開放的で高気密・高断熱|島建築(株)[お住まい拝見]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

第9回こども絵画コンクール

お住まい拝見

お住まい拝見

2024年2月9日更新

開放的で高気密・高断熱|島建築(株)[お住まい拝見]

[庭を楽しむ省エネ住宅]
緑の中に建つ木造平屋。施主のNさんは「エアコンを使うから窓はほぼ開けない。室内の温度や湿度が一定の高気密・高断熱の家にしたい」と希望した。開けずとも、庭の緑を楽しめ開放的な省エネ住宅だ。

木のぬくもりを感じるNさん宅のLDK。天井高が最高4.5メートルある上、庭に向かって大きな窓があり開放的な空間に
木のぬくもりを感じるNさん宅のLDK。天井高が最高4.5メートルある上、庭に向かって大きな窓があり開放的な空間に
 

木と緑に囲まれて

Nさん宅
 木造/自由設計/家族3人 

木々のアーチを抜けると杉板張りの外観が現れる。まるで隠れ宿のようなNさん宅。 

室内に入れば最高4.5メートルもある天井高に驚く。LDKは木のぬくもりを感じる空間で、香りや足触りも心地よい。アパート住まいのころから「冷暖房を使うので窓はあまり開けない」「共働きで洗濯はほぼ室内干し」だったことから、「室温や湿度が一定に保てる高気密・高断熱の家にしたかった。コストとの兼ね合いを考えると、木造の方が現実的だった」と話す。

土地は実家の隣地を譲り受けたが、建築会社を決めるのに苦労した。「気密性や断熱性は素人が見て分かるものではない。信頼できる会社を探すのに時間がかかった。工事の様子を細かくSNSにアップしていた会社に依頼した」
 

Nさん宅は、手前のLDKと寝室や浴室などがあるプライベートスペース(写真右奥)がしっかり分かれている
Nさん宅は、手前のLDKと寝室や浴室などがあるプライベートスペース(写真右奥)がしっかり分かれている

リビングのそばにある家族共用のデスクスペース。各個室は最小限の広さにして、ここで宿題やパソコン作業を行うリビングのそばにある家族共用のデスクスペース。各個室は最小限の広さにして、ここで宿題やパソコン作業を行う

LDKは方形(ピラミッド形)屋根で天井高は最高4.5メートル、低いところも4.1メートルあるLDKは方形(ピラミッド形)屋根で天井高は最高4.5メートル、低いところも4.1メートルある



クーラー1台で快適

完成したのは、シンプルな木造平屋。LDKのある「集いの箱」と寝室や浴室のある「プライべートの箱」がずれて重なる形だ。

二つの箱は、天井高が大きく違う。LDK側は4~4.5メートル。個室側は2.1~2.3メートルと、2メートル近くの差があり、ギャップで開放感を強調。

リビングは「ソファを置く場所だけ天井が低い。ヌック(空間の凹みなどを利用した小さなくつろぎスペース)のようで落ち着く」と話す。

一番の要望だった「気密・断熱性能もしっかりしている。わが家のクーラーはLDKに1台しかないが、寝室などの個室まで冷暖気が循環するシステムをつくってくれたので、快適」と話す。

夫人のお気に入りは脱衣室。「かなり広くして、干し場や収納もしっかり設けた。個室にもクローゼットはあるけれど、よく着る服はこっちにしまっているので、この部屋で洗濯がすべて済みます」。キッチン背面の大容量パントリーも大活躍している。「機能性も心地よさも大満足」と笑顔で話した。

玄関前にはもともと生えていた木を生かした緑のアーチがある。石敷きの庭と杉板張りの外観がマッチしており、隠れ宿のような雰囲気
玄関前にはもともと生えていた木を生かした緑のアーチがある。石敷きの庭と杉板張りの外観がマッチしており、隠れ宿のような雰囲気


キッチンや背面の収納も木で造作。レンジフードもコンパクトでおしゃれ
キッチンや背面の収納も木で造作。レンジフードもコンパクトでおしゃれ

 

広々とした脱衣室。物干し場や収納もたっぷり。「ここで洗濯がすべて済むから助かっている」と夫人

広々とした脱衣室。物干し場や収納もたっぷり。「ここで洗濯がすべて済むから助かっている」と夫人

床の隅には、リビングからの冷・暖気の吹き出し口が設置されている=下写真。「リビングと同じ温度で届くわけではないが、ちゃんと涼しいし、温かい。今のところエアコン1台で大丈夫」とNさん
床の隅には、リビングからの冷・暖気の吹き出し口が設置されている。「リビングと同じ温度で届くわけではないが、ちゃんと涼しいし、温かい。今のところエアコン1台で大丈夫」とNさん

ソファを置く部分だけは天井高を2.1メートルにしておこもり感を演出。エアコンは左上の1台だけ。その横にある玄関床下から冷暖気を吸い込み各個室に巡らせる
ソファを置く部分だけは天井高を2.1メートルにしておこもり感を演出。エアコンは左上の1台だけ。その横にある玄関床下から冷暖気を吸い込み各個室に巡らせる


ここがポイント
立地や機能生かして 開放的で省エネな家

島建築(株)では「建物全体を断熱材ですっぽり覆う『外断熱』、断熱性の高い『樹脂サッシ』に加え、壁は湿気をスムーズに排出する『通気クロス』、外壁は耐久性に優れた『杉板張り』が標準仕様」と話すのは、同社で設計を担当する與儀征剛さん。Nさん宅もこの仕様にして「施主の強い希望だった高気密・高断熱かつ丈夫な住まいを実現。長期優良住宅の認定を受けて、100万円の補助金も下りた」。

間取りは「もともと敷地に生えていた植栽を残すため、二つの箱に分けてずらした」。するとLDKの箱が「ちょうど正方形になったので、屋根を方形(ピラミッド形)にして天井を高くした」

さらに植栽を眺められるよう、リビングは大きな窓を設けて開放感を強調。「高気密・高断熱の家は開放感に欠けると思われがちだが、両立は可能」と力を込める。

省エネ性も高いNさん宅。エアコンはリビングに1台だけ。「リビングの横にある玄関土間の下からエアコンの冷・暖気を吸い込み、三つの個室(寝室、洋室、脱衣室)に、床下から吹き出すようにしている。仕組みはとても単純で、3室の床下にファンを入れているだけ。気密性の高い家だからできた」と説明。同システムは冷暖気を家中に巡らせるだけでなく「床下をドライに保つ効果も期待できる」。Nさんは「さすがにリビングと同じ温度で届くわけではないが、夏場もわりと涼しかった」と話した。


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども1人
敷地面積:473.34平方メートル(約143.18坪)
1階床面積:85.29平方メートル(約25.8坪)
建ぺい率:18.37%(許容70%)
容積率:18.02%(許容200%)
躯体構造:木造
用途地域:未指定
設計:島建築(株) 與儀征剛
施工:島建築(株)
電気:吉電設
水道:海西工業
造園:庭と建築 ハーベスト・ハイ! 岩村浩生


問い合わせ
 島建築(株)
 電話=098・943・4024
 https://www.shimakenchiku.com/


撮影/矢嶋健吾  文/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1988号・2024年2月9日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

これまでに書いた記事:343

編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

TOPへ戻る