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2020年6月19日更新

リノベ後の2世帯 名義はどちらに?|今ある家をバージョンアップ[2]

ほどよい距離感で各家族が暮らせる2世帯住宅。親所有の建物をリノベーションする際は、名義にも気を付ける必要があります。どんな場合に必要で、誰に相談すればいいのか。ちょっと分かりにくいですよね。今回は実家を2世帯住宅にリノベーションした事例から、名義変更が必要な場合と予算内で2世帯住宅をかなえるポイントをお伝えします。
文・佐藤ともえ (リノベーション協議会沖縄支部 会員)

「親名義の築40年の実家」を「増築して2世帯」に

◆相談&課題
息子がローン組み、父所有の実家を改築。
名義変更は必要? 予算内に収めるには?

◆リノベのプロが提案!
贈与税対策で、父から息子へ名義を変更。
玄関共用し、間取りでプライバシー確保

名義は基本「資金負担が多い方」

名義変更は、誰が資金を負担するかがポイントになります。親名義の実家(築40年)を2世帯住宅にリノベーションした今回の事例は、ご子息がローンを組んで資金を負担。「名義変更が必要なのか、進め方も分からない」とご相談をいただきました。

実家の所有権はお父様にあるため、そのままご子息が110万円以上のリフォーム資金を負担すると親に対する贈与とみなされ、贈与税がかかります。これらのことをお伝えした上で税理士をご紹介。親名義・子名義、両ケースでの節税効果を比較し、今回は生前贈与による名義変更を行っていただきました。

名義変更は贈与税対策の一つで、子世帯が資金を負担する場合は必ず確認していただきたい項目です。ご子息も「相談して良かった」と安堵され、私たちもホッとしました。

家族で話し合い優先順位を決定

高額なイメージのある2世帯住宅へのリノベーションですが、ポイントを押さえれば予算内に近づけることは可能です。完全分離を希望されるケースは多いのですが、住宅設備や玄関をそれぞれ新設すると費用も2倍かかり、本当に変更したい箇所の施工ができなくなってしまうこともあります。今回は玄関を共用にし、お互いのプライバシーは守れるよう間取りを工夫。子世帯となる2階はフルリノベと増築、親世帯の1階は部分的に手を加えて表装を整えました。ご家族がじっくり話し合って優先順位を決めたので、自然素材を使いながらも1500万円の予算内に収めることができました。

既存利用で「思い」も受け継ぐ

古くなっていても、家族との思い出がたくさん詰まっているご実家。今回ご両親が既存の床をとても大切にしておられ、耐久性にも問題がなかったため、そのまま使わせていただきました。リノベーション後には「明るくなった、広く感じる」とうれしそうなご様子でした。

昔の面影を残しつつ、今の生活に合った空間に生まれ変わるリノベーション。既存利用は費用を抑えるだけでなく、思いを受け継ぐという側面も持ち合わせています。まずは心地よい暮らしに必要なこと、譲れない部分をご家族みんなで話し合ってみましょう。




▲1階は和室を挟んで親世帯と子世帯に分け、東側に子世帯寝室と子ども部屋を設けた。2箇所にドアを付け(赤丸部)、互いの行動が気にならないよう配慮した




▲2階は増築を想定し建てられていたため、既存の柱までで10㎡未満の増築(緑丸部)。ウオークインクローゼットと洗面室(下写真)にした。






執筆者
さとう・ともえ
島根県生まれ。インテリアコーディネーター資格を有する。「住まい方」から家を考える近藤典子の暮らしアカデミーを修了。間取り提案からインテリアまでトータルでコーディネートする「in tree」を夫婦で設立。

in treeの強み
自然素材を使った家づくり。中古マンションを購入し、夫婦で設計・リノベーションした家に暮らしています。ローンのことからデザインまで実生活から得たことをそのままお伝えし、夫婦それぞれの目線から暮らしやすい家の形を考えます。
那覇市小禄5-2-1 501
電話 098-960-4680 
https://www.intree.jp

リノベーション協議会とは 消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的に、2009年7月に発足したリノベーション業界団体。全国1000社弱の企業等が参画し、優良なリノベーションの統一規格「適合リノベーション住宅(R住宅)」を定め、普及推進している。その年のリノベNo.1を表彰する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」も年々注目が集まっている。https://www.renovation.or.jp

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1798号・2020年6月19日紙面から掲載

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