家づくり
2024年5月17日更新
居住支援④|沖縄市居住支援協議会を設立[介護を支える 住まいの工夫(33)]
国が地域における居住支援協議会の設立促進を図る中、県内市町村で初の居住支援協議会が沖縄市に設立された。立ち上げに尽力した沖縄市役所建築部住まい建築課(当時)の西憲太郎さんと比嘉厚夫さんに話を聞いた。
居住支援④
沖縄市居住支援協議会を設立
住宅と福祉の連携強化
3月8日、住宅セーフティーネット法の改正案が閣議決定された。住宅施策と福祉施策の連携を強化するため、市区町村による居住支援協議会の設置が努力義務化された。
沖縄市では2月5日、県内の市町村レベルで初めて居住支援協議会が設立された。その推進力となったのは、当時、沖縄市建築部住まい建築課で住まい係を担当していた比嘉厚夫さん。住まい建築課は、主に市営住宅の整備管理や入居に関することなどを行っているが、「複数の問題を抱えた相談者が多い」ことを痛感し、福祉部局や不動産事業者など関係各所に足を運び、居住支援の必要性について理解を求めた。
昨年9月には関係者を集めた意見交換会を開催し、アンケートも実施。「居住支援は必要か?」という問いに全員が「○(必要)」と回答した。
比嘉さんは「各窓口で相談を受けても、住まい確保まで結びつけることが難しく、行政や地域、民間も一緒に横連携で支援することの必要性を皆が感じていた」と振り返る。
ネットワークを構築
沖縄市でも、高齢者や障がい者など住宅確保要配慮者の住まい探しは近年、ますます厳しい状況にある。住まい建築課課長(当時)の西憲太郎さんは、「公営住宅の供給は不足しているが、予算などの課題もあり、すぐに増築できない。民間事業者の力を借りる必要があり、また、住んでいる間やその後も福祉との連携が重要」と話す。それまでなかったネットワーク構築の必要性を強く感じ、比嘉さんと共に沖縄市居住支援の設立に向けて力を注いだ。
沖縄市の行政、福祉関係者、地域協議会、居住支援法人等、不動産事業者の他、沖縄大家の会も集い、ことし2月5日、沖縄市居住支援協議会を設立。ネットワークの確立、セーフティーネット住宅の戸数拡充、入居から生活まで、福祉的支援の提供を目標に掲げる。
比嘉さんは、ネットワークの構築と情報提供の重要性を強調。「みんなで考えていくプラットホームを作っていくのが行政の役割。成功事例を増やし、広げていけたら」と話す。本年度は、担当者会議のほか年度末に連携会議を開催予定だ。市民に身近な相談しやすい関係機関が横連携することで必要な支援へとつなげる。そのためにも「顔が見える関係性が大事」と語る。
今後について、「県内の他市町村でも協議会ができたら連携し、ネットワークが広がることで、お互いにもっと良い解決へとつなげていけるはず」と期待を込める。
3月まで沖縄市建築部住まい建築課の職員だった西憲太郎課長(右)と、比嘉厚夫さん。沖縄市居住支援協議会の設立に奔走した
取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2002号・2024年05月17日紙面から掲載