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2026年1月30日更新

[お住まい拝見]食事も映画鑑賞もここで 半戸外の“パティオ”に人が集う、RC造平屋建て 家づくりの過程は連載に【リンクあり】|(有)チーム・ドリーム

[パティオが生活の中心]
「Aさんの家づくり完成までの道のり」で紹介中のAさん宅。高台で自然に囲まれた立地に設けられたパティオで食事を楽しみ、友人たちとくつろぎ、語らう。

外観 南から見た外観。中央に見えるのがパティオ。高さが最大約5.7メートルの屋根は雨や日差しを遮り、心地良い風が通り抜ける。食事やワークショップ、映画鑑賞も子どもが遊ぶのもこの場所。多目的に使えるアマハジのような半戸外空間

豊かな自然 取り込む家

人が出会い、集う場所
Aさん宅
 RC造/自由設計/家族3人 
 
LDK 写真右の高窓や上の天窓から差し込む光で明るく、開放的。高窓は最大85メートルの風にも耐えられるようにするため厚い窓ガラスを使用し、安全面にも注意を払っている

Aさんの暮らしの中心は、広々としたLDKの大開口を抜けた先にある半戸外の空間、パティオ。南に面し、深い屋根に覆われている6.5坪ほどの場所だ。寝室と子ども部屋に挟まれているが、外に広がる牧草地や天窓から光が差し込み、開放感がある。「内外がほどよく仕切られ、人目をほとんど気にせず自然をじっくり味わえる。朝食や夕食は家族とここで食べることが多い」とAさんは話す。

高台に建ち、隣地に住宅がないAさん宅は、心地良い風がパティオに流れる。外に広がる牧草や木々が風で揺れる音を聞き、豊かな自然に囲まれていると実感した。
 
外観 周りの景観に配慮して、建物の前に植栽スペースを設け、落ち着いた色調に。琉球石灰岩でできたヒンプンはAさん家族が休日を利用して積み上げたもの。坪庭や干し場は壁で囲い、プライバシーにも気を配った

要望実現のアイデア

高校で社会を教えているAさんは、平和教育にも力を入れている。設計を依頼した建築士については「沖縄県平和祈念資料館の設計を担当したと知っていました」。そんなAさんの希望は、「一人っ子の娘が多くの人と出会えるような家」と「ワークショップや映画鑑賞など、人が集まって楽しくくつろげる場所」だった。家づくりの相談時に建築士から半室外で多目的に使えるパティオを作る提案を受け、「このアイデアなら、自分の要望が実現できると思った」と依頼を決めた。共働きで平日は現場を確認する余裕はなかったが、「建築士が現状を定期的にメールで報告してくれて助かりました」と改めて感謝した。
 
パティオからの風景 「外が静かだと、木々が揺れる音や鳥のさえずりが聞こえ、真夏でも室内より快適な空間」だとAさんは言う。「これまで野良猫からアカショウビンまで、さまざまな動物を見かけました」

こうして完成したのは、開放的なLDKやパティオが中央にある住宅。寝室や物置きなどは建物の両端に集めて公私のスペースを分けた。友人を自宅に招くと、「コンパクトな住宅だが、開放的で広く感じる」と驚かれるそうだ。

「坪庭はもう少し手入れをする予定だし、今後建物が建っても視線を遮れるように中庭にシンボルツリーとしてハマスーキ(モンパノキ)を植えたい」と今後の目標を語るAさん。家づくり完成までの道のりはもう少し続く。
 
 


ここがポイント
パティオまで天井を続け 内外をつなぐ
 
キッチン キッチンからパティオを見る。「外の景色を楽しみながら料理ができる」とAさんはうれしそうに話す

設計を担当したチーム・ドリームの福村俊治さんと具志好規さんは、Aさんの「人が集まる家にしたい」、「多目的に使える場所が欲しい」という要望に、パティオがある住宅を提案した。パティオのメリットについて、福村さんは「年中暖かい沖縄の自然環境を最大限に享受できるぜいたくなリゾート風空間」、具志さんは「多目的に活用でき、人が集まる場所にもぴったり。何より住み心地が良くなる」とそれぞれ語る。南側に配置することで、夏は心地よい風がパティオから室内に流れ、冬は建物が北風を防ぐ間取りになっている。

室内面積は28坪とコンパクトだが、空間のつくり方で広く見せる工夫も満載。屋根は勾配のある切妻屋根にして、天井が高くなる中央にLDKやパティオを集めた。また、天井懐を設けず、コンクリートスラブに直接ペンキを塗ることで、天井までのスペースを目いっぱい活用できるようにした。「吸音板を貼って音の反射を抑えたほか、屋根は太陽の高度が高い沖縄の気候を考えて外断熱にした」と具志さん。天井の高さが必要ない押し入れや便所は両端に寄せて、「部屋の大きさや用途に応じた天井高を意識した」と福村さんは強調する。
 
和室 中央のLDKと比べて、天井は低く室内は少し暗い。独特の形の床柱はチャーギ(イヌマキ)を使ったもの。窓から見える坪庭はAさんの義父が主に施工した

それだけではなく、外の景色を見せたいパティオにつながるLDK南側の高窓は、天井までの一枚の大窓で、パティオまで連続している天窓も見えるようにした。これにより内外の空間が一体となり、さらに広く見せられる。「天窓は側面の窓より多くの光を室内に取り込めます。内側にはより光を拡散させるため、乳白色のフィルムを貼りました」。逆に和室やリビングの窓は外の視線を遮り、座った目線で坪庭の植栽がきれいに見えるように低めの窓にした。

パティオやLDKを連続して見せるために、内外装の壁や天井は白色系でシンプルにまとめた。「移り変わる夕焼けや照明の光に呼応して天井や壁面の色が変わり意外と飽きがこない。時間や季節の変化を楽しめます」と福村さんは説明した。
 
玄関 キッチン裏のユーティリティとの仕切り壁でLDKが玄関から直接見えないようになっている。飾ってあるのはAさんが好きな画家・儀間比呂志の作品
 

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども1人
敷地面積:314.28㎡(約95.06坪)
1階床面積:107.85㎡(約32.62坪)
建ぺい率:38.77%(許容60%)
容 積 率 :34.32%(許容200%)
用途地域:未指定
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設  計:(有)チーム・ドリーム
     福村俊治・具志好規
構  造:(有)西建築設計事務所
     西伸介・安田有喜
施  工:(株)日大建築 末次正幸
電  気:新光電機 新城功
水  道:桑江設備 桑江佳克

問い合わせ
(有)チーム・ドリーム
電話=098・943・4881
https://www.dream-archi.com
 

撮影/比嘉秀明 文/伊波克朗
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2091号・2026年1月30日紙面から掲載

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