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2018年12月28日更新

【プロがつくる庭】街中のオアシス 庭師の技随所に

<年末年始号 特別編> プロがつくった庭を紹介する当連載の年末年始特別編。和洋琉の要素を融合させたり、広さを演出したり、プロの技が光る二つの庭を紹介する。

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Nさん宅の庭(金武町)

懐深い和洋琉の庭


Nさん宅の庭。地面に町花のサクラが咲く。写真左側のひし形の竹垣が「チヌブ」で、右側の石積みが「壁泉」

地面に大輪のサクラ
立派なイヌマキが枝を伸ばし、そのそばにはポインセチアの木が赤く色づく。木々の根元には落ち着いた緑葉のヤブランなどが茂る。Nさん宅の庭は多彩な植物が共存し、優しい雰囲気。

「植物だけでなく、多彩な技も盛り込んだ」と語るのは、同庭を手掛けたナカムラ造園土木の仲村弘喜代表。地面には、金武町の町花であるサクラをコンクリートであしらった。その周辺には切り石を組み合わせた長方形の「延べ段」が配されている。

さらにイヌマキを守るように立つのは「版築(はんちく)土塀」=下写真。法隆寺の庭にもある土塀で、土の層が模様を成す。一層一層、手作業で突き固めて造るため「Nさん宅の土塀は完成まで2週間かかった」という。赤土や白砂が波打つそれは、見どころの多い庭で主木のイヌマキの存在感をより強める。


主木を守るように立つ「版築土塀」。赤土や白砂などを用い、一層一層手作業で突き固めて模様をつくる

洋風庭園に見られる石積みの滝「壁泉(へきせん)」がチロチロと水音を響かせ、琉球伝統の竹垣「チヌブ」が庭の端にある家庭菜園を目隠しする。和洋琉の工法がさりげなく散りばめられている。

仲村代表は「Nさん宅の庭は、カーブを多用して優しい印象にした。さまざまな遊び心も、柔らかな雰囲気でしっかり受け止めてくれる。懐の深い庭になった」と語った。

設計・施工/ナカムラ造園土木

金武町屋嘉2432番地
098-964-5670


 

赤嶺さん宅の庭(那覇市小禄)

風情楽しむ中庭


重厚感のあるクロキと風情ある海石が調和した庭。建物に囲まれた中庭ながら、緑と石の演出により伸びやかさを感じる。まさに「街中のオアシス」だ

飛び石で奥行きを演出
広さ約15坪で、四方を建物に囲まれた中庭。だが、狭さも圧迫感もない。クロキやツツジ、サンダンカなどの緑が壁の印象を緩和し、岩の起伏が立体感と広がりを感じさせる。手掛けた金勢造園の知念政徳代表は「イメージしたのは街中のオアシス」と語る。 施工は大変だった。赤嶺さん宅は庭を囲むコの字形で、「コ」の開いた部分には隣家が近接する。「大きなクレーンで、建物を乗り越えるようにして木や岩を運び込んだ。相当、神経を使った」と語る。

苦労したかいあり、赤嶺さんは「すごく癒やされる。この岩やクロキは、雨にぬれるとツヤっぽくなってさらに良い雰囲気になる」と目を細める。

立派な3本のクロキは赤嶺さんが所有していたもの。「たぶん、樹齢は何百年という逸品だと思う」と知念代表。コンパクトな庭で「クロキの存在感を出しつつ、窮屈にならないようバランスを考えて」、3本を三角形に配置。これにより景色に強弱がついたと同時に、庭全体に立体感が生まれた。2本のクロキの間には飛び石を敷いて=下写真=「その先を想像させ、奥行きを演出している」。要所の工夫で、伸びやかな「中庭庭園」が完成した。

赤嶺さんは「砂利敷きにしてもらったので管理も楽。2~3月ごろはツツジが咲き誇り、一段ときれいになるんです」と声を弾ませた。


飛び石と3本のクロキが訪れた人を庭の奥へと誘う

設計・施工/金勢造園
南城市大里字古堅496-1
098-946-7800

編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1721号・2018年12月28日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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