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2023年8月18日更新

油を使う盆前に消火器を備えよう[建材ピックアップ]

天ぷらなど揚げものをする機会の多いお盆。万が一を考えて消火器を備えておきたい。今回は、さまざまな消火器を取り扱う新沖防災工業㈱の比嘉勉社長に消火器の種類や選び方、処分方法などを教えてもらった。

 選び方  火災種別と薬剤を確認


住宅用は1~2万円

火災は燃える物質によって種類があり、それに適した消火剤を用いなければならない。「その消火器が対応している火災種別は本体に表記されている=左記参照。住宅用消火器は四つ(普通、天ぷら油、ストーブ、電気)に分類されていて、多くの製品が四つすべてに対応しているが、自分の目でチェックすることが大切」と比嘉さんは説明する。

アパートやマンションなどの共同住宅には消火器の設置が義務づけられており、業務用消火器が設置されている。「こちらは火災種別がA(普通)、B(油)、C(電気)で分類されている。三つを網羅したABC消火器が設置されていることが多いが、きちんと確認しましょう」

一戸建て住宅には消火器の設置義務はないが「ぜひ備えておいてほしい。購入する際は住宅用がおすすめ。業務用は有資格者による年2回の法定点検が必要だが、住宅用は不要」。ただし、定期的に圧力計の状態や損傷・腐食などがないか自分でチェックすること。

住宅用消火器の価格は「サイズや内容によって違うが、だいたい1~2万円」。耐用年数は住宅用が5年のものが多く、業務用は8~10年。


長短所を考え選ぶ

消火器を選ぶ際、もう一つ大事なのが消火薬剤だ。大きく分けると「粉末」と「強化液」の2種があり、粉末タイプは「制炎性に優れていて素早く消火できるが掃除が広範囲になるのが短所」

強化液タイプは「粉末より消火スピードは劣るが冷却効果と浸透性に優れ、使用後の掃除は比較的ラク」と説明した。

 

火災種別の見方

住宅用消火器

住宅用消火器は、適応火災の種別が絵で表示されている。「上記四つの火災、すべてに対応できる住宅用消火器を備えておくのが望ましい」と比嘉さん。


業務用消火器
共同住宅やオフィスなどには業務用消火器が設置されている。


 

消火薬剤別の長短所

粉末タイプ
粉末の薬剤で、広い範囲を覆って消火する。消火能力が高く、スピーディーに火を消せる。強化液タイプに比べて軽くて安価というメリットもある。デメリットは使用後は粉が飛び散るので掃除が大変。また、浸透性が低いため布や木材などは再燃の可能性がある

 
強化液タイプ
薬剤を放射して火を消す。粉末タイプのように粉が散らないので視界がクリアな状態で消火でき、使用後の掃除は比較的ラク。浸透性が高いので布や木材の再燃防止にも役立つ。粉末タイプよりは、消火スピードが劣るのがデメリット。粉末タイプよりも重め


 

 使い方  栓抜き使い切るまで放射


火災発生! 炎が天井に届くまでなら消火器での初期消火が有効


安全栓を引き抜く



火から1.5~2メートル離れ、ノズルを火元に向ける


片方の手で消火器の底を持つ


煙などで見づらくなっているが、しっかり火元を狙う


もう一方の手でレバーを力強くぎゅっと握る

 
住宅用消火器で約12~28秒間薬剤が放射される。※製品によって放射時間は異なる。取扱説明書で確認すること
 
消火を確認。一度消えたと思っても再発火する可能性がある。最後まで放射する

参考/(一社)日本消火器工業会


 

消火器を処分するには

2010年製以降の消火器にはリサイクルシールが貼られている

消火器には使用期限があり、本体に記載されている。期限切れの消火器は「消火力が低下しており、しっかり火が消せない恐れがある」と比嘉さん。

使用期限切れだったり、破損した消火器は一般廃棄物のように捨てることはできないので、特定窓口(消火器販売店等)や、指定引取場所(メーカー営業所)に持ち込む。特定窓口や指定引取場所は、㈱消火器リサイクル推進センターのホームページ(http://www.ferpc.jp/)に掲載されている。比嘉さんの会社は指定引取場所になっており、「本体にリサイクルシールが貼られているもの=上イラスト参照=は無償で引き取る。貼られていない場合はシールを購入していただいてから(小型550円、大型3600円)お引き取りします。ただ海外製の場合は引き取れない」と話した。



おしゃれな消火器 新築祝いにも
業務用は本体の25%以上を赤色にしなければならないが家庭用は規制がないため、カラーバリエーションが豊富。キャラクターデザインの消火器もある。新築祝いに贈っても喜ばれそう!ただしキャラクターものは、普通の消火器よりも高価。



【教えてくれた人】
ひが・つとむ/消火器をはじめ、消火栓やスプリンクラーなどさまざまな消火設備の販売、設計、施工、保守点検などを行う新沖防災工業㈱の代表取締役社長。
同社/浦添市牧港2-55-2
電話=098・878・1941
http://www.sinoki.co.jp/

編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1963号・2023年8月18日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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