庭・garden
2024年12月6日更新
【自分でつくる庭】儀間光広さん宅の庭|庭も人も継続は力
このコーナーでは、施主自ら楽しみながら作った庭を紹介する。
儀間光広さん宅の庭(糸満市)
庭も人も継続は力
石垣沿いに伸びる儀間家の「ドラゴンガジュマル」。左右に誘引しながら、じっくり枝づくりをした。ひげのような根「気根」が太く成長し枝を支えている。グスクをイメージして作ったという石垣も見事
ドラゴンガジュマル
地域の名物にもなっている儀間家の「ドラゴンガジュマル」。石垣に埋まった中央の幹から、左右に2本の枝が伸びる。樹齢は約120年、全長は30メートルほどあるそうだ。体をしならせ泳ぐ龍のような姿は圧巻だ。「以前は80メートルくらいあったけど、手入れが大変なので剪定(せんてい)した」と話すのは、施主の儀間光広さん(66)。
「今はシーズンじゃないから70%ぐらいの仕上がり」と言いつつ、筋骨隆々とした肉体を披露してくれた儀間さん。「夢は70代でボディービル マスターズ日本一になること」
ドラゴンガジュマル以外の木々も見事な枝ぶりだ。「木の個性に合わせて1本1本、枝づくりをしている」と話す。お気に入りの木は? と聞くと「選べない。どの木にも愛情を注いでいる」と目を細める。
「グスク」をイメージし石積み
クロキやガジュマルなど木々の間に、鉢植えや雑貨が置かれにぎやか。「どこから見ても楽しい庭を目指した」と儀間さん
石積みや石畳なども儀間さんがコツコツ造り上げた。柔らかくカーブを描く石積みは「グスクをイメージした。理想の形に仕上がった」と笑顔で話す。
これだけ庭をつくるのは相当な重労働だ。しかし儀間さんは現役のボディービルダーで、筋力には自信がある。「食事制限やトレーニングはきついこともある。でも庭で作業をしていると癒やされる」とにっこり。
日々、地道な作業を続け、ほんのわずかな変化を積み重ねることで理想の姿に近づいていく。「その点は、庭もボディービルも似ているかもしれないね」
世代交代見据えて整理
階段や灯籠、ひんぷんなども儀間さんがDIYした。落ち葉や雑草がほとんどなく、まめに手入れしていることが分かる
木はもともとの形を見て、個性を生かす樹形に整えている
家の屋上から見た庭。クロキやガジュマル、ソテツなどがバランス良く配されている
石と木は夫 鉢や装飾は妻
木々の間からは鉢植えの花木や、かわいらしい雑貨がのぞく。「これは女房が置いている。動かすときは許可をもらわないと、ご飯抜きになるよ(笑)」。夫婦の好きな物を集めた庭は、どこを見ても楽しい。
これまでに4度、改庭をしたと言う。最初はゲッキツなどの木を中心にした庭、その後は子どもが遊べるよう芝庭に、3度目は生け垣を中心にした庭をつくった。
そして今回は、石積みを中心にした琉球庭園風。「これが最後かな。子どもへの世代交代も考えて、手入れしやすくした」。
理想の形に仕上がったが完成ではない。これから年月を重ね円熟味を増していく。
門扉の両サイドに植えた2本のガジュマルで屋根をつくった
ドラゴンガジュマルは、道路側から見ても圧巻。剪定された葉も、波打つような枝ぶりも美しい
取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2031号・2024年12月06日紙面から掲載
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。