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2024年10月4日更新

【プロがつくる庭】マツが主役 継承する庭

作庭/(有)ナカムラ造園土木

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マツが主役 継承する庭

Tさん宅の庭(沖縄市)

ピロティ駐車場横の庭。建物に遮られた狭い景色を逆手に取り「イメージしたのは足立美術館の『生の額絵』。天井や壁で景色を切り取ることを想定して、木や石を配置した」と庭師の仲村さん

改庭前 以前の庭は直線的だった


「生の額絵」のように

日本庭園で有名な足立美術館(島根県)には、窓枠で庭を絵画のように切り取る「生の額絵」がある。

沖縄市のTさんの庭は、ピロティ駐車場の開口部で、景色を切り取る。建物で視界が遮られることを逆手に取った。鉄筋コンクリートの額縁の中で、双幹のリュウキュウマツがクロキをしたがえ、悠々と枝を広げる。「庭師さんの畑でこのマツを見て、樹形の美しさに一目ぼれした」とTさん。

新築時から30年近く、自分でコツコツと庭づくりをしてきた。手塩にかけた庭に、好きなリュウキュウマツを入れたいとプロに依頼。「タイムス住宅新聞を見て、マツを使った美しい庭づくりをする造園会社にお願いした」と話す。

横一列に並ぶクロキは既存のまま。そこにリュウキュウマツ、石や灯籠などの景観物を入れてもらった。「やはり餅は餅屋。石や木の配置の仕方、低木や景観物のバランスの取り方はさすが。一気に格式高い庭になった」と喜ぶ。
 

既存のクロキは位置もそのまま。そこに双幹のリュウキュウマツを配置。海石や灯籠、四ツ目垣なども入れた和風庭園。壁側に土を盛ることで奥行きを演出

門扉前にも、新たにリュウキュウマツを入れた=下写真。頭上に伸びるマツは、斜幹ならではの迫力がある。幹の下をくぐると、青々とした芝庭が広がる。きれいに刈り込まれた木々や芝生に、Tさんの腕と愛情がにじむ。日よけのパーゴラなどもDIYし、孫の遊び場になっている。
 


奥に鎮座するリュウキュウマツとイヌマキは、Tさんが親から引き継いだもの。「新しく入れたマツも成長が楽しみ。子や孫の代まで引き継いでいきたい」と目を細めた。
 

Tさんが親から引き継いだリュウキュウマツとイヌマキ



配置や盛り土で奥行き演出


小さな木や石で趣

ピロティ横の庭はクロキが直線的に並ぶ単調な庭だった。庭師の仲村弘喜さんは「日本庭園は奥行きを感じさせることが重要。心木となるリュウキュウマツを手前に出し、奥に向かって高く土を盛ることで立体感を演出した」と話す。リュウキュウマツは、「二股に分かれた双幹の珍しい樹形。大きくはないが、鳥が羽を広げたような堂々たる姿で目を引きつける力がある」。足元はジャワサンダンカ、サツキ、ヤブラン、ハクチョウゲなどで彩りを添えた。

「石は丸みを帯びた海石を入れた。本当はもっと大きな石を入れたかったが、庭が建物の奥にあるので施工上、難しかった」。小さいながらも波に洗われた唯一無二の形状の石で、リュウキュウマツとのバランスを取った。

門扉前で枝を伸ばす「門かぶり」のマツは、「敷地内外、どちら側から見ても正面になるように樹形を整えた」。
 

門扉の前で斜めに枝を伸ばす「門かぶり」のリュウキュウマツ。敷地の外から見ても内側から見ても「どちらも正面になるように樹形を整えた」と仲村さん


Tさん宅の二つの庭は「基本的にマツを1本入れて、その周辺を整えただけ。それでもだいぶ印象は変わる。庭園は畳一枚の広さでも楽しめる。ぜひプロに相談してほしい」と仲村さんは話した。

 

玄関前の芝庭。TさんはDIYもかなりの上級者。パーゴラなども自分でつくった

 

芝生、そして随所のイヌマキやクロキなどの木々も青々としてきれいに刈り込まれている。庭師の仲村さんも「よく手入れされていて、すばらしい」と絶賛する


作庭/(有)ナカムラ造園土木
住所/金武町屋嘉2432
電話/098・964・5670


取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2022号・2024年10月4日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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