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2023年11月3日更新

カラフルに映える!|(有)門一級建築士事務所[お住まい拝見]

[フォトジェニックな平屋]
外からは一見すると箱型の白い平屋だが、室内に入ると一変。中庭のピンクの壁が印象的な大城さん(44)宅。「家の中が明るくなって、ほかの家とは違う魅力になっている」。まさにインスタ映えするフォトジェニックな空間だ。

玄関ホール。地窓から見える中庭の壁、ガジュマルを描いたフィンガーアート、3色合わせのフローリングが、空間を華やかに彩る。黒の格子扉もシックで引き立つ(泉公/ララフィルム撮影)
 

中庭が空間の要

大城さん宅
 RC造/自由設計/家族4人

玄関ドアを開けた瞬間、目に飛び込んでくるのは、ブーゲンビレアを思わせる鮮やかなピンクの壁! ガジュマルを描いたフィンガーアートとの組み合わせも絶妙で、心が弾む空間だ。「明るいイメージの玄関にしたくて、設計段階でサイズを決めて、沖縄のアーティストに制作を依頼した。中庭のピンクの壁との相性もいい」と大城さんは喜ぶ。

室内は、中央に設けた中庭を囲むように玄関とLDK、書斎が配置されている。「子どもたちがどこにいても、様子が分かるように」という考えから希望した造り。子ども室もミニマムだから、家族みんながリビングに集い、好きなことを楽しむ。家事もコミュニケーションもスムーズだ。

「色や柄がごちゃごちゃ混ざり合いながら、何となくまとまっているキレイさが好き」という夫婦のこだわりで、床材や壁紙、家具は一つずつセレクト。個性的なインテリアをまとめているのが、中庭のピンクの壁だ。「建築士さんからの提案。家の中がすごく明るくなるし、ほかの家との違いも出るからいいと思いました。小6の娘の友達に『ピンクの壁、テンション上がる!』と、大人気です」と夫人は笑う。


中庭に面したリビング。間接照明はキャットウオークを兼ねている。奥にある和室は54センチ高い位置にあり、「高低差をつけてもらったことで平屋でも遊びのある空間になった」と大城さん


中庭。鮮やかなピンクの壁と青空のコントラストが印象的。床はタイル張りで、犬用にシャワーも取り付けた


仏間として設けた和室は、大胆かつシックな花柄の壁紙と木製ルーバーでモダンな印象



愛猫にも楽しい

相続した土地が南城市にあり、長男の小学校入学を見据えて家づくりを始めた。マンション暮らしの経験から、室内が見渡せるワンフロアで、中庭をロの字に囲む造りをイメージ。夫婦は「その形をカッコよく造ってくれるところをネットで検索。デザインが気に入った建築士事務所に設計を依頼した」。

リビングの間接照明上部は愛猫たちのキャットウオーク。リビングと高低差のある和室も、上下運動できるから猫たちの運動不足解消に効果的。「中庭に出せるのも助かる」。

3色の板をランダムに組んだ床は、夫婦のお気に入り。大城さんは、「マットな仕上げにしたおかげで、傷も気にならない。この先、傷もインテリアの一部になって、手を加えながら家が一緒に育っていくのが楽しみ」とほほ笑んだ。
 

キッチン。南側の開口部から山並みも見え開放的。LDだけでなく、中庭越しに玄関ホール=写真左=にも目が届く

 

中庭に面して設けた書斎は子どもたちの勉強スペース。背後には子ども室があり、LDKとも行き来しやすい


外観。東側=写真右=の駐車スペースに設けた大きな軒が、デザインのアクセントに。南側の開口部は、土間から85センチ上部にテラスも設けた

 

子ども室。2部屋を壁で仕切る。ロフトを設けて光を取り込み、高さを出すことで狭さを和らげる

 


ここがポイント
ピンクで調和と個性

プライバシー重視で、内外に閉じたコートハウスにしたいという大城さんの要望を踏まえ、室内は建物中央に中庭を設けた回遊性のある間取り。南側に和室とLD、北側に個室と水回りを配置し、公私の空間を分けている。

北側に前面道路、南側に山並みを望む立地。建築士の金城司さんは、南側に開口部を設け、山並みを借景として取り込むプランを提案した。「青空と緑、これぞ沖縄という絵になる風景は、日常を楽しむ彩りになる。オンライン会議の背景としても印象的で、どこでもリモートワークが楽しめるという要望を実現できると考えました」と金城さん。

南側の開口部は、外部からの侵入や台風時の風当たりといった施主の不安を和らげるため、室内(LDK)は床から54センチ、屋外は土間から85センチ上げて設けた。

採光・通風、視線の抜けはもちろん、インテリアの要にもなっているのが中庭だ。大城さん夫妻が選んだ床材や壁紙は、カラフルで個性的なデザイン。それらをまとめるには、「中庭にインパクトのある色が必要」と考えた。ヒントになったのは、色彩の強い壁面が印象的な、メキシコを代表する建築家・ルイス・バラガン氏の建築だ。「ブーゲンビレアに代表される鮮やかなピンクを提案。開口部から見える山並みや青空とのコントラストも考慮し、沖縄らしさを感じる色を選びました」

和室は床高を変えて配置し、横長の子ども室にはロフトを設けるなど、高さや部屋の形で目線の動きにも変化をつけた。リモートワークやSNSを鑑みた、背景にこだわった試みがユニークだ。



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:487.00平方メートル(約147.31坪)
1階床面積:144.91平方メートル(約43.83坪)
建ぺい率:28.51%(許容60%)
容積率:25.99%(許容200%)
用途地域:指定なし
躯体構造:壁式鉄筋コンクリ-ト造 
設計:(有)門一級建築士事務所
構造:(有)建築構造研究所
施工:(有)丸義建設
電気:大嶺電気工事(株)
水道:(有)共同工業 

問い合わせ
(有)門一級建築士事務所
​電話=098・888・2401
メール=https://www.jo1q.com/


撮影/泉公/ララフィルム撮影 文・比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1974号・2023年11月3日紙面から掲載

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週刊タイムス住宅新聞編集部

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