キッチンが家の中心|スリースターズ(株)[お住まい拝見]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

お住まい拝見

2023年10月6日更新

キッチンが家の中心|スリースターズ(株)[お住まい拝見]

[家事・子育てが楽な平屋]
「キッチンから、すべて見渡せる感じがいい」と話すHさん夫妻。宜野座村に建てた平屋には、キッチンを軸に家事も子育ても楽しくなる工夫が満載だ。

夫婦で好きなネイビーカラーをアクセントに用いた1階のLDK。「必ず家族と顔を合わせられるように」とLDKの奥に子ども室を設けた。小上がりになった畳スペースの下部は収納で、キッチンカウンターを勉強スペースとして活用する
夫婦で好きなネイビーカラーをアクセントに用いた1階のLDK。「必ず家族と顔を合わせられるように」とLDKの奥に子ども室を設けた。小上がりになった畳スペースの下部は収納で、キッチンカウンターを勉強スペースとして活用する


親も子も安心

Hさん宅
 RC造/自由設計/家族6人 

共働きで、小学4年生から3歳まで4人の子どもを育てるHさん夫妻。住まいに求めたのは、人が集い、家事も暮らしも楽しくできることだ。

玄関は、家族と来客の出入り口が壁で緩やかに区分けされ、家族はシュークロークから水回りへ直行できる。「仕事から戻ったら、まずお風呂に入ってさっぱりしたい。子どもたちにも、帰宅後は手洗いしてほしかったので」とHさん。

室内は、キッチンを囲むように、LD、個室、ウオークインクローゼット、水回りが配置されている。夫人は「行き止まりがないから、子どもたちは家の中でもかけっこやかくれんぼをしたりと、活発になりました」と笑う。

夫婦で好きなネイビーをアクセントカラーに用いたLDKは、集いやすさとコミュニケーションを重視。リビングの一角に設けた「腰掛けるにも、寝転ぶにも便利」という小上がりの畳スペースは、ときに子どもたちのステージに変わる。「子ども室に机を置くと狭くなるから」とキッチン正面に勉強用のカウンターも造り付けた。

子ども室からLDKを見る。高窓からも光を取り込み、明るく、開放的。階段状になった畳スペースは、子どもたちのステージになることも
子ども室からLDKを見る。高窓からも光を取り込み、明るく、開放的。階段状になった畳スペースは、子どもたちのステージになることも

子ども室。将来2部屋に仕切れるよう、可動式の間仕切りを設けた
子ども室。将来2部屋に仕切れるよう、可動式の間仕切りを設けた

間接照明で落ち着いた寝室。ベッド足元にはフィギュアの飾り棚も
間接照明で落ち着いた寝室。ベッド足元にはフィギュアの飾り棚も


女性目線の動線

4人目が生まれた後、妻の親族から土地を購入。建築士事務所に勤めるいとこに設計を相談した。「子育て中の女性ならではの目線で、いろいろ提案してくれたのが良くて。完成物件の見学もさせてもらって、依頼を決めました」

キッチンの背後に設けられたファミリークローゼットと家事室のおかげで、「洗濯から片付けまでがスムーズにでき、家事効率がアップしました」。

キッチンから見渡せる庭は、メンテナンスがしやすいよう土間に。バスケや水遊び、自転車を乗るにもうってつけ。Hさんは「これからブランコなどもおいて、外遊びがもっと楽しめるように整えたい」と、イメージを膨らませている。


キッチン。奥に浴室が見えるので、子どもの入浴を見守りながら食事の準備ができる

キッチン。奥に浴室が見えるので、子どもの入浴を見守りながら食事の準備ができる
 

玄関。仕切り壁を挟んでシュークロークがあり、家族はそこから出入りする

玄関。仕切り壁を挟んでシュークロークがあり、家族はそこから出入りする
 

洗面室。家族全員の身支度を考慮し、幅1.8メートルの洗面化粧台を配置

洗面室。家族全員の身支度を考慮し、幅1.8メートルの洗面化粧台を配置

南側からの外観。道路からの視線と西日を遮るために設けたヒンプンと、デザイン壁がアクセント南側からの外観。道路からの視線と西日を遮るために設けたヒンプンと、デザイン壁がアクセント
 

家族全員の衣類を納めるウオークインクローゼット。奥は家事室で、洗濯から片付けまでスムーズ

家族全員の衣類を納めるウオークインクローゼット。奥は家事室で、洗濯から片付けまでスムーズ

敷地北側にはデッドスペースを生かして畑も設けた敷地北側にはデッドスペースを生かして畑も設けた



ここがポイント
キッチン軸に家事効率化

設計プランで重視したのは、共働きのHさん夫妻が家事・育児と仕事を無理なく両立できること。建築士の中江ゆみさんは「キッチンを中心に家事動線の効率化を図り、家事と育児の負担を軽減しながら、集いも楽しめる間取りを提案しました」と話す。

間取りは、キッチンを中心に、南にリビングを配置。東に子ども室と寝室をまとめ、キッチンの背後となる北にウオークインクローゼットと家事室、西に玄関と水回りを据え、回遊できる造りにした。キッチンに立つと、両サイドにある子ども室や浴室だけでなく、テラスや庭まで目が届くから、子どもたちを見守りながら家事もスムーズに進められる。

玄関は壁で仕切って来客用と家族用に区分けした。家族は洗面室を通って、キッチン、浴室へと直接アクセスできる動線を設計。帰宅後は、自然に手洗いや入浴を済ませて居室に入るというライフスタイルをサポートする。

敷地は西側に交通量の多い幹線道路がある三角形の土地。建物を北に寄せて、南に庭を確保。北に残った三角地は夫妻の希望で畑にし、デッドスペースをなくした。

道路からの視線を遮るため、玄関前にヒンプンと植栽帯を設けて目隠しする。「スポットライトで壁面と植栽を照らすことで、日中と日暮れどきで表情の違う外観を楽しめるようにしました」。

また、LDKに差し込む西日対策と道路からの視線を遮るため、テラス西側の壁は庭に張り出すように設けた。壁は色と仕上げを変え、外観のアクセントとしても生かす。



[DATA]
家族構成:夫婦+子ども4人
敷地面積:392平方メートル(118.58坪)
1階床面積:89.19平方メートル(26.97坪)
建ぺい率:24.06%(許容70%)
容積率:22.75%(許容400%)
用途地域:無指定
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設計:スリースターズ(株)
   宮里歩、中江ゆみ
構造:ASD Planning
施工:スリースターズ(株)
電気:(有)アート電気工事社
水道:三建設備(株)

問い合わせ
スリースターズ(株)
電話:098-988-4258
https://three-stars.co.jp/


撮影/比嘉秀明 文・比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1970号・2023年10月6日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2389

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る