沖縄で循環型ものづくり|大坪育美さん((株)OLIFE代表取締役)|家々人々[135]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

家づくりのこと

企業・ひとの取り組み

2023年7月28日更新

沖縄で循環型ものづくり|大坪育美さん((株)OLIFE代表取締役)|家々人々[135]

東京で服飾デザイナーをしていたころ業界の環境問題を目の当たりにした。沖縄に移住後は、地球にも自然にも人にも優しい“循環”をテーマにしたエシカルなライフストアをオープンした大坪育美さん(29)。自然を愛する思いは幼少期の暮らしに育まれたようです。

沖縄で循環型ものづくり

沖縄で循環型ものづくり|大坪育美さん((株)OLIFE代表取締役)
おおつぼ・いくみ/1994年、兵庫県出身。大阪の服飾専門学校を卒業した後、東京のアパレル企業に就職。服の企画、デザイン、製造流通管理に携わる。2021年、沖縄に移住。翌年、(株)OLIFE(オーライフ)を創業。浦添市経塚でアジアをコンセプトにしたエシカルライフストアEQUANCE(イクァンス)を開店。マンゴー染めのオリジナル服も展開している。


■幼少期の暮らしの思い出は

兵庫県の緑と川に囲まれた自然豊かな場所で生まれ育ちました。子どものころは、おしゃれをするより山で遊ぶ方が好きでした。高校生になって、都会のハイセンスな商業施設や服飾の世界に憧れて大阪の専門学校で4年間学び、デザイナーとして東京のアパレル会社に就職しました。

実家から離れてから自然を感じる機会が減り、そのありがたさが身に染みました。
 
子どものころの住まい|大坪育美さん((株)OLIFE代表取締役)
子どものころの住まい
兵庫県の自然豊かな場所に、両親、弟の4人家族と、父方の祖父母の二世帯住宅で暮らしていた。


■沖縄に移住した理由は?

アパレル業界は、製造コストを安くするため中国など海外で大量生産して、大量消費を促し、売れ残ったものを廃棄するなど環境負荷の大きさが問題となっています。

業界の環境問題を目の当たりにし、私なりに何か仕組みを作っていきたい、自然の中でものづくりがしたい、沖縄ならその思いを形にできるのではないかと思いました。

もともと日本伝統の技術、工芸文化に興味があり、国内のさまざまな工場を視察してきました。刺しゅうや染色、織物などは高齢化や後継者不足で廃業するところもある。そこをもっと活用すべきだと思います。わざわざ海外で作り、売れなければ捨てるようなアパレルの仕組みを変えていけたらと考えています。


■オリジナルの服は、県産マンゴーで染めたものだとか。

マンゴーは収穫後、次の収穫のために草木が伐採され、その多くが焼却処分されています。その処分される草木を回収して、染料にしています。

マンゴー染めは果肉のように自然な黄色で、身にまとったり見たりするだけでも元気になれるのが魅力です。今年8月にはマンゴー染め体験を行い、環境の話も伝えていきたいと思っています。

服のほかにも、ラタンのかごや水牛の角のジュエリーなどアジアンをテーマに、ナチュラルで長く使えるものを提供しています。

プライベートはこんな顔
プライベートはこんな顔|大坪育美さん((株)OLIFE代表取締役)
オリジナルの服=上写真=は、県産マンゴーの廃棄処分される草木部分を使って染色していて、私も伐採や軽トラでの回収作業などをしています。


■今後の目標は?

提携先のマンゴー農家さんを増やしたり、他の未活用の廃棄物からものづくりを考えたり、グローバルな視野で活動を広げたい。業種の垣根を超え、どの事業も循環していくような社会づくりに取り組んでいきたいです。
 
 
◇    ◇    ◇

 
ホッと空間
交流を楽しむ店内
ホッと空間|大坪育美さん((株)OLIFE代表取締役)
「自宅に居るより、お店に居る方が好き」と笑う大坪さん。大坪さんがセレクトしたエシカルなものを手に、お客さんとおしゃべりを楽しんだり、今後について構想を練ったり、「充実した時間が過ごせている」と笑顔を見せる。
 

取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行 週刊タイムス住宅新聞
第1960号・2023年7月28日紙面から掲載

企業・ひとの取り組み

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2128

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る