企業・ひとの取り組み
2021年10月14日更新
沖縄|【ひと】おとぎ話の世界観を演出|菅沼 正典 さん|mokumo 代表取締役
木の扉や、れんが積みの壁、鉄製の金具など、さまざまなものをモルタルで表現する「モルタル造形」。職人としてモルタル造形を手掛ける、mokumoの菅沼正典代表取締役(42)は「ものづくりの楽しさを感じながら、手作りの良さを伝えたい」と話す。
モルタルで何でも表現
菅沼 正典さん
mokumo 代表取締役
-モルタル造形とは?
木や石、れんがなど、あらゆるものをモルタルと塗料だけで表現する技法。テーマパークなどでよく使われます。
-始めたきっかけは?
2年ほど前に初めて見た時、「ずるい仕事だな」と興味が湧いたことです。
当時、下請けの大工として丈夫で長持ちするものをきれいに仕上げてはいたものの、ものづくりという点で物足りなさを感じていました。
一方でモルタル造形は、経年劣化を再現することで建物に物語性を持たせたり、建築では構造的に無理なことも表現できたりと、とにかく自由。大工とは正反対に感じ、良い意味でずるいと思いました。
実際、始めると、世界に一つだけのものを作ることに、ものづくりの楽しさを実感。完成品を見たお客さんの顔が高揚していくのを見るとやりがいも感じます。
-心掛けていることは?
あいさつや現場の整理整頓はもちろん、お客さんとのコミュニケーションを大切にしています。カタログや見本がない分、お客さんの趣向を確実に捉え、デッサンなどでプランを共有。安心して任せてもらえるようにしています。
また、壁に扉があるように見せて絵本のような世界観を演出するなど遊び心も入れます。よりリアルな造形を目指し、いろいろな素材を見て回ることも。木の朽ち方、岩の割れ方など、町を歩く時の目線がすっかり変わりました。
-今後の目標は?
小さなテーマパークのような、モルタル製の小屋が並ぶ村を作りたい。そこにハンドメイド作家さんを集めてマルシェを開くことで、手作りの良さを多くの人に伝えられたらと思います。
モルタルデコ教室を開催
1人から手軽に体験
体験教室で作るモルタルデコ。モルタル造形を手軽に楽しむことができる
住宅や店舗の内外装、庭の小屋など、幅広い場所で利用されるモルタル造形。mokumoでは、そんなモルタル造形を手軽に体験できる教室を開いている。
教室で作るのは「モルタルデコ」と呼ばれるもので、発泡スチロール製のベースにモルタルを塗って形を整え、乾燥したら塗装して仕上げる。
1人から体験可能で、体験料は7千円(税込み)。飲み物とデザートも付く。乾燥の工程が必要なため作業は2日に分けて行う。1日あたりの所要時間は2~3時間ほど。
菅沼さんは「丁寧に教えるので、モルタル造形に触れてみてほしい」と呼びかける。申し込みは、インスタグラム(「mokumo」で検索)のダイレクトメールから。
〈プロフィル〉すがぬま・まさのり/1979年、滋賀県出身。パシフィックテクノカレッジ建築学科卒業。実家の工務店で8年間勤めた後、2009年に沖縄に移住し、木造住宅を手掛ける菅沼工務店を設立。18年、法人化。19年、モルタル造形デザイナーの磯山賢太氏に師事した後、mokumoとしてモルタル造形を始める。◆mokumo 恩納村仲泊1078-6 電話098・989・6202
第1867号・2021年10月14日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
- スタッフ
- 出嶋佳祐
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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。