お住まい拝見
2023年9月1日更新
夢の“アスレチックハウス”|サイアスホーム(株)[お住まい拝見]
[運動好きの一家の要望詰め込み]
リビングにはボルダリング壁やターザンロープ、庭には本格的なバスケットコートを造った。アスレチックのようなMさん宅。体を動かすのが好きな一家の夢を詰め込んだ。
バスケコートにこだわり
Mさん宅
RC造/自由設計/家族5人
新居を建てる際、Mさん夫妻は「子どもたちに住みたい家の図面を書いてもらった」。ハンモックにロフト、ボルダリングができる壁、中学1年の長女は一人部屋など、たくさんの希望が挙がった。妻は「長男(小学4年)の要望だった、2階からの滑り台以外は形にできたかな」と笑う。「子どもたちが楽しく過ごせる空間にしたかったし、巣立っても孫と一緒に遊びに来たくなる家にしたかった」。
外の本格的なバスケットコートは「僕の要望」とMさん。「最初は二世帯住宅を予定していたが、その計画がなくなってぽっかり敷地が空いた。どうしようか考えたときに、タイムス住宅新聞で室内にバスケコートがある家を見て。同じバスケ好きとして、負けられないと思った(笑)」。
バスケやフットサルなど、さまざまなスポーツの国際連盟がコートに公認している床材を取り寄せるこだわりぶり。「3ポイントシュートが打てる広さは譲れなかった」と満足げに話す。
ダイニング・キッチン。キッチンのカラー漆喰が空間を明るい印象にしている。
バスケットコートは、プロからアマチュアまで幅広い層に支持されているアウトドア床材「パワーゲーム」を使用。「家族皆で敷き詰めた。コートのラインも長男と引いた」と話す。DIYとは思えない美しい仕上がり
家族が好きなブルーを用いた外観。左側の引き戸から直接、バスケットコートに行ける
アーチに一目ぼれ
住んでいたアパートが手狭になったことが家づくりのきっかけ。同じ学校区内で土地を購入した。建築会社は「アーチ型の出入り口の壁に一目ぼれして決めた。また、長男がアレルギー性鼻炎があるので、化学物質を使わず無垢(むく)材フローリングや漆喰(しっくい)など、自然素材を使った家作りをしているのもポイントだった」と妻。「引っ越してから、鼻炎の症状が出にくくなった」とMさん。
ほかにも「リビングを通って各個室へ行く造り」「トイレは2カ所」なども要望通り。「あと、せっかく買ったけど前の家では出番がなかった跳び箱で遊ばせたいので、子ども室は開放的にしてほしいというお願いもした」。長男と次男(小学1年)の部屋は、5枚の引き戸をフルオープンにすればリビングまで一体となる造り。広々とした空間で、念願の跳び箱を楽しむ。
暑い日も雨でも台風でも。体育館のような家でアクティブに過ごしている。
長男と次男の子ども室は約10帖。中央で仕切って二部屋にすることも可能。5枚引きのつり戸は開けるとすべて壁内に納まり、フルオープンにするとリビングと一体となる。収納は扉を付けず「DIYでスクリーンを付けた(右奥・オレンジ色の部分)。コスト削減と、好きな色や素材にしたかったのでオープン収納にした」とMさん
トイレは二つあり、写真は玄関側のトイレ。「間取り上、正方形になったため便器を斜めに設置して広く感じさせている」と建築士。床の模様も斜めのラインを踏襲してスタイリッシュな印象
ここがポイント
玄関側にロフト配置
「ロフトはMさん一家たっての希望だった。ロフトを設けつつも、なるべく天井高を抑えて建築コストがかかり過ぎないように考慮した」とサイアスホームの建築士・宮里友彰さんは話す。
ロフトは天井高を1.4メートル以下にするなどの要件を満たせば階数にカウントされず、平屋扱いになるというメリットもある。キッチンなどの水回りや、個室の上部に設けられることが多いが「その場合、下の空間の天井高は2.4メートルくらいある方が使いやすい。ロフトの高さやスラブ(床の厚み)と合わせると建物全体の高さは4メートル以上になりがち」と話す。
Mさん宅では、玄関横のシューズインクローゼットと廊下の上にロフトを設けた。「収納や廊下は長時間いる場所ではないので、天井高を2.1メートルに抑えた。そうすることでロフトを設けつつも高さは3.7メートルで済んだ」
玄関側にロフトを設けたことで、キッチンから上で遊ぶ子どもたちに目が届く。ロフトの小窓を通して玄関へ声掛けもでき、「一石三鳥くらいになった」。
ロフト下部の壁にはボルダリング用のホールド(突起物)を設置。「ホールドやハンモック用フックなどを設置する場合、躯体または下地の補強が必要なので設計段階で相談するのがベスト」と説明する。Mさん一家は、どこに何を設置したいかを決めて家作りに望んだ。それが“アスレチックハウス”実現のカギとなった。
勾配屋根のMさん宅。玄関が一番天井が高く、3.9メートル。ロフトの小窓から「おかえりー」と顔を出す子どもたち
ロフトの下は靴を履いたまま出入りできるシューズインクローゼット。バスケシューズコレクションもしっかりしまえる大容量。ここから室内に入ることもできる
夫人の希望で付けた上がりかまちの間接照明が柔らかく三和土(たたき)を照らす。出入り口の垂れ壁はアーチで統一。「漆喰仕上げなので壁紙と違ってアーチを造りやすい」と建築士
[DATA]
家族構成:夫妻、子ども3人
敷地面積:318.37平方メートル(約96.3坪)
1階床面積:102平方メートル(約30.85坪)
建ぺい率:22.80%(許容50%)
容積率:22.63%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート壁式構造
設計:サイアスホーム(株) 宮里友彰
構造:サイアスホーム(株)
施工:サイアスホーム(株)
電気:正光電気
水道:沖正設備
◆問い合わせ
サイアスホーム(株)
電話=098・989・7512
https://www.saias-home.co.jp/
撮影/矢嶋健吾 文・東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1965号・2023年9月1日紙面から掲載
この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。