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2024年6月21日更新

在宅介護の防災|沖縄市居住支援協議会を設立[介護を支える 住まいの工夫(34)]

介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介。今回は在宅介護中の防災について、ケアマネジャーで防災士でもある喜納剛さんがアドバイスします。

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介護を支える住まいの工夫 (34)


在宅介護の防災
居住地の災害リスクを知る


防災意識の低さ課題

喜納剛さんは、主任介護支援専門員(ケアマネジャー)で、災害支援介護支援専門員、防災士。大規模災害時に避難者の心身のケアに当たる沖縄県災害派遣福祉チーム「DWATおきなわ」の一員でもあるなど、災害時避難行動要支援者と呼ばれる障がい者や高齢者の防災に詳しい。

4月3日に県内で発令された津波警報では、大渋滞によって支援を必要とする人の避難に支障が出たほか、家庭や地域においても、避難計画の準備不足や、自助・共助意識の不足などが浮き彫りとなったところもあったと指摘。そのような混乱が起きたことを受け、「支援を必要とする人やその家族も、まず第一に、自分がいる場所で、どのような災害が想定されているかを知っておいてほしい。その上でどう避難するか、具体的に想像して話し合い、考えておく必要がある」と改めて警鐘を鳴らす。


具体的に想像する

自分がいる場所の災害リスクを知るには、県や各市町村が作成したハザードマップをはじめ、数値から想像しやすいという点で「沖縄県地震被害想定調査」も活用できると喜納さん。

同調査は、東日本大震災を踏まえ、最新の科学的知見や情報に基づき、県内における大規模な地震・津波発生に伴う被害を想定したもの。地震の発生を予知するものではないが、21パターンの地震それぞれの具体的な被害状況の予測値が市町村ごとに示されており、沖縄県のホームページから誰でも確認することができる。

喜納さんは、「私が住む沖縄市で大きな被害が想定されているのが石川-具志川断層系による地震。全半壊する建物とそれによる死者負傷者の数が多いと推測されています」=左表参照=と示し、うるま市寄りの地域の被害を懸念。自宅の築年数や耐震性を確認し、倒壊の恐れがないか、また家具などについて支援が必要な人の生命を脅かす配置や設置になっていないかなど、介護事業の利用者へ防災対策の声掛けをしたり、アドバイスしたりしているという。

熊本地震の支援体制について聞き取りした喜納さんは、「小さな地域こそ、声を掛け合い、早い避難ができていた。自助・共助がいかに大事であるかを痛感した。普段からコミュニケーションを取っていれば、防災力の強化につながる。居住地の災害リスクを知り、防災計画につなげてほしい」と呼び掛ける。

 

沖縄市における地震被害想定


喜納さんの住む沖縄市の場合、大きな被害が想定されているのが、石川-具志川断層系による地震。建物全壊の被害棟数は4946棟、死者数は68人、負傷者2176人と予測。しかし、それによる津波被害は0となっている。逆に津波による被害数から見た場合、沖縄本島南東沖地震3連動が最も大きく、津波による死者が601人、建物全壊が2267棟と予測されており、喜納さんは泡瀬方面の津波被害を懸念している。




きな・たけし/CAREPLAN RESPO代表。主任介護支援専門員。沖縄県介護支援専門員協会理事。災害支援介護支援専門員。防災士。沖縄県災害派遣福祉チーム員。


取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2007号・2024年06月21日紙面から掲載

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