家づくり
2022年1月21日更新
【沖縄】踏み台|介護を支える 住まいの工夫⑨
介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介するコーナー。今回は作業療法士の宮良大介さんが「踏み台」についてアドバイスします。
踏み台は高さと広さ大事
両足と杖が乗る広さを
体が不自由になると、日常生活では「段差」がさまざまな場面で障害になる。
特に玄関では、上がりかまちの段差で昇降動作の安全が確保できるよう環境を改善する必要がある。その方法の一つが踏み台だ。
作業療法士の宮良大介さんは踏み台について、「両足やつえが乗る広さを確保したい場合、幅50センチ以上、奥行き30センチ以上の大きさがあること」が望ましく、「介護を必要とする本人に合わせて、まずは踏み台の高さを測る必要がある」とアドバイスする。
玄関の上がりかまちが高いからと単純に半分ほどの高さの踏み台を作っても本人がその高さを上がれなければ意味がない。2段にして階段状にするなど検討が必要だ。
また、「段差の昇降を安全に行うためにも手すりの設置も検討してほしい」と宮良さん。「手すりは本人の身体状況に合わせた適切な場所への取り付けが大事。理学療法士や作業療法士、ケアマネージャーなどに相談してほしい」と呼び掛ける。
玄関や車の乗降時にも
宮良さんは、玄関で踏み台を利用するときの注意として、「上がりかまちの昇降動作と靴を脱いだり履いたりする動作は別に分けて行うことも大事」と指摘する。
「健常者のように立ったまま靴を履こうとすればふらついて転倒の危険性がある。玄関土間にいすなどを置き、座った状態で靴を履くようにして」と話す。
「福祉補助用具」の踏み台は介護保険制度の「居宅介護住宅改修」の給付対象になる。しかし給付は自己負担分を含め税込み20万円までと限度があるため、手作りして、別の改修工事で給付制度を活用するのもありだ。
Eさん=下囲み=のように持ち運びできる踏み台を作れば、車の乗降時や外出先など、さまざまな場面で利用できる。宮良さんは「本人や介護をする家族の安心感にもつながる」として、介護が必要な人に合わせた道具の活用を促す。
手作りの踏み台
玄関や外出先にも活用
Eさんが手作りした踏み台は、持ち運びができるので、普段は下駄箱の下に置いておき、必要なときに出して使っている。要介護の母に合わせて作ったので使いやすく、車の乗降時や外出時にも活用している。「普段から使っているので安心感がある。車は座席が高いので乗る時には必須」とEさん。
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Eさんのケース
半身不随の母は車いす生活ですが、少しの距離なら手すりを使い、移動ができます。ただ、自宅玄関の上がりかまちが高く、自力で上り下りすることができなかったので、踏み台を手作りしました。最初のは踏み台の面積が小さくて乗るときに不安だと言われたので、次は、両足を乗せても余裕のある大きさに作り直しました。
材料はホームセンターで調達。座面は母が乗っても沈んだりしないよう、丈夫な木材を選びました。4本脚にせず、木材2本を横に寝かせて使ったので、ガタつかず安定感があり、素人でも簡単に安くできました。木材は、横に寝かせた状態で必要な高さを満たすよう、お店でカットしてもらうようオススメします。
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みやら・だいすけ/医療法人おもと会訪問リハビリぎのわんおもと園 作業療法士
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1881号・2022年1月21日紙面から掲載