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庭・garden

2020年3月6日更新

【自分でつくる庭】廃材が生きる 次世代に継ぐ庭

vol.4 このコーナーでは、施主自ら楽しみながら作った庭や、プロが手掛けた庭など、多彩な庭を紹介する。


多彩な植物がイキイキと葉を広げる「蔓草庵」の庭。花園の縁にはもらいものの赤瓦、散策路には廃材のアスファルトを用いている。この手作り感が蔓草庵の魅力だ


蔓草庵(まんそうあん)(名護市天仁屋)島袋正敏さん

「知恵と体働かせて」
コツコツ作庭35年

古い赤瓦に縁取られた花園。足元には砕いたアスファルトが敷き詰められている。

生育する植物は120種~130種。かわいらしい小花にチョウが止まり、木の実を鳥がついばむ。 

施主・島袋正敏さん(76)の温かな人柄がよく表れた、手作りの庭「蔓草庵」。
「ここにあるのは廃材ばかりだけど、僕には宝物に見える」と語る。瓦は解体された古民家から、アスファルトも廃棄するため割られた物をもらってきた。
花壇の中にまかれているのは畳を作る時に出た、イ草の切れ端だ。「これも友人からのもらいもの。イ草を敷くことで、雑草が生えにくくなるし保水率も上がる」と話す。

知恵と体を働かせて35年、コツコツ庭づくりを続けている。「毎日少しずつ手入れをしています。苦と思ったことは無い」
 


雑草を抑制するため、イ草の切れ端や枯れ草をまいている。「広い庭だが知恵をしぼり、薬を使わず雑草対策をしています」と島袋さん


赤瓦のオブジェも手作り
敷地内には泡盛資料館も


散策路を歩くと、かわいらしいユーフォルビアやオキザリスの花々が咲き誇り、そのそばではブロンズ色のドラセナの葉が目を楽しませてくれる。

頭上には真っ赤なオオベニゴウカンやピンク色のスリナムゴウカンの木々。

「花の少ない夏場でも、庭が寂しくならないよう、葉色が美しい植物をいろいろ植えています」。
クロトンやコリウス、ダイナミックな斑入り月桃も、島袋さんのお気に入りだ。

そんな植物の間から存在感を放つのは、赤瓦のオブジェ。孫たちともらいものの赤瓦を積み上げて造った。
「平たんな庭なので、こうした大きなオブジェを置いて起伏を付けています」

約750坪の敷地には庭だけでなく、島袋さんが長年かけて収集した泡盛を展示した泡盛資料館(入館料300円)もある。泡盛にまつわる道具なども展示されている。

「庭づくりも泡盛も、僕が好きなのはもちろんだけど、次世代に伝えていきたいんです」。庭には沖縄在来のキンカンなど、今は見ることが少なくなった貴重な植物も息づく。

正式名は「黙々100年塾 蔓草庵」。地道にひたむきに、さまざまな活動を続ける島袋さん。「庭も資料館も、完成はまだまだ先。じっくり作り続けたい」と楽しげに話した。


緑の隙間に見えるのは、島袋さんお手製の赤瓦のオブジェ。ユニークな波型の造形物が庭のアクセントとなっている


蔓草庵の入り口。右側の漆喰(しっくい)シーサーも30年以上前に「子どもと一緒につくりました」と島袋さん。その奥に見える建物が泡盛資料館。こちらもビニールハウスの骨組みなどを利用して、島袋さんが作った


130種ほどの植物が生育する蔓草庵の中で、島袋さんお気に入りの一つである「ふ入り月桃」。大きな葉に黄色の模様が入っている

黙々100年塾 蔓草庵
沖縄県名護市天仁屋前原764の1 ウカミマーチ下



かかしと看板が目印


編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1783号・2020年3月6日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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