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2019年12月27日更新

【プロがつくる庭】「見せない」演出 想像力かき立て

〈年末年始特別編〉プロがつくった庭を取り上げるシリーズの年末年始特別編。緑や石、木から、さまざまな世界を想像させる趣ある二つの庭を紹介する。

中村砂夫さん宅(名護市)
竹垣で切り取る「極楽」

中央の木片は庭にあったテーブルの天板だったが、ユニークな形から、庭師の仲村さんは「船に見立てようとひらめいた」



木片を船に見立てて

隠すことで想像力をかき立てる。中村砂夫(名護市)さん宅の庭は、そんな技が用いられている。

広大な庭だが、あえて途中に竹垣を設置し、一部だけを額縁のように四角く開けた。たった1枚、仕切りが入っているだけで、その先にあるソテツやヒカゲヘゴが別の空間にあるように見える。まるで絵画だ=下写真。

「仕切りの向こうはニライカナイ(極楽)のイメージ」と話すのは、庭の設計・施工を手がけたナカムラ造園土木の仲村弘喜代表。こちら側は「この世」。大きな木片が摸す船は、石や岩々の荒波を越えて、竹垣の向こうにあるニライカナイを目指す。「もともと庭にあった木製テーブルの天板から着想を得た」と話す。

もう一つ、「仕切り」にまつわるプロの技がある。それが沖縄伝統の竹垣「チヌブ」。道路との境目あるフクギ屋敷林と庭木の間に立っている。庭と屋敷林を同化させないようにし、樹形を引き立たせている。だが完全に分断してしまうのではなく、ひし形に開いた目から互いの緑を透かして見せている。

随所にさりげなくプロの技が光る庭だった。

 

竹垣の向こうは「ニライカナイ」のイメージ。ソテツやヒカゲヘゴなど沖縄らしい植物が息づく



写真右側の竹垣が「チヌブ」。フクギ屋敷林と庭を分け、庭木の樹形を際立たせる。だが完全に分断するのではなく、開いた目から互いの緑を透かす

設計・施工/
ナカムラ造園土木
098‐964‐5670



 




Nさん宅(八重瀬町)
立体感や水流 石と木で表現

もともと芝庭だったところを改庭。手前は玉砂利の枯山水。奥に行くほど高くして奥行きを演出。近接する隣家の印象を和らげる​


管理しやすい庭

約70坪の広々とした庭。以前は一面、芝だったが管理が大変だった。Nさんは、金勢造園の知念政徳代表に「見た目の良さはもちろん、管理のしやすい庭」を依頼した。

「もともとあったクロキを生かしながら、石を40~50トン入れて起伏のある和風庭園を作り上げた」と知念さん。手前には玉砂利の枯山水。曲線を多用して、なだらかな水の流れを表現した。そこに架かるアーチ型の石橋が趣を感じさせる。

庭の奥に行くほど高くなり、大きな石やクロキが枝を伸ばす。「高低差によって立体感を演出するとともに、近接する隣家の印象を和らげている」と説明する。

木々の足元にはサンダンカやツツジ、サツキなどの低木をぎっしり植栽し、雑草が生えにくいようにした。花が咲く低木をたくさん入れたのは、花好きの夫人からの要望。「特にサンダンカは、さまざまな品種を入れて多彩な花を楽しめるようにしている」

植物の間には渋い色味の本部石が配されている。琉球石灰岩の階段も設けられており、この白いラインが奥行きを強調する。「年月がたてば、琉球石灰岩も黒っぽくなって庭になじむ。経年変化も楽しんでほしい」

水は無くても流れが見え、高低差で実際以上の広がりを感じさせる。想像力をかき立てる庭だった。

庭を構成するのは渋い風合いの本部石だが、琉球石灰岩の階段も設けている。白いラインが奥行きを強調する
 

 

上から見た庭。木々と岩がバランスよく配されているのが分かる
 

設計・施工/金勢造園
098‐946‐7800


編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1773号・2019年12月27日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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