企業・ひとの取り組み
2023年8月25日更新
暮らしも創作も海が中心|山口有紀子さん Oki Coast Ocean Art(オキコーストオーシャンアート)代表|家々人々[136]
透明感のあるレジン(樹脂)を固めて作品を制作する「レジンアート」。その手法で美しい海を表現する山口有紀子さん(36)。アーティスト活動をしながら、ウミガメやサンゴ、海洋環境の保全活動にも取り組んでいる。創作活動だけでなく、その暮らしからも海への深い愛情が伝わる。
暮らしも創作も海が中心
やまぐち・ゆきこ/1987年、神奈川県出身。神奈川と東京で保育士として勤めた後、2014年、留学先のオーストラリアで幼稚園の研修を受けながら、ウミガメの保全活動にも参加するようになる。19年、沖縄に移住。Oki Coast Ocean Art 設立。レジンアートアーティストとして活動を開始。ボランティアで海岸保全活動に取り組む。■幼少期の暮らしの思い出は
神奈川県に住んでいて、自宅近くにある雑木林でよく木登りをしていました。中学まで、はだし通学。自然に触れ、自由に過ごすのが好きなちょっと変わった子でした。
社会人になって保育士として勤めた保育園は、子どもたちが自由に遊び、考え、生きる力を育むという方針で、はだし教育を取り入れていたんです。それにすごく共感するところがあり、幼児教育についてもっと広く学びたくなり、オーストラリアに留学しました。そこで海洋生物を学ぶ友人と出会い、ウミガメ保全活動に参加するようになったことが、人生の転機となりました。
子どものころの住まい
神奈川県相模原にあった木造2階建の家に、両親、3人きょうだいの5人家族で住んでいた。自宅から中学校まではだしで通学したり、自宅近くにある雑木林でよく木登りをして遊ぶなど、自然に触れ、自由に過ごすのが好きだった
■オーストラリア生活で感じたことは?
オーストラリアでは、屋外でも日常的にはだしで生活する人が多かった。エコバッグを持参したり、ごみを拾ったり、そんなライフスタイルが普通で、すごく居心地が良かったです。
そこでのウミガメ保全活動は、水道、電気、ガスも引かれていない無人島に約1カ月滞在して調査するのですが、自分も地球の中の生物の一つであり、生かされていることを強く感じる貴重な経験となりました。帰国した今でも、毎年参加しています。
コロナ禍で渡豪できなくなったとき、沖縄にCHURAMURA(ちゅらむら)というウミガメの保全活動に取り組むNPO団体があることを知り、移住を決めました。現在はボランティア仲間とウミガメが安心して産卵できるよう、海岸の保全に取り組んだり、講演会やワークショップなどを行っています。
■レジンアートに取り組むようになったのは?
海外でレジンアートを見て、すごく感動したんです。アートが私の好きな海の風景と重なり、いつか自分でもやりたいと思っていました。
沖縄への移住を機に、大好きなオーストラリアや沖縄の美しい海を表現したいと本格的に創作をはじめました。作品の売り上げの一部はウミガメやサンゴの保全活動に寄付しています。
環境を意識した暮らしは特別なことや、えらいことではなく、当たり前のこととして、みんなに浸透してほしい。創作やワークショップなど、これからも私にできることで伝えていけたらと思っています。
最近の活動 8月1日~14日に個展を開催した。写真は山口さんのレジンアート作品。「ほかにも、子どもたちが海ゴミで作ったアートを展示したり、沖縄の工芸作家と共同で創作したり、多くの人が関心を寄せてくれてうれしかったです」
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ホッと空間
サンゴ育てる作業場
サンゴ育てる作業場
読谷村の「サンゴ畑」でサンゴ苗の育成を手伝っている。「週2回、記録・観察する時間が好き」
取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行 週刊タイムス住宅新聞
第1964号・2023年8月25日紙面から掲載