緑映える南仏風 趣味が華添える|アトリエPAD|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

お住まい拝見

2015年5月15日更新

緑映える南仏風 趣味が華添える|アトリエPAD

沖縄本島南部、豊見城市の住宅地に建つSさん(41)宅は、フランス瓦の屋根が目を引く南仏風の木造2階建て。夫人お気に入りのアンティーク雑貨と丁寧に手入れされた緑が、室内外に華を添える。住んで2年余り。夫人は「家も暮らしも大満足。毎日が楽しい」と満面の笑みを浮かべる。

手を掛ける楽しみ

Sさん宅(家族5人) 自由設計、木造


フランス瓦の屋根が美しい南仏風の外観。緑もよく映える。右手の駐車スペースはスタンプコンクリートで仕上げた

好みの品を散りばめ
高台に建つSさんの家。レンガ敷きのアプローチを入ると、バラやハーブなど丁寧に手入れされた緑が出迎える。 室内には夫人が集めるアンティーク雑貨がさりげなく飾られ、ほんのり木の香りが漂う。自然素材を希望し、壁は漆喰で仕上げ、床や建具には「節の感じが好き」というパイン材を使った。年に1度は夫婦で床や家具にオイルを塗り、手入れをする。夫人は「家事や片付けが好きなので、お手入れも楽しい」とにっこり。
1階のリビングは、南に広がる庭に面した開口部から陽光と風が届き気持ち良い。その先に続く広いウッドデッキでは、Sさん手作りのテーブルを囲んでバーベキューを楽しむ。「この家に住んでからDIYを始めた。いろいろ作ってはいますが、まだまだ素人で」とSさんははにかむ。
キッチン近くに水回りや家事室をまとめた造りは、短い動線で使い勝手が良く、夫人のお気に入り。2階にある長女(15)の部屋、長男(12)と次男(11)の部屋にはロフトを設け、空間を有効に活用している。

施主支給で理想の家
長年アパート住まいだったが、長女の中学入学を控え「個室を作ってあげたい」と家づくりを決めた。3年前に夫妻の実家と学校に近く、高台で利便性もよい土地を購入した。
理想とする洋風の家を建てるため、インターネットで設計先を検索。「相談に行ったら、好みも考え方もピッタリだった」建築士に即決した。
家づくりをきっかけにインターネットを使い始めたという夫人。照明をはじめ、ドアノブやはめ込みのガラスなど、建具のパーツにもこだわり、ネットで取り寄せた。「できる部分は施主支給に。好みのものがそろうのに加え、費用も抑えられますから」とSさん。
住み始めてから、子どもたちの念願だった愛犬を迎えた。アウトドア好きのSさんが唯一こだわったキャンプ用品や自転車が置ける倉庫は、今では愛犬の部屋に。「三男に取られました」と苦笑いする。
キッチンでは、母娘でお菓子作りをすることも増えた。夫人は「毎日楽しい。家にも暮らしにも本当に満足しています」とほほ笑んだ。


1階リビング。奥にはウッドデッキと芝庭が広がり開放的だ。右手奥にダイニングキッチンを独立して設けたことで「家族全員で集う食卓がコミュニケーションの場、リビングがくつろぐ場とメリハリがついた」とSさん


「バーベキューができるように」と広めに設けたウッドデッキに腰掛け、愛犬バズと遊ぶSさん。奥の板壁は、夫人のリクエストでSさんが手作りした


1階リビング脇に設けられた和室。扉はビビッドな黄色のペイントで、洋風の空間にも違和感なくなじむ。和室横の階段の手すりは、曲線を描き柔らかな印象に
 

ここがポイント
水回りの動線短くシロアリに強い材

Sさん宅は、北側に前面道路があり西側には隣家、南側は3メートルほどの崖になっている敷地に建つ。夫妻は、フレンチカントリースタイルの家で、バーベキューのできる広いデッキや大きな物置、使いやすい家事動線を希望した。
建築士の饒平名知善さんは、眺めが良く、遮るもののない南側に庭を設け、リビングとダイニングキッチンを配置。リビングの大開口から伸びた奥行き約3メートルのウッドデッキは、光と南風を取り込みながら家族が集う場になっている。
次に家事動線。キッチンの北側に洗面室と浴室を配置。キッチンの出入り口から一直線に家事室、室内物干場を並べ、廊下側からも出入りできるようにすることで、コンパクトで使い勝手の良い動線が生まれた。
天井高のある2階には、子ども室それぞれにロフトを設置したほか、寝室や廊下の上部には屋根裏収納も設けた。
Sさん宅は、木造の壁式構造であるツーバイフォー(2×4)工法。その建材には複数の種類があるが、Sさん宅では構造材にカナダ産のヘムファーという木材を使っている。「沖縄には、シロアリに強いヘムファーが向いている」と饒平名さん。ただ、円安の影響で輸入費が高騰しているため、「20円違えば、40坪くらいの家で輸入費だけで100万円前後のアップ。現在は予算との折り合いをつけるのが難しい」と説明する。ツーバイフォー工法を検討する際は、為替レートも注視したい。


1階のダイニングキッチン。天井の梁(はり)はエイジング加工を施し、さりげなく飾られたアンティークの雑貨と相まってナチュラルな雰囲気に。統一感を持たせてオーダーした食器棚(右手)脇に設けられた出入り口から家事室や浴室に移動できる


キッチンから一直線に家事室、物干場、倉庫と続く。倉庫は現在、バズの部屋


2階の寝室は、左奥に化粧室、ウオークインクロゼットと続き機能的


北側の駐車場脇から、南側の芝庭まで続くレンガ敷きのアプローチ。ハーブやバラ、西洋ニンジンボクなど、丁寧に手入れされた植物が美しい

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:264.48㎡(約80坪)
1階床面積:117.98㎡(約35.6坪) 2階床面積:64.33㎡(約19.4坪)
建ぺい率:39.71%(許容50%) 容積率:68.94%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:木造(ツーバイフォー工法)
設計・構造:アトリエPAD 饒平名知善
施 工:(有)エーアイホーム
電 気:宮電気
キッチン:(有)カーサ
[設計・問い合わせ先]
アトリエPAD
098-943-3235
http://www.pad‐cy.sakura.ne.jp/
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/比嘉千賀子

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1532号・2015年5月15日紙面から掲載

お住まい拝見

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

キュレーター
比嘉千賀子

これまでに書いた記事:146

編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

TOPへ戻る