家づくり
2022年11月4日更新
[沖縄]建材ピックアップ|丈夫で暖か手織り絨毯
朝夕は肌寒くなってきたこの頃。見た目も足触りも暖かい絨毯(じゅうたん)を紹介。ペルシャ絨毯は高価と思われがちだが、丈夫で何十年も使える。デニムと同じで、使うほどに味わい深くなるのも魅力だ。
種類と特徴 名高い「ペルシャ」 個性の「トライバル」も
踏むほどにツヤ
「ペルシャ絨毯」とは、ペルシャ(現在のイラン)で手織りされた絨毯を指す。「だからすべて一点もの。伝統的な手仕事で模様が表現され、美しさと高い耐久性を誇る」と、宜野湾市で長年ペルシャ絨毯店を営む宮城正己さんは話す。
素材はウール(羊毛)かシルクが主。シルクは光沢があってラグジュアリーな印象だが、実用的なのはウールだ。イランなど中東地方の羊は激しい寒暖差の中で育つため、適度な脂肪を含む良質なウールが取れる。「空気もたっぷり含むため保温性があって暖かいし、夏場はエアコンの冷気を含めば涼やか。ウールには調湿効果もあり、吸収した湿気は毛の内部で保持するため表面はサラッとしている。わが家では年中敷いています」と説明するのは、那覇市西のラグ専門店のバイヤー・平井香さん。
さらに同地方の羊毛は弾力性に富んでいてとても丈夫。「丁寧な手織りと組み合わさることで、何十年踏まれてもヘタらない。新築時に購入される方には『家より長持ちします』と説明してます」と宮城さん。
手入れが楽なのも長所。「しっかり織られているのでホコリなどが奥まで入り込まない。週に1~2度ほど、毛流れに沿って掃除機をかければOK。むしろ押し入れにしまい放しだと、虫が付いたりする恐れがあるので、表に出していっぱい踏んでください。踏まれるほど色がなじみ、ツヤが出てきます」と平井さん。
宮城さんは「たまに向きを変えると、日焼けによる変色や、踏まれる場所が均一化されて寿命が延びます」と説明する。
産地で特有の色・柄
ゴージャスな柄や色をイメージするペルシャ絨毯だが、産地によってまったく違う。イメージ通りのペルシャ絨毯で有名なのはカシャーン、タブリーズ、ナイン、クム、イスファハンの五大産地。品質やブランド力は他の追随を許さない。
最近、よく耳にする「ギャッべ」は、イランのカシュガイ族が織ったもので毛足が長くて厚みがある。温かみのある風合いと素朴なデザインが特徴。
さらに、日本でも人気急上昇中なのが「トライバルラグ」。直訳すると「部族絨毯」で、イランだけでなくトルコやアフガニスタンなどの遊牧部族が生活道具として製作した絨毯。民芸的で個性あふれるデザインだが、生活の中で使われてきたものだからか、不思議と幅広い空間になじむ。特にビンテージ家具との相性がいい。
「これらのラグは、遊牧民がテント生活に使ってきたものですから、アウトドアにもおすすめです。ブルーシート代わりに持っていって、座ったり寝転んだりするのも気持ちいいですよ」と平井さんは話した。
産地ごとの特徴
ペルシャ(5大産地) 緻密な織りと洗練された柄
イラン(昔のペルシャ)で手織りされた絨毯を「ペルシャ絨毯」と言う。ペルシャ絨毯らしい豪華で繊細な柄の絨毯は「イスファハン」「カシャーン」「タブリーズ」「クム」「ナイン」が5大産地として有名。ナインは藍色やベージュなど落ち着いた色調、カシャーンは洗練された緻密な柄で定評がある。クムはシルク製が多いなど5大産地でも特徴がある。
伝統的な図柄が美しい「カシャーン」の絨毯
「ナイン」の絨毯は藍色やベージュなど抑制されたトーンが多い
ギャッベ 毛足長くふっくら素朴
ここ数年、日本でも人気が高まっている「ギャッベ」は、ナチュラルで温かみがある色とデザインが特徴、イランのカシュガイ族という遊牧民族によって織られている。「ギャッベ」とはペルシャ語で「粗い」「ざっくりとした」という意味。ウールで毛足が長く、ふっくらとした手触りが心地良い。
厚みがあるギャッベのラグやチェアマット。図柄は、動物や自然をモチーフにしたものが多くかわいらしい
トライバル 地域色豊か 民芸的な文様
