暮らし方変えて悩みも解決|暮らしが変わるホームステージング[1]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

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2020年11月20日更新

暮らし方変えて悩みも解決|暮らしが変わるホームステージング[1]

インテリアを整えるだけでなく、片付けや掃除など、さまざまな場面で役立つホームステージング。本連載では、その専門技術を持ったホームステージャーが、暮らしを変えるためのポイントを紹介していく。
文/杉之原冨士子(一般社団法人日本ホームステージング協会 代表理事)

ライフステージに合わせたホームステージング


早く売却するために

「ホームステージング」という言葉をご存じでしょうか? まだあまり知られていませんが、一般的には、不動産を売却する際に家のインテリアをモデルルームのように整え、販売促進する手法をホームステージングと言います。

アメリカでは、家を早く高く売却するためにホームステージングするのは当たり前。ホームステージングの実務者はホームステージャーという職業にもなっています。

アメリカと同様に、日本の不動産業界でも中古住宅流通の新しい手法としてホームステージングが注目を集め、現在、大手不動産会社は、ほぼすべてホームステージングを導入。それだけでなく、ホームステージングに関わる家具インテリア業界、リフォーム業界などもホームステージングを導入し始めています。




多様な技術組み合わせ

日本ホームステージング協会は2013年に設立し、ホームステージングの普及とホームステージャーの育成に力を注いできました。その大きな理由は、ホームステージングは住む人の暮らし方を変え、その人の悩みを解決できる力を持っているからです。

私は以前、引っ越しの梱包や片付け(生前整理、遺品整理など)をサポートする仕事をしていました。その中で「片付けられないので、家が売れない」と悩む方に出会いました。
そこで片付けのスキルを生かし、家の中の物を整えたところ売却に成功。ホームステージングが求められていることを実感しました。

そのような片付けはもちろんのこと、掃除や遺品整理、インテリアなど、さまざまな現場で培ってきた技術や経験をもとに、日本の住環境に合わせて作り上げてきたのが、日本版ホームステージングです。
専門的な技術を組み合わせながら、ライフステージに応じた課題の解決に導けるようになっており、家を売却する時だけでなく、今住んでいる家や親の家の片付け、相続のときなど、いろいろな場面で活用できます。

年齢を重ね、人生の節目を迎えると、暮らしも大きく変化します。その変化に合わせて、住まいの価値や暮らしの質を高めるホームステージングをすることで、快適な住まいや暮らしへとつながるのです。

次回からは、県内で活躍するホームステージャーの方々に、さまざまな場面におけるホームステージングのポイントについて、事例を交えながら紹介してもらいます。


【在宅ホームステージング】
今住んでいる自宅を売却する際、好印象になるよう掃除やおしゃれなインテリアにして家を整え、内見者を迎えるホームステージング。住みながら家を売ることで、金銭的なリスクを減らせる。


居住中の住宅を売却するため、片付けと掃除をして、インテリア小物もプラスした事例


Before


【シニアホームステージング】
リタイアを機に暮らしは一変する。今後を見据えてリフォームすることもある。そこで、まずはじっくりと時間をかけて、今までの暮らしを棚卸ししていくように片付けていく。


▲在宅でリフォームしたいが、片付けないとリフォームできない築38年の一戸建て
▼物を整理し、明るいリビングにリフォーム(提供:アルテシテ)




【遺品整理ホームステージング】
高齢になり、夫婦のどちらかが先立った後、遺品整理が必要になる。今後のひとり暮らしの質を低下させない、または子どもが相続して家を売却するため、何を残して何を手放すか整理をしていく。


遺品整理の現場。ホームステージャー(右)が相続人と一緒に、家財を仕分けし、回収する


Before


After


【空き室ホームステージング】
家を売却する際、空き室の部屋に家具や小物をしつらえ、モデルルームのように好印象に見せるホームステージング。理想の暮らしをイメージしやすく、多くの大手不動産会社が導入している。


タワーマンション売却のためのステージング。内見者が増え、希望価格で早く売却できた(提供:Salt Staging株式会社)


Before​


【民泊リフォーム+ホームステージング】
民泊のターゲットに合わせて、リフォーム時点からホームステージング(どんな家具や小物をしつらえるか)を想定することで、統一感のある部屋になる。


那覇市内にあるアパートの1室をリフォームし、宿泊施設用にステージング。海外旅行者が日本の風情を満喫するため、インテリアを工夫した(提供:GIFT)


Before


執筆者

すぎのはら・ふじこ/(一社)日本ホームステージング協会代表理事。運送会社に就職し、事務から営業、現場での梱包開梱まで担当。2011年に独立し、お片づけ・梱包会社「㈱サマンサネット」を設立。多くの現場経験からホームステージングの必要性を感じ、2013年、同協会を設立。


◆ホームステージングとは
片付けや掃除、インテリアなどの専門知識・技術を活用しながら、家を整えることで、暮らしの質や家の価値を高めること。(一社)日本ホームステージング協会では、ホームステージングの普及とその担い手であるホームステージャーの育成に力を入れている。詳しくは同協会ホームページ(https://www.homestaging.or.jp/
 

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1820号・2020年11月20日紙面から掲載

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