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2026年1月16日更新

自宅のブロック塀が年々傾いている?! 調査した一級建築士の見立ては|インスペクションで解明 住まいのミステリー(34)

文・下地鉄郎(インスペクション沖縄メンバー、既存住宅状況調査技術者)


住宅の劣化状態などを調査して報告する「インスペクション(建物診断)」。今回は、土地購入時から建っていたブロック塀が「だんだん傾いてきているみたい。原因と対策を教えて欲しい」という依頼。インスペクション沖縄の下地鉄郎さんが調査した。

 第34話「身近な防災 ブロック塀」
道路沿いの傾いた塀
 
 依頼内容 
住宅街の中に建つ、築10年の木造2階建て住宅の施主からの依頼。「土地を購入した際からある塀が傾いてきているようだ。原因や危険性、対策について教えて欲しい」
 
 問題のブロック塀のイメージ 



  そらく築50年以上

「自宅の塀が、年々傾いてきているようです」

まだ築10年であるが「土地を購入した際から、道路側の塀が傾いてきているみたい。原因や危険性などについて調べてほしい」と家主からの依頼だった。

問題の塀の写真を見せてもらうと、だいぶ古いブロック造の擁壁の上に、さらにブロックが積み上げられている造りだ。一部、亀裂も確認できる。今回の調査では、道路沿いの塀に絞ってインスペクションを実施することにした。

現場には、塀の傾きを測る水平器と合わせて中の配筋状況の分かる鉄筋探査器を持参した。実際にブロック塀を観察したところ、道路側から見ると構造的に上下に分かれていて、水平器を塀の各所にあててみると特に上段に傾きが確認された。

依頼主にこれまでの経緯を詳しく聞いたところ、10年前に土地を購入し住宅を建てたのだが、道路側の塀は購入する前からあり、いつ頃からあるのか分からないそう。おそらく50年以上はたっているようだ。

塀の高さを計測すると、高いところで道路レベルより3メートルの高さがあった。塀の内側(敷地側)には花壇があり樹木も植えられている。依頼主によると、花壇は住宅を建てた際に設けたそう。そのために土をブロック3段分ほど盛り足し、道路側の塀はそのまま使用したそうだ。



問題のブロック塀を水平器(上)と、鉄筋探査器(下)で計測している様子


  筋がさびて劣化

塀の基礎や地中の状況については直接確認できないため、道路側のブロックの積み方や見た目などから推測するしかない。

鉄筋探査機で配筋状況を計測したところ、鉄筋は縦横ともに確認はできた。ただ、築年数や見た目により、内部の鉄筋はおそらくサビて弱くなっていると考えられる。盛り土からの水分もサビの進行を早めている可能性もある。そこに盛り土の土圧がかかることで傾きが生じたようだ。

傾きが確認されるのは塀の一部ではあるが、学校の通学路でもあることから、早急に対応する必要がある。理想は、花壇も含めての全面的なやり替え工事だが、以前、業者に工事費を聞いたところ200万円前後はかかると言われたそうだ。そのための予算はないとのこと。

アドバイスとして、全面工事が難しい場合でも、特に傾きが見られる上段の亀裂部の補修・補強を優先し、その後は亀裂部にヒビが再発していないか、また水平器で傾きの進行がないかを定期的に確認することを伝えた。ヒビや傾きの症状が続くようであれば、塀上段部のみの撤去や花壇の土の移動と、段階的な対策を行っていくそうだ。


 解決策・アドバイス 
傾いた古いブロック塀は、台風や地震時に倒壊の可能性があるため注意が必要だ。特に道路沿いの塀は、通行者に被害を及ぼす恐れがある。その責任は、塀がある土地の所有者となるため、自らチェックをすることをすすめる。沖縄県建築設計サポートセンターのホームページ(https://x.gd/oSq2f)では「ブロック塀の診断カルテ」などを見ることができる。



しもじ・てつろう/1級建築士。(株)クロトン代表取締役
電話=098・877・9610

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2089号・2026年1月16日紙面から掲載

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