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お住まい拝見

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2019年6月14日更新

小さく楽しく機能的|e.co room 

[お住まい拝見 |10坪の事務所+15坪の住まい]建築士事務所を営む平良安高さん(50)・智子さん(48)夫婦。左が10坪の事務所で右が15坪の住居。二つの小箱はテラスでつながる。屋外空間やロフトを用いた、機能的で遊び心あふれる空間を訪ねた。

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平良夫妻が営む建築士事務所と住居。来客や家族が気兼ねしないよう2棟に分けた。奥には岩山を望むテラスがある。ライトアップや植栽もこだわり、建物のさまざまな表情を楽しむ


秘密基地みたい

平良さん宅
RC造/自由設計/家族4人

7年前、住居兼事務所を建てたことで「家族4人、一緒に過ごす時間が確保できた」と安高さん。だからこそ、顔が見える15坪の住まいが「ベストの広さ。空調の効率も良いし、建築費も抑えられた。家事動線も短くて楽」。小さいメリットを実感している。

家造りのきっかけは、小学校低学年だった長男の言葉。夫婦とも建築士で、2人の息子を両親に預けて夜中まで仕事をすることもあったが、「なんで一緒にいられないの?」との涙声が胸に刺さった。「家族との時間を楽しめる家を建てようと決めたんです」。

敷地北側に隣接する小山に一目ぼれし、北谷町の土地を購入。「借景として生かす設計をしよう」と、岩肌を望む大きなテラスを設けた。テラスを三つの建物(家、事務所、トイレ&倉庫)で囲み、その建物を柱にして屋根を設置。バーベキューグリルやバスケットリング、革張りのソファがあるそこは庭であり、ダイニングであり、リビングでもある。キッチンからテラスへ飲み物を直接受け渡しでき、「重宝しています」と智子さん。パーティールームにもなる柔軟な空間のおかげで、「建物は小さくても事足りる」。



岩山を望むテラス。バーベキューグリルや流し台、ハンモックや革張りのソファまであり、家族や事務所スタッフがリビングとしてくつろぐ。シダやヘゴなどを植栽したり、テラスの雨どいから流れ出る水を滝にしたり、少しずつ手を入れて自分たち好みの景色を作っている最中だ


キッチンとテラスは窓でつながる。料理やドリンクが直接受け渡しできる。はしごを登ると屋上露天風呂がある


夜になると中庭の植栽がライトアップされ、バーのような雰囲気。ここで夫婦水入らず、ときには友人を呼んで晩酌を楽しむ


収納や家具 ほぼ造作
家も事務所もシンプルな箱型で、ワンルームのような造り。収納が壁にすっぽり収まっていたり、空間にフィットした造作家具を多用し、スッキリした印象だ。住居のロフトも造作家具の一つで、取り外しが可能。今は高校生になった息子たちの勉強室や寝室、ウオークインクローゼットとして使っている。


リビングからロフト側を見る。上部は寝室や次男の勉強室、下は長男の勉強室とウォークインクローゼットとして使用。写真手前のソファなど、家具はほぼ造作

料理好きの平良夫妻、キッチンは特にこだわった。コンロ横には業務用の横型冷蔵庫を置き、作業スペースとしても利用。置くものを厳選して緻密に収納計画を立てただけあり、食器棚やごみ箱に至るまでぴったり収まっている。

小さな空間をいかに快適に使うか、設計の過程は「秘密基地をつくっている感覚だった」と夫妻。そのワクワクが随所に現れていた。



住居のキッチンとリビング。無駄がなくコンパクト

 

ここがポイント
省エネと効率考え窓配置
皆でバーベキューができるほど広いテラスを確保し、住居と事務所を別々に建て、来客用も含め5台分の駐車場も欲しい。「必然的に建物は小ぶりになる。ならば、小ささを存分に生かした造りにしよう」と、平良夫妻は考えた。


事務所。右側がワークスペースで、テラスを見ながら仕事をする。上のロフトは「煮詰まったときに上がる」と智子さん。子どもがここで宿題をすることもあるそう

「小さいと、経済的だし効率的」と語るのは智子さん。建築費用はもちろん、採光や通風が確保しやすく、省エネにもつながる。そのメリットを最大限に引き出すため「大き過ぎる窓は設けなかった。開口部は空調の逃げ道にもなる。人が出入りできる開口部は玄関と勝手口にとどめた」。代わりにテレビ下の地窓やロフト上部の天窓など、さまざまな高さに設けた窓が風の通り道になり、家中に巡る。智子さんの希望だったカーテン不要の暮らしも実現した。


リビングの壁。テレビ下に開閉できる地窓、上にはすりガラスを用い、採光を確保し壁の圧迫感を軽減。隣のアパートからの視線も気にならない

もちろんテラスの採光・通風にも配慮。岩山と建物に囲まれたテラスにも風が入るよう、事務所を住宅より少し前に出した。こうすることで東南から吹く風が事務所に当たり、テラスに流れ込む。テラスの屋根は「全体を透明なトタンにすると、明るくなり過ぎるし雨天時にうるさい。中央は木にして端だけをトタンにした」と安高さん。

住居屋上には露天風呂を設置。「星空を見ながら入浴しています」。年末はアイスクリームを食べながら浸かるのが恒例だ。

建物は小さくても充実した屋外空間のおかげで、家族も来客も伸び伸び過ごしている。


空を見ながら入れる屋上露天風呂。ポールにタオルなどを掛ける


敷地の北西にあるトイレ。大きなはめ込み窓が岩肌を切り取る


駐車場には蓄光石が埋め込まれていて、夜になるとほんわりと光る。自分たちで施工し、家族の星座の形を模した部分もあるのだそう。


[DATA]
家 族 構 成:夫婦、子ども2人
敷 地 面 積:239.25平方メートル(約72.37坪)
1階床面積:88.56平方メートル(約26.83坪)
建 ぺ い 率:54%(許容60%)
容 積 率:54%(許容200%)
用 途 地 域:第1種住居地域
躯 体 構 造:鉄筋コンクリート壁式構造
設         計:e.co room 平良安高、平良智子
施   工:カナエ技建、他
電   気:(有)大謝名電工
水   道:(株)丸喜設備
屋内・屋外ソファ:山村シート



[問い合わせ先]
e.co room
098・989・6642  
http://eco.room.sc/
※月に一度、同物件(自宅)の見学会を開催している。日程はエコルームのホームページでチェックしよう!
 


撮影/比嘉秀明 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1745号・2019年6月14日紙面から掲載

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この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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