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2018年10月5日更新

【プロがつくる庭】せせらぎを増設 癒やしの二重奏

vol.03 このコーナーでは、和洋問わずプロが手掛けた多彩な庭を紹介します。

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大城さん宅(糸満市)

豪快な滝と対照 穏やかな水流


縁側から庭を眺める。約3坪とコンパクトな庭だが、カーブや傾斜を多用して奥行きを演出している

近所に配慮した庭
住宅密集地にある約3坪の小さな和風庭園。ここには喧騒(けんそう)を忘れさせてくれる二つの水場がある。

一つは落差60センチほどの小さな滝。20年ほど前に作った。高低差は大きくないが、水の勢いが強く「ザザザ…」と豪快な音を響かせる。岩をたたき、飛び散るしぶきを眺めていると汗がスーッと引いていくような爽快感がある。

滝の下から、直線距離にすると3メートルほどのせせらぎは、昨年の2月に増設した。滝とは水の循環路が別。ゆったりとした流れで「チロチロチロ」と優しい水音。キラキラと輝きながら太鼓橋をくぐり、白砂利が模す大海にじんわりと染み込んでいく。

施主の大城さん(64)は「迫力ある滝も良いけれど、優しいせせらぎもほしかった。20年越しの思いがやっとかなった」とにっこり。特等席の縁側から剛と柔、二つの水場を見つめる。「隣家が近接しているので、水音を考えて夜に滝を流すのは控えていた。だけどせせらぎなら夜も楽しめる。一日中、ここに座っていても飽きない」

取材時は、滝とせせらぎ両方を流してもらった。テンポの違う二つの水音が癒やしのハーモニーを奏でる。目を閉じると住宅地に居ることを忘れてしまう。


植物はクロキやツツジ、サンダンカなど。庭師は「目新しい緑はないが、いろいろな角度から庭を楽しめるようにしているので、飽きが来ない」という

岩と緑を重ね奥行き演出

勾配や曲線で広がり
庭を手掛けたのは伊良波庭苑の上原俊一さん。20年ぶりにせせらぎを増設するのに合わせ、植栽や岩の配置も変えた。

「改庭にあたり、心がけたのはバランス」。まずは緑と岩と水のバランス。小さな庭で滝もコンパクトなことから、「庭木をあえて斜めに植えたり、低めに整えたりして岩と緑の間に隙間が出来ないようにした。緑と岩の重なりの奥から水が出ているように見せ、自然な雰囲気を演出した」。

植栽スペースは勾配をつけ、木々の根元を隠すようにツツジやサンダンカなどの低木を植えたことも「人の手が入っていないように見せ、小さな庭でも奥行きを生むポイント」だと説明する。

次に新旧のバランス。製作年代の違う二つの水場を調和させるため、せせらぎに使用した南部石灰岩には魚類の内臓から作った「黒ゴケ培養液」を吹きかけて年代を経たような渋い風合いを作り出した。

植栽やせせらぎにはカーブを多用。「多彩な角度から庭を楽しめるようにした」と工夫を語る。

小さな庭だが楽しみ方はいろいろ。長居したくなる、そんな大城さんの庭だった。


設計・施工/伊良波庭苑
電話090-9781-0808

 

編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1709号・2018年10月5日紙面から掲載

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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