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2023年11月10日更新

窓の位置まですべて一新|中古アパート購入 オーナールームを自邸に|築32年 RC造 アパートのオーナールーム 全面改修|こだわリノベ

工務店を営む原田雅史さん(47)の自邸は、築32年の中古アパートのオーナールームをリノベーションした。内装や間取りはもちろん、窓の位置まで一新。客に見せることを想定し、ハイブランドのキッチンや自動ドアなど珍しい設備も導入した。

リノベーション前
リノベーション前
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ステンレスのキッチンが存在感を放つスタイリッシュなLDK。もともとあった掃き出し窓は「隣家が近接していて開けづらい」ことから高窓に変えた
ステンレスのキッチンが存在感を放つスタイリッシュなLDK。もともとあった掃き出し窓は「隣家が近接していて開けづらい」ことから高窓に変えた
 


 改築前のお悩み 
「4LDKだったが個室は2つでいい。LDKを広くしたい」


自宅兼ショールーム

中古アパートを丸ごと購入し、広めのオーナールームを自邸としてリノベーション。設計・施工も自身で手掛けた。「好立地で、築年数の割には傷みが少なかった。家賃収入も得られるし、新築よりプラス面が大きい」ことが決め手となった。

既存の床や壁、天井を剥がし、少し増築しつつ4LDKから2LDKへ変更。「個室は最小限でいい。LDKを広く取りたかった」。

既存の掃き出し窓はコンクリートブロックで埋めて高窓や地窓にした。「南側は隣家が近接しているので、窓を小さくしてカーテン無しで暮らせる方が良い」と判断した。

夫婦とも「ホテルライクな空間」を望み、洗練された設備を導入。「工務店を営んでいるので、ショールームのように見てもらうことも想定した。今後、需要が伸びそうな設備や製品を導入して、実際の使い心地も伝えたい」。

高級感漂うステンレス製のキッチンは「デザインと機能性にほれ込んだ。夫婦二人で立てる広さと、95センチと高めなのもいい」。

トイレ横の手洗い場には、蛇口とハンドドライヤーが一体となった製品を導入。「タオルなど、生活感が出るモノを置きたくなかった。タッチレスで水も風も出るから衛生的」と話す。

 

LDKは和室まで一体となる。随所の照明が洗練された印象。「内装や照明などはプロにコーディネートしてもらったので、すごくいい雰囲気になった」と施主で建築士の原田さん
LDKは和室まで一体となる。随所の照明が洗練された印象。「内装や照明などはプロにコーディネートしてもらったので、すごくいい雰囲気になった」と施主で建築士の原田さん
 

トイレそばの手洗いは、蛇口の左右にハンドドライヤーが付いている。「タオルを置きたくなかったので導入した。便利で衛生的」と原田さん
 


寝室など個室はシンプルな造り。ゴザのような足触りのビニル製織物床を使用。「アレルギーの原因となるホコリやダニが付きにくい」


 

凹凸無くしすっきり

内装材は機能性も重視。水回りやクローゼットには調湿・消臭効果のある壁材をチョイス。「子ども室のクローゼットに湿度計をセットしているが、50%台で安定している」

寝室の床は、ダニやカビが繁殖しづらいビニール製の糸で織られた材を使用した。

多彩な材を使いながら、空間をすっきり見せる工夫も。「造作家具などは取っ手をつけずフラットに。壁と床の境目に取り付ける幅木も3センチと極細にした」

「プロに内装コーディネートをお願いしたことも奏功した。存在感がある設備や材を使いつつも、落ち着いた空間になった」と満足げに話した。


インテリアのようなキッチンは、「トーヨーキッチンの製品。高さと広さ、機能性などにほれ込んだ」。シンク内に調理台がついていているのも特徴。キッチンの背後にはパントリーがあり、扉はセンサーで自動開閉。「手がふさがっていても出入りできて便利」
 

玄関前にも、調湿・消臭効果のある壁材を使用(白壁部分)。こちらは凹凸があるタイプで、間接照明を合わせることで陰影が引き立ちウェルカムアートのよう

 


グレーでまとめたトイレ。二つ並んだ照明がアクセントになっている
 


北側は広めの開口を設けて採光を確保。ガラスブロックからやわらかな光が差し込む。原田邸の造作家具はすべて取っ手がない造り。直線を強調することで、シャープな印象に


子ども室はボーダーの壁紙と、木材を縦横交互にした「パーケット張り」の床にし、遊び心いっぱいの空間に



 原田さん宅 リノベのカギ
生活感を見せない造り&設備と、モノトーンの内装でスタイリッシュな空間に。随所に光沢素材を加えて高級感もプラス

 

落ち着いたトーンに光沢をプラス

横に細長い家をリノベーションするにあたって、「なるべく家族の顔が見えるようにすることと、家事効率が悪くならないように考慮した」と話すのは、施主であり設計も手掛けた(株)はらだ工務店の原田雅史さん。

LDKと和室は視界を遮らないようオープンな造りにした。「特にキッチンは、家中を見渡せる場所に配置した」

キッチン背面にはスモークガラスの食器棚を設置。そばにはパントリーを設けることで、「オープンな造りながら、生活感を見せないようにしている」。

家事動線に関しては、洗濯・乾燥機のある洗面脱衣室の中に小さな物干しスペースも設け「洗濯はここですべて済ませる」。床は掃除ロボットが移動しやすいよう段差を無くし全面フラットにした。

また、原田邸の内装やインテリアコーディネートを手掛けた空間プランナーの森田めぐ美さんは、「スタイリッシュで高級感のある空間を希望されていたので、白とグレーを基調にして落ち着いた雰囲気を演出した。しかし、それだけだと単調になるので、照明や大理石など、光沢のある素材を随所に加えてラグジュアリーさを演出した」と説明する。

「原田さんの希望で多彩な内装材を使っているが、色調をそろえると統一感がでる。原田邸では、明度(明るさ)と彩度(鮮やかさ)が低めの色でまとめて、シックな雰囲気を演出した」と話した。



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども1人
躯体構造:鉄筋コンクリート ラーメン構造
原田邸床面積:108平方メートル(32.7坪)
工期:6カ月
設計:(株)はらだ工務店 原田雅史
施工:(株)はらだ工務店
キッチン:トーヨーキッチンスタイルショップオキナワ
電気:(株)はらだ工務店
水道:(株)はらだ工務店
空間コーディネート:GIFT 森田めぐ美


[問い合わせ先]
はらだ工務店
電話=098・894・6487
https://www.harada-koumuten.net/


撮影/比嘉秀明 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1975号・2023年11月10日紙面から掲載

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スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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