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お住まい拝見

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2021年3月26日更新

アートと緑を満喫|Arms DESIGN

[平屋でシンプルに暮らす|お住まい拝見]
好きな絵と、緑が楽しめるようプランした平屋で「シンプルなのが過ごしやすい」と実感しているKさん(40)。庭を眺めながら語り合う時間が、夫婦の楽しみになっている。

庭に面したリビング・ダイニングは、高窓からも光と風を取り込み開放的。空間のアクセントとして設けたコンクリート打ち放しの壁には、自作の絵を掛けて楽しむ


好きとこだわりを形に

Kさん宅
 RC造/自由設計/家族3人 

玄関を入ると、Kさんが描いた絵と、ガラス越しに見える植栽が出迎える。庭に面した21・5畳のリビング・ダイニングをコの字に囲むように水回りと個室、和室が配置された室内は、「好きな絵を飾ることを意識して、設計してもらいました」とKさん。家に飾るために自身でも2枚、絵を描いた。

夫人(40)は、掃除のしやすさを重視。「物をため込んでしまわないように」と、収納は必要最低限にした。キッチンは、「個室的な造りのほうが落ち着く」と、一部だけがダイニングに面してオープンになっている。

キッチン本体は、夫人のスケッチをベースにオリジナルで製作した。「キッチンメーカーをあちこち回ったからこそ、自分にとって必要な造りが見えてきました」と、使い勝手の良さを実感する。


キッチンからリビング・ダイニング、和室をみる。小上がりになった和室は、親戚の子が来ると、ステージに早変わり。床にはワックス仕上げのチーク材を選んだ。「足触りがよく、ゴロゴロ転がるのも気持ちいい」とKさん
 

玄関脇の坪庭。ガラス張りになった玄関ホールと屋根で覆われたポーチに光を届ける役割も果たす
 

 

光庭に面して天窓を設けた浴室は、周囲からの視線を計算して、壁高を調整。「湯船に漬かると星が見えて気持ちがいい」とKさん
 

くし引きの黒壁でシックにしつらえたトイレ。コンクリートで造作したカウンターは、曲線のラインで柔らかな印象に
 

色にこだわり

敷地は、Kさんの父親が畑として使っていた土地。「ローンを組むなら、年齢的にも今だ」と家づくりを決断した。

設計は、以前に店舗を設計してもらい、気心の知れた建築士事務所に依頼した。「デザイン的な部分もいろいろ提案してもらい、話し合いながら細かく調整できました」とKさん。

色に興味があるという夫人は、何枚もスケッチを描き、色鉛筆やクレヨンを塗り重ねて、理想の色を追求。タイルなどの色選びに反映した。

長男(0)が生まれ、現在は子育てに奮闘中。Kさんは、「ダイニンテーブルでコーヒーを飲みながら庭を眺め、話をする時間が楽しい。大きな犬を飼って、庭で息子と遊ばせたい」と夢を膨らませる。
 

半個室的な造りになったキッチン。オリジナルで制作してもらったステンレス製のキッチンは、細部の造りや寸法まで指定。黄色とグリーンのアクセントウォールも目を引く
 

小上がりになった和室。床の間の壁に、ランダムなひだの陰影が美しいドレープを用いたことで、モダンな雰囲気に
 

寝室。床と同じチーク材を壁から天井まで張り、木のぬくもりがあふれる。天井部分を柔らかな曲線にすることで、包み込まれるような感覚に


外観。道路に面して設けた幅10メートルのガレージが、奥の住宅を程よく目隠し。庭には祖父の代から畑に植わっていたツゲの木をシンボルツリーとして植え直した


ここがポイント
光庭と窓の配置で見下ろす視線遮る
住宅街に建つKさん宅。敷地は東西に長く、3階建てのアパートがある北側の隣地が約2メートル、東側の隣地は約3・4メートル高い。そのため、隣家から見下ろされる視線にどう配慮するかが課題だった。

西側の一角は畑として使いたいとのKさんの希望もあり、建築士の城間聡さんと西村修さんは、光庭や天窓、高窓を効果的に活用して光と風を取り込むプランを提案した。

室内は、リビング・ダイニングを中心に据え、開けた南側と西側に大きな掃き出し窓を配置。「リビング・ダイニング部分は屋根に勾配をつけ、南面には高窓を設けました」と西村さん。水回りは東側にまとめ、浴室と物干し場脇に光庭を設けることで、北側、東側の隣家からの視線を遮りながら、採光と換気、開放感を高めている。

南側の前面道路に面した敷地中央部には、幅10メートルのガレージを配置。その奥に住宅を据えることで、道路からの視線を遮る。

ガレージはデザイン性を重視。両サイドの壁と幅10メートルある屋根の厚みを均一にしてスッキリ見せるため、ダイヤモンドボイドスラブ工法を用いた。「コンクリートスラブの中に、特殊な発泡スチロールを均等に配置する工法。軽量で剛性が高いため、ロングスパンの屋根を大きな梁(はり)で支えることなく実現できます」。

ガレージの背面は縦のアルミルーバーにして、デザインとして魅(み)せながら、住宅への採光と風通しも確保した。


 

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども1人
敷地面積:606.55平方メートル(183.48坪)
1階床面積:163.59平方メートル(49.48坪)
      ※駐車場含む
建ぺい率:31.49%(許容60%)
容積率:21.57%(許容150%)
用途地域:第1種中高層住居専用地域
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設計・構造:Arms DESIGN
      城間聡、西村修
施工:(有)セイシン住興
電気:(株)山川電気
水道:(株)大晧設備

問い合わせ
 Arms DESIGN
 電話098・988・4242
 facebook.com/arms.design.okinawa/


撮影/高野生優(フォトアートたかの) 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1838号・2021年3月26日紙面から掲載

この記事のキュレーター

キュレーター
比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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