「トライバル」とは英語で「部族の」という意味。その名の通り、トルコやイラン、アフガニスタンなどの少数民族が自分たちの生活道具として織った絨毯。ウール製で、部族ごとに模様が違うのも魅力。民芸的な文様や、アート製の高いデザインなど幅広い。
トライバルラグのほとんどが製作から年数がたったビンテージ品で味わいある風合い
さまざまな色・柄がある
キリム(平織り)
今回、記事内で紹介しているのは毛足がある「パイル織り」の絨毯が主だが、毛足の無い「キリム」(平織り)の絨毯もある。イランだけでなくトルコやアフガニスタンなどが世界的な生産国。パイル織りと同じくウール製が多い。毛足が無いため薄くて軽いが、しっかりと織られていて丈夫なので、床に敷くだけでなくタペストリーやソファカバーなどの用途もある。
県内の専門店 現地で買い付けた 一点モノがずらり
10月にニューオープン 海外ラグ&家具600点!
Layout OKINAWA(那覇市西)
Layout OKINAWA(那覇市西)
倉庫を改装した店内には、ギャッベやトライバル、ヴィンテージラグが並ぶ
家具も扱っていて、ラグと合わせてみることもできる
子どもの絵を、ギャッベにして織ってくれる「お絵かきギャッベ」というサービスもやっている。納期は半年程度で、価格は2万2千円~(税込み)
那覇市西に10月にオープンした「ヴィンテージラグ&家具のウェアハウス Layout OKINAWA」。「ラグから暮らしをデザインする」をコンセプトに、トライバルラグやヴィンテージラグ、ギャッベなど約500点と北欧ヴィンテージ家具約100点を展示している。
ラグは、スタッフが現地に足を運び、1枚1枚選んだものだ。現地では自社スタッフがメンテナンスとクリーニングを管理。日本でも「ラグ愛」あふれるスタッフが丁寧に検品しているので使い込まれたヴィンテージラグでも、安心して購入できる。
ラグを購入前に自宅に持ち帰って試し置きできるサービス「OMIAI(おみあい)サービス」も好評。
◆那覇市西2-2-1
電話/098・975・9798
https://shop.layout.casa
ラグは、スタッフが現地に足を運び、1枚1枚選んだものだ。現地では自社スタッフがメンテナンスとクリーニングを管理。日本でも「ラグ愛」あふれるスタッフが丁寧に検品しているので使い込まれたヴィンテージラグでも、安心して購入できる。
ラグを購入前に自宅に持ち帰って試し置きできるサービス「OMIAI(おみあい)サービス」も好評。
◆那覇市西2-2-1
電話/098・975・9798
https://shop.layout.casa
◇ ◇ ◇
県内随一のペルシャ絨毯専門店
カーペットハウス(宜野湾市)
ワンルームの空間に大小さまざまな絨毯が所狭しと広げられている
30年以上、輸入絨毯に携わる宮城正己さんが約20年前にオープンした、知る人ぞ知るペルシャ絨毯の専門店。「県内ではトップレベルの品ぞろえだと思う」と話す。「イランが大好き」という宮城さんが現地で仕入れてきた絨毯がずらり。「仲介業者を挟まないので、大型店舗よりも安く販売している」
ほかにも、アフガニスタンやトルコ、インドなどの個性的な絨毯がそろう。サイズも大小さまざま。買い物はもちろん、宮城さんの買い付け裏話も楽しい。
◆宜野湾市普天間2-31-13
電話/098・893・6033
火曜定休
http://www.persian-carpethouse.com/
編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1922号・2022年11月4日紙面から掲載
この連載の記事
この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
これまでに書いた記事:350
編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。