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2019年8月2日更新

【プロがつくる庭】客誘いもてなす店舗のガーデン

vol.11 このコーナーでは、和洋問わずプロが手掛けた多彩な庭を紹介します。

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クロワッサンカフェ クイニー(那覇市)
ハーブ揺れる南仏風の庭


曲線を多用した優しい印象のお庭。植栽のメインはローズマリー


種類少なくとも量で迫力

那覇市の高台にあるカフェのガーデンデザインを手掛けた平識麻紀さんは、「イメージしたのは南仏プロバンス地方のナチュラルガーデン。丈夫で手間の掛からないハーブを多用しながら、素朴で優しい印象のお庭にしました」と語る。

塀は土壁風にリフォーム。柔らかさを演出すべく、曲線的にした。所々にのぞくれんがが経年美を醸す。

植栽はローズマリーやセージを中心に、オリーブやユーカリポポラスなどの高木も枝を広げる。グリーンのコントラストの中で、シルバー葉のイシギクがアクセントになっている。

それらの植物を日当たりや風通し、見え方を考慮して配置した。「スペースが限られている住宅の庭なら多彩な植物を寄せ植えしますが、広々とした庭を手掛けるときは一つの植物をまとめて植えます。そのグループをあちこちに配置することで、迫力とメリハリが出るんです」と説明する。

植物の種類は多くないが、要所要所にこんもりと茂るローズマリーのおかげでにぎやかな印象だ。「ゆるやかにカーブを描く小道は庭に奥行きを生みます。そしてカーブ付近はあえて道に張り出すようにして植栽して、お客さんがハーブの中を抜けてお店に行く感じにしています」

エイジング塗装が施されたアンティークな門扉をくぐり、小道をたどりながら緑を観賞。テラスやアイアンのインテリアを横目に、店の入り口に到着する。

店内に入る前から楽しめる、おもてなしの庭だった。
 

駐車場から続くれんがや木製風の小道が来客を店まで誘導する


こんもり茂るローズマリーやセージのグリーンの中で、シルバー葉のイシギクがアクセントになっている


門扉はエイジング塗装でアンティーク感を演出している



ディ・ファルベ(現在は閉店しフルールと統合)
曲線の小道で広がり演出

白いユーフォルビアがブーケのように茂る。この小花を目立たせると同時に、庭にメリハリを付けるため小さな柵も設けた(2015年撮影)


段差付けて奥行き生む

浦添市にあった花屋「ディ・ファルベ」は4年前、建物の老朽化により店を閉じ、那覇市の「フルール」と統合した。

そのディ・ファルベの庭は、店を営む平識さんの好きなユーフォルビアをメインに、フレンチラベンダーやマロウ、セージなど紫色の花々が彩りを添えるかわいらしいイングリッシュガーデンだった。ユーフォルビアは、白く小さな花を咲かせる。可憐だが印象が薄いため、「ブーケのようにまとめて植え、背面には白い柵を設けて目を引くようにしました」。

また、限られた店先のスペースでも「散策気分を味わってもらうべく、れんがでくねくねの遠回り道を造ったり、階段で奥行きを演出したり」と工夫を凝らしていた。

平識さんは、「私が花屋を始めて今年で20周年を迎える。将来、またディ・ファルベのようなお庭があるショップをつくるのが目標です」と語った。

     

(左)階段には欠けたタイルを埋め込み、古さを演出(右)レンガはあえて無造作に敷いて味を出した(2015年撮影)



店には15年以上、大事に育てていたシンボルツリーのヒイラギやフジが寄り添っていた(2015年撮影)


ガーデンデザインプロデュース/fleur(フルール)
098-860-8787
 


編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1752号・2019年8月2日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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