庭・garden
2019年6月6日更新
【プロがつくる庭】繊細な小葉揺れ 優しさと安らぎ
vol.09 このコーナーでは、和洋問わずプロが手掛けた多彩な庭を紹介します。
Kさん宅(那覇市)
1年ほど前に改庭したKさん宅の主庭。以前はドラセナなどのダイナミックな植物を植えていたが、小葉のオーストラリアプランツに変更して統一感が出た。小葉といえど、葉の形や色にバリエーションがあり1本1本の木々をじっくり見ても面白い。香りも楽しめる
▲改庭前(主庭)
オーストラリアプランツ主に
壁に囲まれた環境生かす
初夏の風にサワサワと小葉が揺れ、ふわっと爽やかな香りが漂う。「ティーツリーですね。ゼラニウムやローズマリーなども香りますよ。五感で楽しめる庭にしました」と語るのは、Kさん宅の改庭を手掛けた、プランタドールの鈴木康久さん。
れんが敷きの駐車場の一角にある主庭。背後にはクリーム色の外壁がある。建物の優しい雰囲気にマッチしたその庭は、三角葉アカシアや細葉のレプトスペルマムなど、繊細な小葉の植物で構成されている。ユーカリポポラスの小さく丸い葉も柔らかな印象を醸す。
「これらはオーストラリアが原産の植物なんです。葉の形がユニークでおしゃれ。常緑樹を主に植栽しているので、花の無い時期でも楽しめます」と語る。Kさん宅の主庭は「三方を壁に囲まれていて、台風の影響を受けにくい」こともオーストラリアプランツに適していた。「ただ、多湿な場所が苦手なので、水はけを良くするため土壌改良をしました。ここに植えて1年ほどたちますが、元気に育ってくれていますね」と鈴木さん。
端で青々と枝を伸ばすシマトネリコはオーストラリアプランツではないが、「背後にある窓をゆるく隠してくれています。ちょうどよい樹形だったので、ここに入れています」。Kさんも「室内からも緑が見えて、気持ちがいい」と笑顔。
道路沿いの前庭。壁にはう、つる性植物は以前のままだが、花壇の植栽を変更した。こちらも小葉の植物が中心。「オリーブやフェイジョアなど丈夫で潮風にも強い植物を入れています」と鈴木さん
▲改庭前(前庭)
統一感考慮し植栽
前庭には丈夫な木
多様な色、高さの植物が植えられていた以前の庭。「それとは印象を変えたい」とのKさんの要望から、ドラセナやクロトンなどのダイナミックな植物は裏側にある中庭に移動させ、軽やかな小葉の植物に統一した。「サンユウカなど花が咲く植物も入れていますが、主張が強過ぎない白やピンクなどにとどめています」。Kさんも「庭にまとまりがでて、洗練された印象になった」と満足げだ。道路沿いにある前庭では、丈夫で潮風にも強いオリーブやフェイジョアが目を楽しませる=上写真。
目を凝らすと、一つ一つの植物に手書きのネームプレートが付いている。これは鈴木さんのこだわりだ。「新しく入れた植物には付けるようにしています。名前が分かれば、インターネットでこの植物が好む環境や特徴を調べることができますから」。
本格的な夏の到来を前に、強めに剪(せん)定し、風通しを良くした。カットした葉さえ、楽しむ事ができるのだそう。ユニークな葉形のオーストラリアプランツは「ドライフラワーにしても良い」。いろいろな楽しみ方ができるKさんの庭だった。
敷地の裏側にある中庭。以前の主庭・前庭に生えていたドラセナやクロトンなどの主張が強い植物はこちらに移動。「ここは緑一色だったが、クロトンなどがこちらに来たことで、彩りが豊かになった」とKさん
主庭の植物たち。三角葉や細葉、色もシルバーがかった葉や黄緑色などさまざまだ。観賞の邪魔にならないよう、支柱も背後の壁に合わせてクリーム色に塗装されている
窓を目隠しするシマトネリコ。鈴木さんは「樹形がKさん宅にぴったりだった! これからもっと成長して目を楽しませてくれると思う」と語る
設計・施工/プランタドール
098-917-2834
編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1744号・2019年6月7日紙面から掲載
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- 東江菜穂
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。