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2022年5月20日更新

[沖縄・お住まい拝見]間取り9等分で柔軟に|(株)一級建築士事務所STUDIO MONAKA

[開放的な集いの場]読谷村のKさん(34)宅は、高床式の木造平屋。室内は、柱の上に乗る梁(はり)によって9等分されているが、天井や壁などの仕切りが少なく開放的。隣の実家からおいやめいが遊びに来たり、友人が集ったりとにぎやかに暮らす。

ダイニング。左右対称の骨組みと間接照明でスッキリした印象。柱の上に乗った梁(はり)が室内を9等分しており、右手にはキッチン、左奥にはリビングがある。寄せ棟屋根の形をそのまま生かした天井で全体をつないでいるほか、部屋同士の仕切りも少ないため、実面積より広く感じる


部屋を広げる中央部

Kさん宅
木造/自由設計/家族3人

高さ1メートル以上の基礎の上に建ち、宙に浮いたようにも見える木造平屋のKさん宅。中に入ると、床は杉材、壁は合板とシンプルな内装で、木の柱や梁(はり)が見える造り。窓枠まで木製で、Kさんは「木のぬくもりを感じるし、壁に何かを貼ったり取り付けたりとラフに使えるのもいい」と話す。

間取りは、同サイズの九つの空間が漢字の「井」のように配置されている。それぞれキッチンや寝室などの機能を持ち、リビングでは長男(6)が宿題をしたり、隣に住むおいやめいと遊んだり。夫人(34)は「リビングは1段低くなっているので、キッチンからでも様子がよく見える」。

その中で、中央の空間は決まった機能を持たない。しかし、人が集まる際のダイニングになったり、昼寝をするリビングになったりと、さまざまな機能を拡張する。

また、室内は天井部分で全体がつながる。大きなワンルームのような印象だ。「壁などの仕切りも少ないので開放的。どこにいても家族の気配を感じられる」とKさん。



家の中央部分。人が集まる際に右手のダイニングの延長などとして使う。風の通り道になっており、「季節が変わっても、ここにいたらどこかしらから風を感じられる」とKさん。はしごを上った先、水回りの上と寝室の上は収納になっている

右手のフィックス窓から光が入って明るいキッチン。設備自体は既製品だが、それを壁などと同じ素材で囲むことで統一感を出した


書斎(左)と寝室。床や壁だけでなく、仕切り戸や窓枠も木製なので木のぬくもりを感じる


玄関前の庭。シンボルツリーのソウシジュが心地よい影を落とす。左手の実家との間には大きな塀などがないため、行き来しやすい


駐車スペースは9台分
以前、敷地にはKさんの実家の母屋があった。しかし、築50年を超え、老朽化していたため解体することに。その土地を譲り受け、家造りがスタートした。

設計は高校野球部時代の友人に依頼。当時、Kさんがその友人と交わした「建築士になったら設計をお願いする」という約束を果たした形だ。

夫婦の要望は「子どもが巣立った後の生活を見据えたコンパクトな家」と、9台分の駐車スペース。広々したその駐車場は、隣に住む両親や兄夫婦と共用しており、親戚や友人たちが集まった時にも重宝する。さらに普段は子どもたちの遊び場にもなる。走ったりボールで遊んだり、夏にはプール遊びも。夫人は玄関前の階段に座り「ここから子どもたちが遊んでいるのを眺めている時間が好き」と話す。

住んでもうすぐ3年。ダイニングからは祭りの花火が見え、高校野球部の同窓会の会場になることもある。「みんなでワイワイするのが好き」というKさん。マスクのいらない日常が戻れば、さらににぎわいの絶えない家になりそうだ。

基本的にシンプルなデザインのA邸だが、出入り口やニッチ(小物を飾るくぼみ)のアーチが優しい雰囲気を演出


ここがポイント
柱の上に梁でコスト減

Kさん宅の敷地は東から西へと緩やかに低くなっており、大雨の日には大量の水が流れてくることもあった。そこで建築士の仲本兼一郎さんは、基礎を高くすることに。「面積が広い分、盛り土をするにはコストがかかる。そのため高さ1~1・5メートルのコンクリートの基礎を4列、3メートルピッチで並ぶように立ち上げた」。風が通り抜け、湿気もたまりにくいという。 その上に建つ木造の躯体は、柱の上に南北方向の梁、東西方向の梁、そして梁と天井をつなぐ束が重なる。「一般的には、1本の柱に仕口を彫り、そこに梁を組み合わせていくが、今回は積み木のように重ねていった。そうすることで材同士の接合部を簡略化でき、施工期間やコストの抑制につながる。沖縄に合う木造を目指した」

その柱や梁にはシロアリに強いレッドウッドを使用。強度については構造設計者と相談し「基礎まで力が伝わるようにすることで、台風に対しても家全体で風圧に耐えられるようにした」という。

3メートル×3・5メートルの空間を格子状に並べた間取りは、家族構成の変化による間取りの変更などに対応しやすくするため。床材も各空間ごとに区切っている。「個室が必要なら仕切りを設けられるし、子どもが独立したら空間の一つを外部テラスにすることも可能。作り込みすぎないように意識した」

さらに、床は厚さ30ミリの杉材を土台に載せているだけで、いわゆる床下空間を設けていない。配管などは外部に露出させることで、水回りも移動しやすくなっている。「室内も室外も、見えない部分をなくすことで点検やメンテナンスもしやすい」と仲本さん。

そのほか、屋根材は断熱材入りのものを使用。その下に空気層と断熱材を設けることで、上からの熱の影響を受けにくくしている。


骨組み部分。柱の上に南北方向の梁(はり)が乗り、さらにその上に東西方向の梁、天井と梁をつなぐ束が乗って、金物で固定している。シンプルな構造となるため、コスト削減や施工期間の短縮などにつながる



外観。基礎部分の立ち上がりは1~1.5メートルと高く、風通しが良いため、湿気がこもりにくい。メンテナンスのしやすさにもつながっている(写真は建築士提供)


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども1人
敷地面積:368.29平方メートル(約111.18坪)
1階床面積:94.5平方メートル(約28.59坪)
建ぺい率:25.62%(許容60%)
容積率:25.62%(許容200%)
用途地域:未指定
躯体構造:木造
設計:(株)一級建築士事務所
   STUDIO MONAKA 仲本兼一郎
構造:門藤芳樹構造設計事務所
施工:(有)大協建設
造園:庭と建築 ハーベストハイ!

問い合わせ
(株)一級建築士事務所STUDIO MONAKA
電話098・851・7711
https://studiomonaka.com/


撮影/矢嶋健吾 取材/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1898号・2022年5月20日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
出嶋佳祐

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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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