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2019年1月4日更新

【プロがつくる庭】心弾む自然の彩り 癒やしと驚きの庭

<新春 特別編>前号(1721号)に引き続き、プロがつくる庭の特別編。今回はシックな中庭と、花いっぱいのレストランガーデンを紹介します。

Jさん宅の庭(本島南部)

余白の美で「和モダン」


植栽を絞り、余白を生かすことで「和モダン」にした主庭。主役を張る「アオギリ」や「リュウビンタイ」だけでなく、「ブッタンチク」(写真左端)など「脇役まで珍しい植物を植栽している」と八木さん

中庭の利生かして植栽
Jさん宅の主庭には、野趣あふれる大きなシダ「リュウビンタイ」や、パイナップル科の「オドラータ」、青々と枝を伸ばす高木の「アオギリ」などが息づく。一つ一つの植物は存在感があるが、全体を見ると一体的で落ち着いた「和モダン」な雰囲気。

それは、植物を絞った余白のある造りだったり、一面の砂利や随所に散らした本部石灰岩の効果だったり、緑の高低差で強弱をつけた演出の賜物(たまもの)だ。庭の設計・施工を手掛けたプランタドールの八木重樹さんは、「癒やしだけだとつまらない。驚きだけだと飽きてしまう。両方を取り入れつつ、Jさんが要望する和のエッセンスも盛り込みました」と語る。和のイメージには合わないように思える南米産のオドラータだが、「葉色がシルバーだから、シックな雰囲気にも合うんです」と説明する。

コンセプトとともに念頭においたのは、壁に囲まれた中庭ということ。日差しや風が当たり過ぎない地の利を生かし、「直射日光や乾燥を嫌うリュウビンタイや、強風にあまり強くないアオギリなどを植栽しました」。

玄関前の前庭=下写真①=は、「ジャボチカバ」や「レウコフィルム」などが出迎えてくれる。「こちらは花木や果樹を入れて、優しい雰囲気にしました」。

完成から2年がたち、植物は少しずつ大きくなってきた。さらに年月がたてば「主庭で一番背の高いアオギリは、豊富な葉で木陰をつくり、リュウビンタイやオドラータを守ってくれると思います」。Jさん宅の庭では、個性的な植物たちが穏やかに共生していた。


①優しい雰囲気の前庭。八木さんは「主庭へつながるよう『和モダン』のエッセンスも盛り込んだ」。サルスベリのように幹肌がつるんとした「ジャボチカバ」や葉色がシルバー色の「ボーチンブルー」、「レウコフィルム」などが植栽されている


オドラータのアップ。シルバー色の葉が魅力


③ゴツゴツした株から大きな葉が伸びるリュウビンタイ

設計・施工/プランタドール
浦添市大平2-7-13 A-7
098-917-2834


ガーデンレストラン 花さんご(南城市玉城)

お花好きが集まる庭


約1000坪の敷地に、四季折々の花が咲き誇る。今の時期はブーゲンビリアやハイビスカスが見ごろ

滝やハウスも見学無料
世界的なガーデニングコンテスト「チェルシーフラワーショー」で7年連続金メダルを受賞した石原和幸さんが設計・施工した「ガーデンレストラン 花さんご」の庭。約1000坪の庭には大きな滝や観葉植物が生育するハウスもある。見学は無料だ。

本紙2018年11月2日発行号(1713号)に掲載して以来、「お花好きのお客さまがたくさん来てくださる」と語るのはスタッフの久場政志さん。訪れた人々はあちこちで足を止めながら、「このお花、こんなに綺麗(きれい)に咲くの?」「初めて見た!」と楽しそうに散策する。

300種以上ある植物の中で、特に人気なのが「ペトレア」。プロペラのような紫色のがくの中に小さな同色の花が咲く=下写真。「うちの“アイドル花”。ハウスで大事に育てているから、年に数回は咲きます」


花さんごの「アイドル花」と言われるぺトレア。ユニークな花の形と美しい紫色が人気

また、「年中咲いているハイビスカスやブーゲンビリアですが、実は冬が旬。今の時期は華やかで見応えがあります」と話す。同店のブーゲンビリアは「美しく発色させるため、水や肥料の量を調整している」。ピンクや白、紫だけでなく、オレンジ色もあり、冬場の庭に彩りを添える。

 レストランのテーブルには同店オリジナルの「貝殻植えコチョウラン」が飾られている。「コチョウランの花言葉は『幸福が飛んでくる』。販売もしているので贈り物としてもオススメですよ」と呼びかけた。


門扉をくぐると、亜熱帯系の植物がイキイキと葉を広げるジャングルのような小道が続く


同店オリジナルの貝殻植えのコチョウラン。販売もしている(3500円~)

花さんご
南城市玉城屋嘉部142
 098-948-2311

編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1722号・2019年12月28日紙面から掲載

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東江菜穂

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週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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