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2025年2月14日更新

[お住まい拝見]家族8人 スッキリ暮らす|間+impression

[個室も収納もしっかり確保]中学3年生から3歳の子6人と夫婦で暮らすO家。1.5階に1坪×六つの子ども室を造り床下を収納にしたり、横長のLDKの背面に長さ7.75メートルのファミリークローゼットを設けたり。8人分の物がスッキリ片付く工夫が凝らされている。


横並びのダイニング・キッチン。奥は上が子ども室、その床下がパントリーになっている。ダイニングの正面はテラス。1.8メートルの塀で囲われ、外からの視線を気にせず窓を開け放てる

子が自分で片付け
Oさん宅
 RC造/自由設計/家族8人 

以前は2階建ての中古住宅に住んでいたが「そこら中におもちゃや服が散乱して、すごくストレスだった」と夫人。また「カビやハウスダストのせいか、娘がアトピー性皮膚炎になってしまった」ことも新築を後押しした。

夫の親族から譲り受けた約125坪の土地に「8人で伸び伸び暮らせる家」を希望。あちこちの建築士に相談した中で、予算や要望だけでなく「私たち大家族の暮らしの話を、楽しそうに聞いてくれた」建築士に依頼した。

1年前に完成した新居は、リビング・ダイニング・キッチンが横並びになったワイドな造り。中央のダイニングはテラスに面していて開放的。テラスは高さ1.8メートルの塀で外からの視線をシャットアウトしており、子どもたちは気兼ねなく室内外で遊び回る。

キッチンの奥には、約4メートルの高さを2層に分けた空間がある。上は1坪×六つの子ども室で、今は長男と長女の2部屋分だけを仕切って使っている。下は約6坪の大容量収納。天井が低くおこもり感のある空間で、子どもたちの秘密基地にもなっている。


玄関を入るとリビング、ダイニング、キッチンと横並びになっている。奥に行くほど天井が高くなっており広がりを感じさせる。手前のリビングの最低部は2.1メートル、奥の子ども室の最高部は約4メートル


キッチンの隣には子ども室とパントリーが縦に重なる。


1.5階に1坪×六つの子ども室を準備。現在は2部屋だけ仕切って使用


下部は約6坪の床下収納。ぜいたくな広さで子どもたちの秘密基地にもなっている

約8メートルのファミクロ

「新居に越してきて娘のアトピーも良くなったし、子どもたちが自分でお片付けするようになった!」と目を輝かせる夫人。

率先して片付けるようになったカギは裏動線にある。玄関の裏側に、子どもたち用のシューズクローゼットを設けた。「帰ってきたら、ここに靴やランドセル、カバンやジャンパーなどを置いてから家に入る流れをつくったら、散らからなくなった」。


シューズクローゼットは、夫人の要望で「子どもたち6人分のロッカールームのようにした」。各自のスペースを設けたことで、自分のものは自分で片付けて管理するようになったそうだ

また、LDKの背面にある全長7.75メートルのファミリークローゼットに「すべての衣類を収めているから、片付けがラク。子どもたちの『どこにあるの?』攻撃から解放された」と笑顔。

オープンな表の空間と機能的な裏動線で、親も子も伸び伸び暮らしていた。


LDKの背面には長さ7.75メートルのファミリークローゼットがある。寝室から洗面室・浴室などの水回りへの廊下でもある


ここがポイント
大家族の暮らしを
収納や導線に反映


「8人家族で、米は一度に20~30キロ買うとか、冷蔵庫のほか冷凍庫も2台あるとか、僕たちの想像を超える物の量だった。そのため、打ち合わせを重ねながら感覚をすりあわせた」と間インプレッションの建築士・儀間達紀さん。

同社の建築士・徹さんは、「夫妻は『すっきり広々としたLDK』と『家事のしやすい家』を希望していたので、裏導線に十分な収納を確保することと、動線を短くすることがポイントだった」と話す。

LDKを横並びにしたのは、横長の敷地で広く空間を確保するためと、家事動線を考えてのこと。「食事の配膳が数歩の横移動で済む。キッチンを対面式にすると、ぐるっと回って配膳しなければならない」と徹さん。


子ども室からLDKを見下ろすと、ワイドな造りがよく分かる。横並びの間取りは「横移動だけで配膳できるので、最近人気のレイアウト」と建築士の儀間徹さんは説明する

LDKは勾配天井にした。玄関側のリビングの天井高は2.1メートルだが奥に行くほど高くなり、キッチンの奥は約4メートルある。この傾斜で空間の広がりを演出しつつ、高さを生かして2層の空間を設けた。「約6坪の大容量収納&秘密基地の上に、1坪の子ども室を六つ用意。子ども室は半階分だけ上げることで、LDKにいる家族の気配は感じられつつ、プライバシーも守れる」。天井全体を高くするのではなく、ポイントを絞ることでコンクリートの使用量を減らしコストを抑えた。

床下収納「倉(kura)」の上に子ども室を設ける造りは、同事務所の特徴。「Oさん宅は子ども全員分の個室を確保したいと希望していた上、収納もたっぷり必要だった。この造りは適していた」。

LDKの背面には長さ7.75メートルのファミリークローゼットを配置。各個室と水回りをつなぐ廊下もかね、歩きながら身支度ができる。「ファミクロやランドリールーム、水回りは北側にまとめた。LDKとしっかり分断して、洗濯物が表に出ないようにした」と達紀さんは話した。


3~4人が同時に立てる大きな洗面台。コンセントも多めに用意している


たっぷり7台は停められる駐車場が、前面道路との緩衝空間になっているほか、高さ1.8メートルの塀がプライバシーを守る


広々としたテラスは塀で囲われ外からの視線を気にせず遊べる。深い軒下ではバーベキューを楽しむ


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども6人
敷地面積:413.99平方メートル(約125.23坪)
1階床面積:136.76平方メートル(約41.3坪)
建ぺい率:39.20%(許容60%)
容積率:38.62%(許容200%)
用途地域:第一種中高層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート壁式構造
設計:間+impression
   儀間徹、儀間達紀
構造:建築設計庵 長間大輔
施工:(株)力建設 我如古孝裕
電気:(有)糸洲電気 糸洲勝也
水道:(有)翔設備 我喜屋友秀
キッチン:(有)モブ 前花涼子

問い合わせ
間+impression
電話=098・892・3635
https://ma-impression.com/
撮影/泉公・ララフィルム撮影 文/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2041号・2025年2月14日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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