内装や家具を吟味 こだわりの室内に|(株)紀建設設計室スタジオビスポーク|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

お住まい拝見

2015年3月13日更新

内装や家具を吟味 こだわりの室内に|(株)紀建設設計室スタジオビスポーク

Nさん(37)宅は、南と北のコート(中庭)から光と風を取り込む2階建ての住宅。現在は母親(67)と二人暮らしだが、近い将来、二世帯住宅としても使える造りにした。えりすぐりの内装や家具が映える室内で、思い思いに過ごす。

お住まい拝見

タグから記事を探す

二世帯住宅見据え計画

Nさん宅(家族2人 自由設計 RC造)


1階リビング。左手の壁面は、石積みの質感を表現した「スプリットタイル」で、陰影が間接照明で浮かび上がる。テレビ上部の天井には、120インチのスクリーンが仕込んである

キッチンは母親の要望
沖縄県本島中部。昔ながらの静かな住宅地にNさん宅は建つ。コンクリートの打ち放しに、木目の模様が付いた外観が印象的だ。1階はLDKや母親の寝室、2階はNさんの書斎や寝室、トレーニングルームになっている。
玄関から吹き抜けのホールを抜けると、約40畳のLDKが現れる。リビングに面したコートからは、南からの光と風が入り込む。
壁には、年季の入った石積みの質感を表現した「スプリットタイル」。床には、チーク材よりも明るく落ち着いた色合いのウォルナット材。ライトグレーの大きなカウチソファ。どれもNさんのえりすぐりだ。「家づくりをはじめてから、建材や家具に凝り出したんです」と、Nさんは照れて笑う。
アイランド型の作業スペース、大型の造り付け収納が目を引くキッチンは、菓子作りが趣味の母親の要望を反映した。友だちを招いては、手作りの菓子をお気に入りの器に盛り付けて振る舞う。
家づくりの当初から「近い将来を見据え、二世帯住宅として使えるように」と考えていたため、浴室やトイレは各階に設け、キッチンや玄関は共有する造りに。内階段で2階から1階の様子が分かるようにした。

土地探しに建築士同行
Nさんは、築48年になる実家の老朽化で建て替えを決心した。雨漏りがひどく、コンクリートの塊が落ちてくるほどだった。実家は借地だったため、新たに土地を求めることにした。幸い、母親が住み慣れた地域に見つかった。
設計は、職場の先輩の自宅を手掛けた設計事務所に依頼。土地探しも同行してもらった。「モダンでシンプル。上品な雰囲気の作風」が決め手になった。「母親が高齢になったときのことを考え、浴室やトイレを寝室近くに設けてくれた建築士の配慮に感心しました」。
日曜の午後。リビングのカウチソファで映画を見るNさん。キッチンでは楽しそうに母親がパンケーキを作る。時折、母親に目をやるNさんの顔もほろこぶ。


1階ダイニング・キッチン。造り付けの収納やキッチンの扉は、内装や家具、照明との調和を考え、肌色のレッドオーク調のメラミン材を取り入れた


建物の南側、ポーチから見たコート。通りからの視線を遮りつつ、南からの光や風をリビングにもたらす
 

ここがポイント
南と北にコート 密集地でも光・風

敷地は、南側に道路、北・西側はそれぞれ住宅があり、東側も住宅が建つ可能性があった。
設計した伊波亜砂子さんは、住宅密集地であることを踏まえて、「リビング隣の南側、玄関ホール奥の北側に設けたコートで、周囲からの視線を遮りながら、光と風を取り込めるようにした」と説明する。
家づくりを進める中で、建材や家具に興味を持ったNさんのために、調和の取れた室内にまとめた提案もポイント。
床のウォルナット材は、材の種類が多く、多湿な沖縄でも使える「無垢材の挽き板化粧フロア材」の中でも、落ち着いた色合いが特徴だ。キッチンの扉や造り付けの収納は、肌色のレッドオーク調のメラミン材を使うことで、コンクリート打ち放しに温かみを添えた。これにより、イタリア製のカウチソファや、カナダ製のカラフルなペンダントライトも映える空間となっている。
間取りは、二世帯住宅としても使えるようにした。Nさんの寝室を夫婦の寝室に、トレーニングルームや書斎は子ども室に充てることができる。階段付近の2階前室は4畳あり、通り抜けできるウオークインクロゼットも設置できる。
ベンチプレスなど専用の機器がある2階トレーニングルームは、床材とコンクリートスラブの間に緩衝材を置いた「浮き床工法」を採用。1階の寝室に振動が伝わるのを抑える。


1階洗面室。3畳ほどと広め。奥は洗濯機のある脱衣室、浴室と続き、右手は天窓付きの物干し場になっている


Nさんが持ち帰った仕事を片付ける2階書斎。読書好きなNさんのために、壁際には本棚を造り付けた


2階寝室。リビングと同じく、壁にはスプリットタイルが施されていて、上品な雰囲気


1階ホール。Nさんのチョイスで、階段の左手上部には、目隠しとしてアフゼリア材が使われている。重厚で温かみのある色合いが特徴だ


外観。模様のように見えるのが、スギのパネルでついた木目で、アクセントになっている

[DATA]
家族構成:2人
敷地面積:262.06㎡(約79.41坪)
1階床面積:104.61㎡(約31.7坪) 2階床面積:102.76㎡(約31.14坪)
建ぺい率:49.9%(許容50%) 容積率:79.13%(許容100%)
用途地域:第1種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式構造
設 計:(株)紀建設設計室スタジオビスポーク 伊波亜砂子、荻山し乃
構 造:(有)ジュンアソシエイツ 小川淳也
施 工:(株)紀建設
電 気:南光開発(株)
水 道:(有)インター設備
置き家具:ミノッティ

[設計・問い合わせ先]
(株)紀建設設計室スタジオビスポーク
098-890-6225
http://www.ki-kensetsu.jp
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/週刊タイムス住宅新聞編集部

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1523号・2015年3月13日紙面から掲載

お住まい拝見

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2395

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る