[お住まい拝見]16坪でも明るく広々|(株)クレールアーキラボ|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

お住まい拝見

2024年7月26日更新

[お住まい拝見]16坪でも明るく広々|(株)クレールアーキラボ

[吹き抜け上部の天窓効果]約16坪の狭小地に建つUさん宅。1階に寝室と水回りをまとめることで2階のLDKを広く確保。吹き抜け上部に設けた長さ約3・6メートルの天窓が室内に明るさと開放感を演出している。

吹き抜け上部に設けられた天窓の光が室内を明るく照らす。らせん階段は直線状の階段より省スペースで段と段の間が空いているので圧迫感がやわらぐ。階段にかかったレースのカーテンや木製の窓枠がコンクリート打ちっ放しの無機質な空間に柔らかさや温もりなど多彩な表情をプラス


朝日とともに目覚め

Uさん宅
 RC造/自由設計/家族2人 

玄関を入って上を見上げると、2階の吹き抜け部分の天井いっぱいに設けられた長さ約3・6メートル、幅約1メートルの天窓に青空が広がる。2階へ上がるらせん階段にはレースのカーテンがかかっていて、天窓から降り注ぐ光による陰影が空間に柔らかさを演出している。「壁の窓は大きくないが、天窓の光で室内は明るい。朝日とともに目覚めて生活リズムも整う」とUさん。

Uさん宅は2階建てで、夫婦2人暮らし。1階は寝室と水回り、2階はLDKで構成。実家の庭の一部、約16坪という限られた敷地に建てるために建築士に要望したのは、小さくても住みやすい家。LDKは広めにほしかったという。その要望をかなえるため、1階部分に水回りと寝室をまとめることで、2階のLDKを広めに確保した造りになっている。「ゆったり過ごせるダイニングテーブルが生活の中心」とUさん。

キッチンはオーダーメードで、収納の位置など使い勝手を考えてある。「コンパクトで使いやすい。1、2歩動くだけで必要なものが手に取れる」と夫人。1階は寝室からウオークインクローゼット、洗面所、浴室への動線が良く、仕事から帰ってすぐお風呂に入れて便利だという。
 


2階のキッチン側から見たLDK。奥の吹き抜け上部にある天窓の光で室内は明るい。天窓の光によってらせん階段にかかったレースのカーテンが柔らかな陰影を見せる
 

長さ約3・6メートル、幅約1メートルの天窓。空が見通せて開放感を感じさせる

 


打ちっ放しにひかれて


壁や天井はコンクリート打ちっ放しで、床も土間になっている。建築士に出会ったのは、親戚が建てた家を見てデザインが気に入ったのがきっかけ。「コンクリート打ちっ放しのシンプルでモダンな空間にひかれた。家のどこにいても絵になる。かっこよく過ごせる」とほほ笑むUさん。

玄関を入って左側の窓からは実家の庭が見える。庭の植栽が借景になって空間に彩りを添えている。設計事務所の造園事業部の提案でヘゴやツワブキ、ふいりの月桃など沖縄在来の植物を植えている。
 

シンクと一体になったダイニングテーブルは、シンク側の床を一段下げることで、立って作業をしながら対面に座っている人と目線が合う造りになっている




ここがポイント
LDKを2階に上げ広く

 


2階LDK。オーダーメードのキッチンは、打ちっ放しの室内に合うようにダークブラウンの色合いに。天井の溝はデザイン的要素と反響を和らげる役目がある。照明はその溝に埋め込まれていて見た目もすっきりした印象

1階寝室。壁を設けずカーテンでゆるやかに仕切っている


北西側は道路に面し、実家の庭だった16坪の敷地に建つUさん宅。狭小地という条件の中でコストを抑えつつ、いかに広々とした空間に感じさせるか。建築士の畠山武史さんが重視したのは、居室の配置と窓の設け方。1階に水回りと寝室をまとめることで2階のLDKを広く確保した。玄関、寝室、ウオークインクローゼットはカーテンで緩やかに仕切ることでプライバシーに配慮しつつ、開ければ開放感があり、内装費用の削減にもつながっている。
 

玄関の側にはメーク関係の仕事をしている夫人の要望で将来自宅でも仕事ができるようにとドレッサーを置いたメークスペースがある。窓から実家の庭の植栽が見え、空間に彩りをそえている

「吹き抜け上部に大きな天窓を設けることで、外から室内が見えることなく採光を確保し、空が広く見通せて開放感を感じさせる」と畠山さん。一方、通りに面した窓は小さく、視線が気にならないよう高めの位置に設置した。吹き抜けに設置したらせん階段は直線状の階段よりも省スペースで、段と段の間に板がない構造によって狭い空間にあっても圧迫感を和らげている。

外壁は杉板型枠で模様付けをし、窓枠は温かみのある木製に。左官材のモールテックスで仕上げた浴室の壁やダイニングテーブルの天板は、手仕事による人のぬくもりが感じられる。「コンクリート打ちっ放しの無機質な空間に表情が出るようにと考えてのこと」。カーテンや家具も打ちっ放しの室内に合わせて色合いなど、インテリア担当のスタッフがコーディネートした。
 


外観。杉板型枠で模様づけして建物に表情をもたせた
 


左官材のモールテックスで仕上げた浴室。模様が美しく、手仕事のぬくもりが感じられる

 

[DATA]
家族構成:夫婦
敷地面積:52.66平方メートル(約15.93坪)
1階床面積:25.46平方メートル(約7.70坪)
2階床面積:22.42平方メートル(約6.78坪)
建ぺい率:49.05%(許容指定なし)
容積率:90.92%(許容200%)
用途地域:無指定地域
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設計:(株)クレールアーキラボ 畠山武史、三田美慶也
施工:(有)仲真組
電気:曙電気設備
水道:(有)新垣設備
キッチン・インテリア:(株)クレールアーキラボ
植栽:(株)クレールアーキラボ 造園事業部「KISETSU」

問い合わせ
(株)クレールアーキラボ
電話=098-955-1823
https://www.clairarchilab.com/


撮影/矢嶋健吾 文/池原拓
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2012号・2024年07月26日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2395

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る