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2019年2月8日更新

完全分離型に一新|株式会社 佐平建設

[お住まい拝見 築42年の実家をリノベーション]築42年、2階建ての実家。もともと、各階に玄関がある2世帯住宅だったが、浴室は1階にしかなかった。そこで2階・Nさん世帯は全面改修し水回りも新設。1階・親世帯は水回り以外を改修。LDKと和室が一体となる広々空間に生まれ変わった。


2階のNさん世帯。キッチンからリビング・ダイニングが見渡せる一体的な造り。以前は壁に分断され、窮屈だった空間が一変した(下写真)。建具はオリジナルで制作。ボルダリングウォールも設けるなど随所にこだわりと遊び心が見られる

▼リフォーム前(2階)


玄関位置から変更

Nさん宅
築42年/RC造/家族4人、母親
リノベーションしたのはNさんが生まれ育った築42年の2世帯住宅。昔は1階に祖父母が住み、2階にNさんの親が住んでいた。月日が経ち、親は1階へ、空いていた2階にNさんが家族を連れて戻ってきた。

改修前は、「不便が多々あった」とNさん。2階に浴室が無いこと、外階段が家の裏側にあり、駐車場からぐるりと回らないと2階へ上がれないこと、室内が壁で分断され、暗かったことだ。

解消すべく、「建具や内装のセンスが好みだった」建築会社に改修を依頼した。

新居は2階に念願の浴室ができたほか、駐車場側に外階段を設け玄関の位置も変えた。不要な壁は取り払い、広々としたLDKで幼い娘たちが走り回る。リビングに隣接する約1.5坪の空間は「三線部屋」。Nさんはここで腕を磨く。「練習するときも家族の顔が見え、以前のような孤独感が無い」。

Nさんが一番気に入っているのは、LDKの床に用いた足触りの良い無垢(むく)のチーク材。「こだわりたいところは妥協せず、それ以外のところはシンプルに」し、予算を調整した。

キッチンもこだわった部分。前面は細長いタイルを斜めに張り合わせる「ヘリボーン張り」=下写真=にした。ダイニング隣のボルダリングウォールは遊び場としてだけでなく、視覚的なアクセントにもなっている。

一方で、靴箱やキッチンなど各居室の収納は、扉を設けず簡素な造りにしてコストを削減した。


2階Nさん世帯のキッチンからリビング・ダイニングを見る。リビング南側、東側の窓からの光がキッチンまで届く。以前はこの2面の窓がある居室は壁で囲われており(下写真)、家の中央部は暗かった

▼リフォーム前(2階)



2階のキッチン前面のタイルは、Nさん夫妻こだわりの「ヘリボーン張り」

趣味楽しめる部屋も
1階の母親世帯は、以前に水回りの改修を行ったため、それ以外の改修を依頼した。

「毎日、子や孫が遊びに来る」ことから、人が集いやすいようLDKと和室が一体となる大空間を設けたほか、母親の趣味である「パッチワーク部屋」も造ってもらった。

布や裁縫道具を収納する棚や、ミシンを広げても邪魔にならない幅約2.4メートルの机があり、「作業に没頭できる」と満足顔。

1・2階とも、オープンなだけでなく、一人の時間も大事にできる、バランスの取れた住まいだった。


1階のパッチワーク部屋は、作業机のほか階段下のデッドスペースを使い、収納棚も設けた。来客時は客間として使っている


三線部屋は、窓を開ければリビングにいる家族とやりとりができる。防音ではないが、寝室から一番離れた場所にあり「練習しやすい」と腕磨きに励むNさん


2階の水回りもNさんのこだわりが反映されている。(上)トイレはピンクの塗装とガラス細工のような床タイルで、カラフルに仕上げた(下)洗面・脱衣室は青や白系の細長いタイルを縦に貼って爽やかに

ここがポイント
きっちり取捨選択
築42年の住宅ながら、「リノベーションするなら、子どもたちの世代まで住み継げるようにしたい」というのがNさんの希望だった。佐平建設のリフォーム部工事長・加納賢一さんは「躯体の検査をしたところ、傷みが激しい部分もあったので、総工事費の1割以上を修繕費に費やしてしっかり補強した」と語る。

既存の壁・柱を生かして
間取りは「構造上、取れない壁や柱を確認しながら決めた」。1・2階とも取れる壁は撤去し、暗さや窮屈さを解消。2階は取れない壁を生かして個室を設け、ボルダリングウォールも造った。キッチン脇の柱を使って収納を設けるなど、なるべく既存を生かし工事費を削減した。

また、2階へも駐車場から短い動線で出入りできるよう外階段を新設。それに合わせて玄関の位置も変えた。以前の玄関は洗濯干し場として活用。ドアを開ければ風が通る上、雨天時でも洗濯が干せる。

好みがはっきりしていたNさん夫妻。ドアなどの建具はこだわってオリジナルを制作した分、収納はシンプルな造りにして予算のバランスを取った。Nさんお気に入りの無垢フローリング材も「高価な材はLDKに絞り、寝室や子ども室は少し安めの無垢材を使うなどの取捨選択をしっかり行ってコストを調整した」。



1階・母親世帯。子や孫が集う1階の親世帯は壁や鴨居を取り払い、LDKと和室が一体的になる広々空間。バリアフリーで、孫たちが縦横無尽に走り回る

▼リフォーム前(1階)



【玄関】駐車場側に外階段を新設。それに合わせて玄関の位置も変更。以前は家の裏側に階段・玄関があった

[DATA]
家 族 構 成:夫婦+子ども2人、母親
躯 体 構 造:鉄筋コンクリート造
築 年 数:42年
1階床面積:100平方メートル(約30.3坪)
2階床面積:99平方メートル(約30坪)
工         期:約4カ月
設計、施工:(株)佐平建設 加納賢一
大   工:(株)長堂材木 長堂、上揚
電   気:(有)エース電気工事社 新城、長田
水   道:HAMAシステム 濱元
塗   装:(株)平良塗装工業 平良
コーディネート:GIFT 森田めぐ美


[問い合わせ先]
(株)佐平建設
098-851-8352
http://www.sahira.co.jp


撮影/比嘉秀明 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1727号・2019年2月8日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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