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2023年6月23日更新

自然の恵みに感謝する日々|照屋哲さん(そば処きくや、きくやファーム代表)|家々人々[134]

那覇市にある「そば処(どころ)きくや」の2代目代表で、農場「きくやファーム」も営む照屋哲さん(43)。「自分で育てた無農薬の野菜が店で喜ばれているのがうれしい。自然の恵みに感謝する日々です」と充実した表情で語る。

自然の恵みに感謝する日々

てるや・てつ/1980年、那覇市出身。東南植物楽園で勤務するなどサラリーマン時代を経て、母親が2005年に那覇市田原で開業した「そば処きくや」を16年に2代目として継承。その後、農場「きくやファーム」も営み、自ら無農薬野菜を栽培。店の料理に使用したり、販売している。2児の父。


■そば屋を継いだ経緯は?

この店は、「昔ながらの家庭的な沖縄そばを提供したい」と母が18年前に創業しました。隣が実家の敷地で、以前は父の測量事務所と駐車場だったところを、親戚の大工さんにお願いして、家族総出で1カ月ほどかけて増築したんです。材料も自分たちで調達しました。メイドインメイクマンです(笑)。

私はサラリーマンをしながら、休みの日に店を手伝っていたのですが、母も高齢になったので、7年前に店を継ぐことを決め、脱サラしました。

農業にも興味があったので店を継いで1年ほどしてから、親戚が所有していた原野を開拓して畑をつくり、沖縄そばのスープに使うタマネギをはじめ、パパイア、ニンジン、トマト、トウガラシなどいろいろな野菜を無農薬で育てるようになりました。お店の料理に使うだけでなく、販売もしています。


■店も畑もやるのは大変ではないか? 生活の変化は?

お店は母や叔母に手伝ってもらいながらやっているのでとても心強いし、畑仕事との両立もすごく楽しんでいます。

ずっと、土に触れながら暮らすライフスタイルに憧れていたんです。土をいじっていると、大地からエネルギーをもらっているような感覚になる。畑作業中は何も考えないで無になれるし、風に吹かれると気持ちよくて深呼吸したくなる。畑を始めたことで心が安らぎ、気持ちに余裕ができたと思います。


■無農薬にこだわるのは?

体は食べたものでできている。食を提供する者として、安心で安全な物を提供したいと思っているんです。特に私自身に子どもができたときに、その思いが強くなりました。今はまだ小さいのですが、大きくなったら一緒に畑作業をするのが楽しみです。

 
子どものころの住まい
そば屋の隣にある実家は、照屋さんが13歳のときに建てられた。その庭でもネギを栽培している照屋さん。店の沖縄そばに欠かせない。


■今後の目標は?

農業は若い人に敬遠されがちだけど、かっこいいと思えれば、農業従事者も増えるんじゃないかと思うんです。今後は農産物を加工してブランド化を図ったり、収益性を上げたりして農業の将来のため、新しいスタイルが作れないかと考えています。
 
 
◇    ◇    ◇
 
「季節を感じ、自然の恵みに感謝しながら、心豊かに過ごせている」と照屋さん。穏やかな笑顔が印象的でした。


 
ホッと空間
緑眺め休憩する座敷

店の忙しさが落ち着いたとき、「座敷で休憩する時間がホッとする」と照屋さん。窓から実家の庭の植物が目に入る。「緑を眺めていると癒やされます」とにっこり。


プライベートはこんな顔
約360坪ある農場で無農薬野菜を育て、店で料理に使うだけでなく、店内にコーナーを設けて販売しています。

取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行 週刊タイムス住宅新聞
第1955号・2023年6月23日紙面から掲載

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