リノベ
2020年8月21日更新
ローンが残っていても借入できる?|今ある家をバージョンアップ[4]
実家を2世帯住宅にリノベーションしたいというご相談の中で、「まだ実家の住宅ローン支払いが残っている」という話は少なくありません。そして結論から言えば住宅ローンが残っている場合でも、リノベーションによる新たな借り入れというのは意外と難しいものではありません。その方法として大きく分けて二つのパターンがあります。文・豊見山智 (リノベーション協議会沖縄支部 副支部長)
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ローン残+リノベ費用を借り入れ
①共有名義 or ②親子間売買で子名義に
実家を2世帯住宅にリノベーションしたいというご相談の中で、「まだ実家の住宅ローン支払いが残っている」という話は少なくありません。そして結論から言えば住宅ローンが残っている場合でも、リノベーションによる新たな借り入れというのは意外と難しいものではありません。その方法として大きく分けて二つのパターンがあります。
借り換えによるローンの組み替え
親世帯の現在のローン残高とリノベーションにかかる費用の合算金額で、親子両世帯で新たに住宅ローンを組んで借り入れを行うという方法です。住宅の名義をどうするかという事も重要になりますが、こちらが一般的な方法と言えます。
上記の対策をしないまま名義を変更してしまうと、贈与税が発生することもありますので十分な検討が必要です。
方法としては親から子への名義変更ではなく、資産の共有という形で「共有名義」に変更することでスムーズに進むケースが多いです。例えば親に借り入れが無い状態で共有名義に変更すると、子が親から資産を譲渡されお金をもらったのと同じ形になりますが、親に借り入れが残っている状態で共有名義に変更する場合は負債(借入金)も一緒に譲渡されるので、借り入れが無い状態よりも少ない資産の譲渡になり、贈与税の対象とならない場合があるからです。
親子間売買によるローン組み替え
もう一つが、親子間売買でローンを組み替える方法。親から子へ名義を変えたい場合や、親のローン残高が多い場合に有効と言えます。具体的には実家を中古住宅とみなして親から買うというやり方です。こちらはローン残高とリノベーション費用の合算金額で子世帯が住宅ローンを組みます。そこから売買代金を親に支払い、親はその費用で住宅ローンを完済する形です。
ただし、親子間売買の場合はローン審査等が非常に厳しくなりますので、プロに相談しながら進めることをお勧めします。不動産の価値とはあくまで主観的なものではありますが、一般的な価値、いわゆる市場価格とかけ離れた売買設定をしてしまうと、利益がある方に不動産所得税が発生してしまうからです。
例えば実家を建てた金額が3000万円だった場合、ローン残高が500万円だからと親から500万円で購入したという事であれば、市場価格からかけ離れたものと予測され、贈与としてみなされる場合もあります。
親子間売買でも、ローン残高と市場価格との差が少なければ通常売買と考えられますので、そういったケースに有効な方法の一つであるとお考えください。
執筆者
とみやま・さとる
1977年生まれ、宜野湾市出身。2008年、LSDdesign株式会社参加。取締役。誕生日が3月3日のひな祭りです。
◆LSDdesignの強み
建築・商業施設・リノベーションに始まり、プロダクトやグラフィックまで多岐にわたるジャンルを通して、“モノヅクリ”へと関わってきました。常に新しいことにチャレンジし、イノベーションし続けるクリエーティブな集団として、デザインと向き合いながら成長したいと思います。
宜野湾市上原2-3-6
098-894-4282
https://www.lsd-design.co.jp
■リノベーション協議会とは 消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的に、2009年7月に発足したリノベーション業界団体。全国1000社弱の企業等が参画し、優良なリノベーションの統一規格「適合リノベーション住宅(R住宅)」を定め、普及推進している。その年のリノベNo.1を表彰する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」も年々注目が集まっている。https://www.renovation.or.jp
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1807号・2020年8月21日紙面から掲載