修材を充填していきます。注入工法と充填工法のどちらを使うかは、現場の状況によって現場監督が判断して使い分けます。
 
ひび割れ幅を測る様子。写真の場合は0.15ミリほど


工法によって費用に差

補修にかかる費用の相場について、インターネット上では「4000円/㍍」などと出ています。ひび割れの補修だけならこの金額でも可能ですが、実際には下地調整や塗装などもあるほか、マンションの場合は足場の設置が必要になることも多く、金額はさらに高くなります。

また、費用は工法によっても異なり、ひび割れ被覆工法が最も安く、カット充填工法が最も高くなります。ただし、どの工法を、どの程度のひび割れ幅の場合に採用するかは、基準が決められているわけでないため、各業者によって判断が異なります。

そのため複数社に見積もりを依頼した場合も、見積書の金額だけでなく、どの工法を採用しているかも確認するといいでしょう。

補修をする目安としては、ひび割れ幅が0.3㍉を超えているかどうか。0.3㍉以上なら早めの対応が必要です。それ以下なら表面がひび割れているだけの可能性が高いのでしばらくは大丈夫だと思われますが、そのひび割れが大きくならないか観察はしておきましょう。


 ひび割れ補修の方法 
 

ひび割れ被覆工法(ひび割れ幅0.2ミリ未満)

ひび割れの表面を下地調整材などで覆う工法。最も安価。




 

注入工法(ひび割れ幅0.2ミリ以上、内部のひび割れ範囲が不明)

割れ目にエポキシ樹脂などを注入する工法。自動低圧注入工法なら、細かい部分まで注入できる




カット充填工法(ひび割れ幅0.3ミリ以上)

ひび割れ部分の表面をU字型に削り、シーリング剤などの補修材を充填していく工法。費用は3工法のうちで最も高額になる。




 ひとことアドバイス 

・工法によって費用に差が出るので、どの工法を採用しているか見積書で確認を。
・ひび割れ幅が0.3㍉以上なら早めに対応を。




あかみね・かつじ/TNOコンセプト㈱・本気でペイント事業部営業部長、一級建築施工管理技士

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1952号・2023年6月2日紙面から掲載

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