開放的な片流れの家|有限会社 平良建設 × 遠藤現建築創作所|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

お住まい拝見

2019年3月8日更新

開放的な片流れの家|有限会社 平良建設 × 遠藤現建築創作所

[お住まい拝見 |勾配天井で風抜ける木造住宅]kさん(34)宅は、片流れ屋根の木造2階建て。吹き抜けのリビング・ダイニングやロフト風の子ども室が開放的。勾配天井に沿い、高窓へ熱気を押し出す造りで「涼しく過ごせそう」と語る。


南側から見た1階LDKと2階子ども室。人の集う空間は、家族の顔が見えるよう仕切りの無いオープンな造りにした。階段も蹴上げを抜き軽やかな印象


木多用し優しい雰囲気

Kさん宅
木造/自由設計/夫婦、愛犬3匹
「リビングは吹き抜けに」「涼やかな家」「収納はたっぷり」など夫婦の念願をかなえたのは、片流れ屋根の木造2階建て。

天井が高い北側に2階がある。2階子ども室はオープンなロフト風で、今は愛犬3匹が走り回る。2階寝室は最大3.6メートルの天井と南西2面の出窓で非常に伸びやか。

天井の低い南側は上下で空間を分断せず、希望だった吹き抜けのリビング・ダイニングに。南側の庭へ向け、掃き出し窓やはめこみ式の窓など多彩な開口部が設けられ床面積以上の広さを感じさせる。

「木の質感が好き」という夫妻。「コンクリート造より熱がこもりにくいというのも良いなと思い、木造に決めた」。

夫人(32)が一目ぼれした木のキッチンを基調に、家具や内装材は「建築士さんと一緒に吟味して」ダークブラウンでまとめた。天井の勾配に沿って走る装飾も相まって、温かみのある優しい雰囲気。「ペンションみたいな、ナチュラルな感じがお気に入り」と夫人。


片流れ屋根が印象的な外観。近隣は知り合いばかりということもあり、外塀は設けず、高さ75センチほどの柵にとどめた




キッチンからリビング・ダイニングを見る。南側の掃き出し窓付近の床やキッチンの床はタイル張り。夫人が「傷みやすいところはタイル張りにしてもらった」と話す


靴・服 玄関横に収納
k邸の収納計画は、大胆かつユニーク。玄関そばにあるのは靴も服も収納する4平方メートルのウオークインクローゼット。夫人が「身支度しやすいように」と要望。「玄関周辺に洗面所、浴室、クローゼットをまとめたので、ここ一体で準備が完結する。朝の準備時間は3分の1になりました」

2階の寝室のそばにも8平方メートルのウオークインクローゼットがあり、要所の大収納のおかげで「スッキリと暮らせています」。

家造りを考えたのは「月々の賃料とローンをてんびんにかけると、大差なかった」から。住み慣れた北中城村で土地を探し「周辺環境との調和を重視した家造りが魅力だった」建築会社に依頼した。

愛犬を抱き、ニコニコと家造りを語る夫妻。穏やかな人となりが、新居からもにじんでいた。


2階の寝室。高い天井と南西2面の出窓で、開放感たっぷり。夫妻は「天井が高く快適で、眠りが深くなった」と語る



寝室のそばにはウオークインクローゼットがあり、寝室から出入りすることも、廊下から出入りすることもできる
 

ここがポイント
屋根の高低差を利用 無駄なく吹き抜けに
吹き抜けにすると開放感は得られるが、上階の床面積が削られるというデメリットがある。

Kさん宅を手掛けた一級建築士・遠藤現さんは「片流れ屋根を採用し、天井の低い南側を吹き抜けにした。天井高のある北側に居室をまとめるなど、空間の高低差を活用することで無駄を省き、建築費も抑えた」。

天井高が低い南側でも平均4メートルの高さがあり、「要望の『吹き抜けのリビング』には十分」。
1階LDKは仕切りを少なくし、2階子ども室も、壁の無いロフト風にすることで伸びやかさを強調。一方で、「LDKと子ども室の間の腰壁は、1メートルと高めにし、オープンにしつつプライバシーは保てるよう配慮した」。

勾配天井は「熱気の逃げ道」にも利用。1階から入った風が勾配に沿って流れ、上部にたまる熱気を2階の高窓から押し出す。「もともと木造は熱がこもりにくいが、スムーズな換気と屋根に用いた遮熱材の効果も相まって、夏も涼やかに過ごせる」。

住宅街ではあるが、ご近所付き合いが密なことから、「外塀は設けず、柵も犬が逃げない高さにとどめた」。囲いがないため、160平方メートルの庭がより広々と感じられる。「その開放感を室内にも取り入れるべく、外と内を連続させる仕掛けをちりばめた。例えば、南側の掃き出し窓の左右には室内側にも外壁材を張ったり、庭に向けて窓を多く設けたりしている」と説明した。
 


2階の子ども室。現在は愛犬の部屋となっている。壁は設けずオープンな造り。将来的には、写真右側の柱から2つに仕切ることもできる



ドッグランのような広い庭。一角に畑や花壇を作り楽しむ。友人たちを呼んでバーベキューを楽しむこともあるそう


夫婦の書斎とキッチン。リビング・ダイニングとの間には飾り棚があり、緩く仕切られている


[DATA]
家 族 構 成:夫婦、愛犬3匹
敷 地 面 積:326.62平方メートル(98.8坪)
1階床面積:61.93平方メートル(18.7坪)
2階床面積:47.20平方メートル(14.3坪)
建 ぺ い 率:21.47%(許容60%)
容 積 率:33.41%(許容200%)
用 途 地 域:第1種中高層住居専用地域
躯 体 構 造:木造
設         計:(有)平良建設×遠藤現建築創作所 一級建築士 遠藤現
施   工:(有)平良建設


[問い合わせ先]
(有)平良建設
098-939-2379
taira-co.com


撮影/矢嶋健吾 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1731号・2019年3月8日紙面から掲載

お住まい拝見

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

これまでに書いた記事:338

編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

TOPへ戻る