22坪 ミニマムに土間床でカッコよく|studio jag一級建築士事務所|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

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2018年5月18日更新

22坪 ミニマムに土間床でカッコよく|studio jag一級建築士事務所

[お住まい拝見・傾斜地生かす22坪の平屋]「家は小さいのがいい」「土間の家ってかっこいい」。そんなYさん(39)の思いを形にした約22坪の平屋。傾斜地を生かして建てた開放的な空間で、暮らしを楽しむ。

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庭からLDKと子ども室を見る。土間床、打ち放しの空間に、Yさんお気に入りの植物や雑貨が映える。ダイニングの床は、杉足場板の木組みになっている

 

手を加え〝遊べる〟家

Yさん宅
RC造/自由設計/家族5人

土間床に、コンクリート打ち放しの壁と天井。アースカラーが目を引く杉足場板の壁面収納。Yさんが手入れを楽しむ観葉植物やお気に入りの雑貨など、日常使いの品がディスプレーのように並ぶLDKは、まるでショップのような雰囲気でワクワクする。
「土間の空間って、家具やインテリアに統一感がなくてもハマる。好きなものをいろいろ置けるのが楽しいですね」とYさん。
空間構成はシンプル。南側の庭に面したLDKの背後に子ども室と寝室があり、西側に水回りがまとまる。中学生の長女(12)、小学生の次女(10)、長男(7)が過ごす子ども室とLDKの間には仕切り戸があるが、基本はオープンでワンルーム感覚だ。
LDKの掃き出し窓を開け放てば、庭と室内が一体化。「風も抜けるしキャンプ場みたいでしょ。窓全開で、庭を眺めながら朝ごはんを食べるのも楽しみですね」と笑う。
ダイニングスペースと子ども室の床は、アッシュグリーンの塗装を施した杉足場板の木組みになっている。「毎日歩いているうちに塗料が板に染み込んで、木目がいい感じに浮き出てきた。味が出て気に入っています」。



陸ガメのんびり歩き回る庭に面したLDKは、4枚の木製サッシを開け放てば屋内外が一体化。サッシ上部には収納が設けられていて、本や小物、植物などが置けるようになっている。キッチン背後(右奥)の引き戸の先は洗面、浴室がある


杉足場板を使った壁面収納は、隙間に棚板を差し込む造り。棚の位置が自由に調整できる

 

経年変化も楽しみ

Yさん宅があるのは南風原町の住宅地。子どもたちが通う小学校区内で土地を探し、3年がかりで出合った敷地は、前面道路と約2メートル高低差がある傾斜地だった。設計は、長年付き合いがあり、自身が経営する店舗の内装も手掛けた建築士に依頼した。
「家は小さくていい」「土間の家ってかっこいい」というのがYさんの考え。アウトドアが好きなこともあり、庭とのつながりは重視した。
「経年変化を楽しみたい」と、木製サッシ、杉足場板の壁面収納、スチール製の扉など、使う素材の質感にもこだわった。
「自分の中で何かのブームが来たら、内装がガラッと変わっている可能性があるからまだ完成形ではない。壁にペンキで絵を描くのも面白そうだし、年齢によって手を加えて遊べる家ですね」とYさん。暮らす楽しみは尽きない。



Yさんが手入れする植物が並ぶ庭は、子どもたちの格好の遊び場だ


ここがポイント
深い庇で目隠しと通風

敷地は北側の前面道路から約2メートル上がった傾斜地で、南側はよう壁で造成されている。前面道路の向かいには、国道からのバイパス道路が建設中で、騒音対策やプライバーシーの確保も課題だった。
設計を手掛けた一級建築士の久志直輝さんは、「前面道路との高低差とよう壁を生かし、バイパス道路からの音や視線を遮りながら光と風が注ぎ込むおおらかな住環境を目指しました」と話す。
まずは土地の使い方。建物を敷地の中央に配置し、約2メートル下がった道路側に駐車場を、南側には庭を確保した。
建物内部は、庭に面した南側にLDKを据え、寝室や子ども室を北側に設ける構成に。南側のよう壁が防風壁となると見立て、「LDKと庭との仕切りに木製サッシを採用。屋内外の境界が緩やかになり、開放感が増しました」。
子ども室にはロフトと高窓を設け、南から北へ緩やかに傾斜する勾配屋根にした。この屋根から北面を覆うように深く庇(ひさし)を伸ばし、バイパス道路との緩衝帯としたのもポイントだ。「軒下空間には植物を置けるカウンターがあり、緑に適度な光と風をもたらします」。
天井が打ち放しのため、熱環境にも配慮。南北の風通し、高窓からの熱排気に加え、LDK上部の陸屋根には砂利を敷き、外断熱を施した=下断面図参照。
土間床の打ち放しの空間に、異素材を組み合わせることで、インテリア性も高まった。玄関ドアや居室の引き戸、対面キッチンの立ち上がりの壁などは金属鋼板で制作。杉足場板の壁面収納と部分床、つり下げ式の裸電球が空間にぬくもりを添える。



オレンジ色の大型収納で、2部屋に仕切った子ども室。右写真の長女の部屋は、パイブベッドでモダンな印象。左写真は次女と長男のスペース。木製ベッドでナチュラルに。ロフトからも光が差し込み、明るい


道路に面した北側の外観。中央部分に切り込みの入った深い庇が印象的だ


断面図




[DATA]

家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:206.75平方メートル(約62.54坪)
1階床面積:74.08平方メートル(約22.41坪)
建ぺい率 :43.04%(約50%)
容 積 率:33.83%(約100%)
用途地域 :第1種低層住居専用地域
躯体構造 :壁式鉄筋コンクリート造
設  計 :studio jag一級建築士事務所
      久志直輝、河上親生
構  造 :SAK設計
施  工 :(株)M’s
電  気 :美光電設
水  道 :ライフ工業


[問い合わせ先]

studio jag一級建築士事務所
098-874-2055
studio-jag.net


お住まい拝見|暮らし方いろいろ!住まいの事例集!|沖縄


撮影/高野生優(フォトアートたかの) ライター/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1689号・2018年5月18日紙面から掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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