庭・garden
2015年8月7日更新
[和風庭園を見る]妻しのび 畑を庭園に
浦添市仲間にある金城義信さん(78)宅の庭は、妻の一年忌を機に、ゴーヤー畑だった場所を作り替えたもの。主庭には低木の山と砂利の海をつなぐつくばいがあり、芝庭には色鮮やかな花が咲く。妻を思いながら孫との水まきを楽しむ。
中鉢式のつくばいを中心に広がる主庭。低木が多いため、写真左の丸太形のいすに座りながらでも庭全体が眺められる
つくばいで山海つなぐ
金城義信さん宅(浦添市仲間)
浦添市仲間の静かな住宅街。金城さん宅には、敷地の東側に20坪ほどの主庭、北側に10坪ほどの芝庭があり、隣接している。 ガレージの後ろから主庭に足を踏み入れると、石張りのアプローチが曲線を描きながら、奥のつくばいへと続く。中鉢式のつくばいは周りをサンダンカやリュウノヒ ゲなど低木が囲み、山から流れ出た水が、中鉢を通って砂利の海に流れていくよう。主木のクロキやナンテンは低木のおかげで背の高さが強調されて見える。砂利と植栽の仕切りの一部には赤瓦を使っており、沖縄らしさも感じる。 芝庭はクロキの周りを琉球石灰岩で縁取っている。その根元を色とりどりの花々が彩り、主庭とは異なる雰囲気が楽しめる。
人工芝で手入れが不要な芝庭。琉球石灰岩で縁取られた部分には妻の好きだった花々を植えた
昨年の夏ごろ、友人宅の庭を気に入った金城さんは、施工した庭師を紹介してもらった。妻の一年忌を迎えるにあたり、ゴーヤーやフ ーチバーなどを育てていた畑を和風庭園に作り替えるよう依頼した。 ある程度、構想を練り、図面も描いていたという金城さん。メンテナンスの手間を省けるように要望した。庭師は「人工芝を使った ほか、砂利や人工芝の下にはセメントを打って草が生えないようにした」と説明。金城さんは「夏は雑草との戦いだったので、草刈り をしなくていいのはとても助かる」。 「近くに住む孫が水まきを手伝いに来てくれるのがうれしい」と話す金城さん。水まきの後に庭を眺めると、ゆったりした気持ちにな るという。主庭の一角には妻への「感謝の碑」も設け、妻とともに庭を楽しんでいるようだ。
アプローチ。くねくねと曲線を描くことで 歩く向きが変わり、景色の変化が楽しめる
中鉢と周囲の大きな役石は白い。一方で役 石の隙間を埋める八女石の乱杭(らんぐい) は黒い。両者の色のコントラストがきれい
庭の随所にカエル
金城さん宅の庭には、いたるところにカエルの置物がある。これらは県企業局の配水課長だった30年ほど前の渇水時に、「雨乞いガエル」をもらったのを機に集め始めたカエルグッズの一部。家の中に飾ってある分も含めると、2000個以上を収集してきた。「雨が降ったり、水をかけると喜んでいるように見える」と金城さん。
(設計・施工/久田緑化造園)
編集/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1544号・2015年8月7日紙面から掲載
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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。