庭・garden
2018年11月2日更新
【プロがつくる庭】植物300種以上 アジアンガーデン
vol.04 このコーナーでは、和洋問わずプロが手掛けた多彩な庭を紹介します。
ガーデンレストラン花さんご(南城市玉城)
見学は無料! 癒やしの庭
約1000坪の敷地には広大な庭やレストラン、観葉植物などが生育するハウス(右奥)がある。オーナーの小波津さんが「多くの人に見てもらえる庭を造りたい」と5年をかけてこの土地を見つけ、「岩山だったところを造成してもらった」。もともとあった琉球石灰岩が庭のあちこちに鎮座。沖縄らしさを演出している
石原和幸氏がデザイン
世界で活躍する庭園デザイナー・石原和幸さんが手掛け、「日本一のアジアンガーデン」と言い切る自信作が南城市にある。しかも無料で見学できる。
ことし4月にオープンしたガーデンレストラン「花さんご」の庭だ。約1000坪の敷地に300種以上の植物が生育。花々に足を止められ、なかなかレストランにたどり着けない。極め付きは高さ約3メートルの滝。巨大な琉球石灰岩から流れ落ちる水にくぎ付けになる。
「皆さんが、心癒やされるガーデンをつくりたかった。敷地が足りなければレストランは建設しなかった」と語るのはオーナーの小波津和子さん。「第二の人生は、大好きな植物で世の中に恩返しがしたい」と5年をかけて土地を探し、ようやく南城市の高台に見つけた。
「最高の庭をつくるため」、イギリスで行われる権威ある庭のコンテスト「チェルシーフラワーショー」で7年連続金メダルを受賞した石原さんに「ダメもとでお願いしたところ、快く引き受けてもらえた」。
石原さんに「誰もが楽しめる南国の庭」を依頼し、年中色とりどりの花が楽しめるバリアフリーの庭が完成。「石原さんは慣れない沖縄の植物や琉球石灰岩に苦労したようですが、やりがいも感じていた」。
そして冒頭の言葉。「身が引き締まる思い。レストランを利用しなくてもいい。多くの方にこの庭を見てもらいたい」。
ジャングルに迷い込んだよう
スタッフと植物談議も
駐車場からレストラン前まで、小道が続く。ところどころに大きな倒木や琉球石灰岩が配されている
駐車場から門扉をくぐると、くねくねした小道が続く。あえて視界が開けないつくりになっており、目の前の植物へと意識が誘導される。色とりどりの花々を楽しみながら歩いていると、少し広い場所に出る。
突如、巨大な倒木が現れる。これも石原さんのデザイン。琉球石灰岩に横たわる姿は倒れてなお、たくましさを感じる。ジャングルに迷い込んだような雰囲気だ。
レストランの前に来ると一気に視界が開け、大きな滝が目に飛び込んでくる。
そして順路はガラス張りのハウスの中を通りレストラン入り口へ続く。ハウスには花さんご(サンゴアブラギリ)などの観葉植物が生育する=下写真。
写真右奥が琉球石灰岩の滝。高さは3メートルほどあり「ドドド」と迫力ある水音。自然の滝のようで人の手が入っているようには見えない。「これが石原マジック。そこにほれ込んで依頼した」と小波津さん
小波津さんをはじめ、スタッフは植物の話をすると止まらない。スタッフの一人、久場政志さんは、今まで植物に興味はなかったそうだが「ここでは四季折々どころか毎日、いろいろな植物がいろいろな表情を見せてくれる。自然と興味が湧いてきた」と笑顔。
庭はもちろん、スタッフとの植物談議も楽しい。
ガラス張りのハウスの内部。アンスリウムやヘリコニアなどの観葉植物が生育。ここにも小さな滝があり、優しい水音を響かせる
花さんごの「見どころ」植物
▲サンゴのような形の「花さんご(サンゴアブラギリ)」。店名の由来になっている
▲まるでイソギンチャクのようなユニークな姿の「キサントステモン・クリサンツス」
▲ぺトレア。美しい紫色の花を咲かせる。風車のような形の花で、枯れ落ちるときもくるくる回転し最後まで目を楽しませてくれるそうだ
ガーデンレストラン 花さんご
南城市玉城屋嘉部142
098-948-2311
※火・水曜定休
HP/hanasango.info
設計・施工/石原和幸デザイン研究所
編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1713号・2018年11月2日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。