企業・ひとの取り組み
2026年1月23日更新
70代単身男性の賃貸入居 大家や管理会社の不安を払拭した、「見える化」対策|住まいでつながる未来の安心 共助で支える、高齢社会の賃貸経営⑤
県内最大規模の管理戸数を抱える中部興産のグループ会社・興産アメニティでは65歳からの部屋探しをサポートする「R65不動産沖縄」事業を行っている。同事業を担当する久田尚志さんが県内の現状や課題について執筆。今回は、入居中の不安を「見える化」で払拭した70代単身男性の事例を紹介します。

執筆/興産アメニティ(株)久田尚志
入居後を“見える化”
県内最大規模の管理戸数を抱える中部興産のグループ会社・興産アメニティでは65歳からの部屋探しをサポートする「R65不動産沖縄」事業を行っている。同事業を担当する久田尚志さんが県内の現状や課題について執筆。今回は、入居中の不安を「見える化」で払拭した70代単身男性の事例を紹介します。
Q・「万が一」のときの対応について
県内の「高齢者の住まい」の実情を当連載に反映させるため、皆さんの不安や悩みを教えて下さい。今回は、借主(入居者)、管理会社、オーナーの方などにお伺いします。
「万が一のときの対応フローは決まっている?」
Googleフォームからご回答ください。
誰がどう対応するか明確に
「夜中に倒れていたら、誰が気づくんですか?」「亡くなった後、部屋の片付けは誰がやるんですか?」。高齢者の入居相談をしていると、大家や管理会社から必ずといっていいほど挙がる声です。
実は、孤独死の平均年齢は61歳。60歳以下の現役世代が4割を占めているというデータもあります(日本少額短期保険協会2021年リポート)。
孤独死は決して高齢者だけの問題ではありません。本当に必要なのは年齢で線引きすることではなく、入居後に何が起き、何か起きた際に誰がどう動くのかを「見える状態」にしておくことです。
入居希望者ができること
入居希望者側にも、改善できる点があります。
ある70代男性から入居相談がありました。申込書の緊急連絡先欄は空欄のまま。「連絡を取れる方はいらっしゃいますか?」と尋ねると、「弟とは連絡が取れるかもしれない…」という、やや曖昧な返答。
健康状態に問題はなく、介護保険の利用もなし。収入は年金のみですが、支払い能力には問題ありません。入居希望者の立場からすれば「家賃保証会社とも契約するし、大丈夫だろう」と軽く考えてしまいがちです。確かに書類だけを見ると、特段の問題はないように映りますが、管理会社の立場で考えると「何かあったとき、誰がどう対応するのか」が見えません。緊急連絡先をしっかりと埋めている他の入居希望者と比較されたとき、選ばれにくくなってしまうのは明らかです。
物件を案内する際には、管理会社や大家がどのような視点で入居の可否を判断しているのか丁寧に説明し、緊急連絡先や収入欄はできる限り埋めていただくようお願いしています。

「見える化」後からでも可能
先ほどの70代の男性のケースを「見える化」したプロセスを紹介します。
①緊急時の連絡先を明確にする
まず男性の弟さんに連絡を取り、「万一の際、第一連絡先として対応可能か」を確認しました。弟さんからは「連絡があれば対応します」との了承を得ることができました。
②日常の見守り
今は元気な男性ですが、独り暮らしは異変に気づかれにくい環境にあります。そこで当社の「水道メーター安否確認サービス」を提案。異変があった場合は、当社から管理会社に第一報が入るという流れを、事前に確認しました。
すると、緊急連絡先も入居後の対応も「未知数」だった男性が「何かあれば弟さんに連絡し、入居中はライフラインの利用状況で生活が見守られる」という状態に変わりました。
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2025年10月に住宅セーフティーネット法が一部改正されたことにより、居住支援法人が死後事務を引き受ける法人として事前に契約を結び、部屋の片付けや解約手続きまで対応できるようになりました。「万一の際は、この居住支援法人が対応する」と明示できるよう、法整備が進んでいます。当社でも、部屋の片付けや解約の手続きを契約者に代わって行う準備を進めています。高齢者対応は、今後ますます避けて通れないテーマになります。必要なのは、「断るか、受け入れるか」という2択ではなく、「何が見えていれば判断できるのか」を整理すること。居住支援法人は、その情報を整理し、関係者が無理なく判断できる状態をつくる役割を担っています。

くだなおし/興産アメニティ「R65不動産沖縄」担当。
TEL:098(882)1717
https://r65.kosanamenity.com/
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第2090号・2026年01月23日紙面から掲載










