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2020年8月7日更新

【ひと】木目見極め建具・家具製作|我那覇宗彦さん ㈱ムネ木工所 代表取締役社長

公共建築や住宅の建具・家具を製作する(株)ムネ木工所。職人の数・設備ともに、本島北部で最大の規模を誇る。我那覇宗彦代表取締役社長(53)は「次世代の職人を育てるとともに、県産材の魅力も広めたい」と力を込める。

県産材使った商品開発も



-木工の道に進んだ理由は?
父が木工所を営んでいたから。作業場での雑用も中学生の頃からしていました。一度は料理の道に進んだものの、父に呼ばれ木工所を手伝うことに。そのまま10年ほど修行し、独立しました。
最初は一人でしたが、今は店を畳んだ父や息子も加わり、総勢10人という本島北部最大の木工所となりました。おかげで北部のいろいろな公共建築や住宅の建具・家具製作を任せてもらっています。
また、パソコンで作った図面を基に、自動制御で立体的に木材を加工できる機械を導入したので、形が均一な食器や家具など自社製品の開発もスタート。これまではもらった図面通りに作るだけだったので、自分の考えを形にできるのが楽しいです。

-心掛けていることは?
しっかり木を見ること。木目の美しさにより使う場所を変えるのはもちろん、良い仕上がりになるよう木目の向きにも注意します。トラックに載せるときには太陽の当たり方に気を配り、反りを調整しながら運ぶこともあります。
リュウキュウマツやクスノキ、センダンなど、県産材を積極的に使うようにもしています。「節が多い」など癖はありますが、県産材の魅力を知ってもらえたらと思います。

-今後の目標は?
良い人材を育てること。例えば昔はどこにでもあった組子細工も、今ではプラスチック製の既製品が使われることが多い。そこで、技術や知識の継承も兼ねて、ベテランと若手が組んで作業するようにしています。一生勉強で終わりのない木工ですが、これからの世代にもつないでいきたいですね。



木製滑り台を製作
リゾートホテルにも設置

ムネ木工所は昨年、「やんばるの木工所ならではのものを作ろう」と、リュウキュウマツを主材にした滑り台の製作・販売を始めた。弧を描いた滑降部が特徴で、滑りやすくするため内側に向かって低くなるよう角度も付いている。我那覇さんは「滑る面は細い木を100本ほど曲げながら貼り合わせるなど難しかったけれど、子どもたちが遊ぶ様子を見ると作って良かったと思う」。安全性にも配慮し、塗料は食器に使われるものを採用した。
本部町で7月にオープンしたヒルトン沖縄瀬底リゾートにも設置されており、我那覇さんは「宿泊する際には思い切り遊んでほしい」と呼びかけた。
滑り台は組み立て式で、リースも可能。問い合わせは同木工所(電話=0980-54-3425)。
ヒルトン沖縄瀬底リゾートに置かれたリュウキュウマツ製の滑り台


がなは・むねひこ 1967年、名護市出身。沖縄調理師専門学校卒業後、県内ホテルで料理人として就職。21歳のとき、父が営む我那覇家具建具製作所に入所。99年、独立してムネ木工所を設立、2019年に法人化。一級建具技能士、一級家具技能士、一級塗装技能士。
◆㈱ムネ木工所
 名護市為又1219‐278
 電話 0980-54-3425

 

取材/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1805号・2020年8月7日紙面から掲載

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「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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