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2024年12月20日更新

座る姿勢のポイント|ずっこけ座りは要注意![介護を支える 住まいの工夫㊵]

先月の「寝る姿勢」に続き、今回は「車いすに座る姿勢」について、作業療法士の金城知子さんが解説。「車いすを長時間利用する障がい者にとって、身体に適合させるフィッティングと、正しい姿勢で座ることはとても大切。快適さと健康維持につながります」とアドバイスする。

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介護を支える住まいの工夫 ㊵


座る姿勢のポイント

ずっこけ座りは要注意!


悪い姿勢 機能低下に

作業療法士の金城さんは、「車いすに長時間座る利用者が良い姿勢を維持できるようサポートすることはとても重要」と話す。「良い姿勢で座ることができれば、疲れにくく活動意欲も向上しますが、不適切な姿勢は褥瘡(じょくそう)や体の痛み、疲労を引き起こし、呼吸や消化へも影響します」と注意する。

座位の悪い例として挙げるのが、「ずっこけ座り」と呼ばれる「仙骨座り」だ。背もたれに大きく寄りかかり、体が前にずれている状態で、腰への負担が大きい=下図。「車いすに浅く座っているとそうなる。シートの奥深くに骨盤をしっかり乗せ、背もたれに自然と背中が沿うようにするといい」と助言。「ずっこけ座りは呼吸を妨げ、誤嚥(ごえん)のリスクがあります。疲労から食欲低下、身体機能の低下にもつながります」と指摘する。



フィッティング 車いすも必要

体に適合していない車いすでは、正しい姿勢で座ることが難しい。利用者の身体機能に合わせ調整する「フィッティング」も重要だ。フィッティングのチェック項目は以下の通り。

・シートの幅/お尻の幅プラス約5センチ 
・シートの高さ/足を乗せるフットサポートから膝下の高さを合わせる 
・シートの奥行き/背もたれにお尻をつけて座り、膝の裏がシートから少し離れる 
・背もたれ/高さが肩甲骨の下まである 
・肘掛け/肘を自然に乗せられる高さ 

半身まひがある場合、片側の筋力低下で姿勢が崩れやすく、まひ側へ傾いたり、骨盤がゆがんだりしやすい。まひ側にクッションを配置し、体の傾きを防ぐなどの工夫が必要だ。「まひ側の腕が肘掛けに自然に乗り支えられていること、全身のねじれ、傾きがないか確認しましょう。足裏が安定していないと、摂食や嚥下(えんげ)に影響することが分かっています。まひ側の足裏もフットサポートにしっかり乗せましょう」と金城さん。

車いす用クッションも、体圧分散や姿勢サポートに有効だ。金城さんは、「車いすに座る姿勢は、利用者の快適さと健康に大きく影響します。専門家のアドバイスを取り入れ、定期的な見直しを心掛けて」と呼び掛けた。

 

 

きんじょう・ともこ/社会福祉法人おもと会本部・結ま~るケアプロジェクトリーダー、作業療法士


取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2033号・2024年12月20日紙面から掲載

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