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2023年2月10日更新

太陽熱温水器や薪ストーブ! 沖縄で自然との共生をゆるーく楽しむ家|(株)intree[お住まい拝見]

「この豊かな土地に、なるべく負担を掛けない暮らしがしたい」と自然エネルギーを活用した設備を積極的に導入したT邸。設備に費用を掛けた分、外構や収納はコツコツDIYで造っている。

ゆるーく“持続可能”|(株)intree[お住まい拝見]
150坪の傾斜地に立つTさん宅。裏の畑で野菜を育てる。自然エネルギーを活用する暮らしをしており、屋根に乗っているのは太陽熱でお湯を沸かす「太陽熱温水器」、テラスには薪(まき)ストーブの煙突が出ている。建物から梁(はり)が出ているのは、いずれDIYで庇(ひさし)を付けるため


海と空と山と

Tさん宅
木造/自由設計/家族3人

ダイニングとキッチンは土間床。片隅には薪(まき)ストーブが鎮座する。

リビングは床・天井・壁も“木空間”。西側の掃き出し窓の向こうに豊かな緑が広がる。「夏場は西日が入ってくるけど、この景色には変えられない」と目を細めるTさん。

その外にあるウッドデッキはTさんのお手製。ちゃぶ台を出して食事を楽しむことも。デッキ上部には「今後、庇(ひさし)をDIYする予定。完成すれば西日も和らぐかな」

DIYゾーンが多い理由は、薪ストーブなどの設備に予算を割いたため。ほかにも太陽光で湯を沸かす「太陽熱温水器」や雨水タンクなど、自然エネルギーを活用する設備を導入した。「海・空・山に囲まれたこの土地に、なるべく負担を掛けない暮らしをしたい」からだ。

「設備面は妥協したくなかったので、その分を労働で補いました。壁の漆喰(しっくい)塗りをしたり、キッチンの収納や調理台を手作りしたり。なかなか大変でした!」と夫人。それもまた、T邸の温かみとなっている。


薪ストーブで料理も

子どもの学校区を考えながら土地を探し、購入したのが約150坪の傾斜地。「家を建てるのは難しいと言われたり、予算がかなりオーバーしたりで」建築士探しは難航した。あちこちまわった中で「敷地の良さを生かしながら、コストバランスを考えてプランしてくれた会社に依頼した。私たちのやりたいことをポジティブに捉えてくれたのもうれしかった」と夫人。

今の時期は薪ストーブが大活躍。「2階まで温まるし、付属のオーブンも重宝。なんてことない料理も、薪で焼くとおいしく感じる」と話す。太陽熱温水器は「夜でも50度くらいで保たれ、一日中使える。ガス給湯器も併設しているけど一度も使っていない」。

とはいえ、ストイックに電気を使わないわけではなく「テレビやゲームも大好き」とTさん。自然との共生をゆるーく楽しんでいるのが印象的だった。

ゆるーく“持続可能”|(株)intree[お住まい拝見]
リビングの西側はフルオープンできる掃き出し窓を設置。天気の良い日はTさんがDIYしたウッドデッキにちゃぶ台を持ち出して外ご飯を楽しむ
 

ゆるーく“持続可能”|(株)intree[お住まい拝見]

洗面室も西側にあり、景色が良いので正面を窓にし、鏡は左上の収納ボックスの中に設置




ここがポイント
眺め調査し窓配置

「敷地調査の際、西側の自然が素晴らしかったことと、2階以上にすれば東側から海が望めることが分かった。この緑・海・空とつながる住まいを考えた」と(株)インツリーの佐藤友恵さんは話す。

景色の良い1階西側にリビングを据え、「4枚引きでフルオープンできる掃き出し窓を設置。西日はロールスクリーンや、DIYで庇(ひさし)を作って対処してもらうことで調整した」

2階南側のフリールームは「どの窓からも、見えるのは海か空か木々になるよう位置・サイズを吟味した」と説明する。そのこだわりは洗面所にまで。通常、洗面台の正面には鏡があるが「景色が良いので正面は窓にして、鏡は収納ボックスの中に設置した」。施主は「朝晩、景色を眺めながら歯磨きできて、気持ちが良い」と話す。

一方で、東側は前面に道路がある。「土地の造成工事を減らすため、建物を道路側に寄せて建てたので距離も近い。外からの目線が気にならないよう、窓の位置を調整したり、すりガラスにしたりして採光・通風を確保している」

また、佐藤さんも自邸で「DIY施工」を経験。それを元にTさんにアドバイス。「漆喰(しっくい)塗りは、床から手が届く範囲なら素人でも可能だけど、高所や天井まで塗るのは無理だった」と説明。Tさんは「素人思考で、予算が浮くなら全面やろうとしていた。線引きしてもらえてありがたかった」と話した。
 

ゆるーく“持続可能”|(株)intree[お住まい拝見]

玄関脇に、国産・ハンドメードの「イエルカ」の薪ストーブを設置。薪は「ありがたいことに近所の材木店から廃材・端材を無料でもらえる」とTさん

 

ゆるーく“持続可能”|(株)intree[お住まい拝見]

キッチンの棚や調理台などは夫妻で手作りした。使い込まれた食器と相まって、温かみのある優しい空間になっている

 

ゆるーく“持続可能”|(株)intree[お住まい拝見]

リビングからキッチンを見る。キッチンとダイニングは土間床で、裏の畑から取ってきた泥付きの野菜を気兼ねなく調理できる

 

ゆるーく“持続可能”|(株)intree[お住まい拝見]

東側は、子ども達の通学路でもある道路に面しているため、窓は外からの視線が気にならない位置に配置したり、すりガラスにしている
 

ゆるーく“持続可能”|(株)intree[お住まい拝見]

2階のフリールーム。どの窓からも海や緑が望めるよう配置を計算
 




[DATA]
家族構成:夫婦、子1人、うさぎ1匹
敷地面積:521平方メートル(約157坪)
1階床面積:61平方メートル(約18.45坪)
2階床面積:52平方メートル(約15.73坪)
建ぺい率:70%(許容70%)
容積率:200%(許容200%)
用途地域:非線引き
躯体構造:木造在来工法
設計・施工:(株)intree 佐藤康平、佐藤友恵
構造:カスタムハウジング
省エネ設備設置・施工:(株)プラヂナー


問い合わせ
(株)intree
電話098・960・4680
https://intree.jp/


撮影/矢嶋健吾 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1936号・2023年2月10日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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