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2022年3月18日更新

【沖縄】アスベストがあってもリノベできる?|今ある家をバージョンアップ[23]

文・森岡瑞穂(リノベーション協議会沖縄支部 会員)

case23「建材に含まれるアスベスト」

◆相談&課題

自宅の建材にアスベストが使われている。
どうしたらいい?

◆リノベのプロが提案!
住む分には問題ない。
改修する際は専門的な知識がある会社へ相談を

2006年以前の建物は使用の可能性

現在、アスベストは製造も使用も全面的に禁止されています。しかし、2006年9月以前に建築・リフォームされた建物には、マンション・一戸建て問わず、アスベストを含む建材が使用されている可能性があります。例えば、ジプトーン天井やビニール床タイル、壁紙、下地材の石こうボードにも含まれている場合があります。

ただし、アスベストは空気中に飛散したものを吸い込むことが健康被害を及ぼす原因となり、そこにあることが問題となるわけではありませんので、まずはご安心ください。

というのも、個人住宅で飛散性のアスベストが使われていることはほとんどなく、多くが内装材等に混ぜ込まれた非飛散性だからです。しかし、リノベーションなどで解体工事をする際には十分な注意が必要です。

解体できるのは特定業者のみ

階アスベスト含有の有無は、設計図書(建築時の施工図や材料表等)の確認や、有資格の専門家(建築物石綿含有建材調査者など)による目視での調査で、ある程度の予測は可能です。その結果、含有の可能性があるものが見つかれば、検体の分析調査を専門家に依頼して含有の有無を明確にしましょう。

アスベストが含まれていれば、その箇所の解体は飛散を防ぎながら作業する必要があり、特定の業者しか行うことができません。

アスベストについては人々の安心安全を守るために規制を強化する法改正が度々行われ、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理および清掃に関する法律などで予防や飛散防止等が図られています。直近では、2022年4月以降に一定規模の改修工事を行う場合は、解体工事前にアスベスト調査を行い、工事着手前に自治体に調査結果の報告をすることが義務づけられました。

法令順守は、施工会社はもちろん、施主の義務でもあります。工事を依頼する際には、適切な手順を踏んで調査・処理をしているか確認しましょう。


アスベスト使用の可能性がある、ビニール床タイル(上)とジプトーン天井(下)。アスベストが含まれた建材やその製造期間は特定されているため、建物の築年数によってアスベストを含む建材が使用されている可能性を絞り込むことができる

内装をDIYする時も注意

最近、誰もが気軽に行えるようになったDIY。ですが、自宅の内装材を切断したり穴を開けるなど安易に解体・改修作業を行うのは注意が必要です。アスベストが含まれていることを知らないまま作業に関わった家族や近隣住民に健康被害のリスクが出たり、家庭ゴミと同じように処分してしまって広範囲への拡散へとつながる可能性があるからです。

自分で工事を検討している場合も、手をつける前にまずは専門的な知識を持つ会社への相談をおすすめします。=随時掲載



執筆者
もりおか・みずほ
大阪の堺で育った関西人。立命館大学卒業後、Arts&Craftsへ入社。住宅系資格を有するが資格には頼らない仕事ぶりで、毎日奮闘中。沖縄で嫁入りし、地元精通ももう間近! リノベーションした自宅に住む。


◆Arts&Craftsの強み
1994年設立、日本におけるリノベーションの黎明(れいめい)期から活動。個人住宅のリノベから空室が目立つビルやアパートの再生コンサルティングまで手掛ける。沖縄事務所は老朽化したホテルを再生し運営もするSPICEMOTEL内。北中城村喜舎場1066 電話098-975-8090
https://www.a-crafts.co.jp



リノベーション協議会とは 消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的に、2009年7月に発足したリノベーション業界団体。全国1000社弱の企業等が参画し、優良なリノベーションの統一規格「適合リノベーション住宅(R住宅)」を定め、普及推進している。その年のリノベNo.1を表彰する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」も年々注目が集まっている。https://www.renovation.or.jp

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1889号・2022年3月17日紙面から掲載

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