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2016年4月22日更新

木造編① 種類と特徴|構造のはなし[1]

住宅の耐久性はもちろん、間取りやデザイン、コストやリフォームのしやすさにも関わるのが躯体の構造。この連載では、代表的な構造体の特徴、メリットや注意点、長く住み続けるために考えておきたいことなどを、専門家が解説する。7月までの4回は、近年沖縄でも施工が増えている「木造住宅」を取り上げる。

三つの工法 空間構成に変化

近ごろ沖縄でも多く見られるようになった木造住宅。その工法は大まかに分けて、「軸組み工法」 「ツーバイフォー(2×4)工法」 「丸太組み工法」の3種類があります。

日本で主流の軸組み
日本で主流の工法が軸組みで、国内の木造住宅の約8割がこの工法で建てられています。
軸組みの躯体は、土台、通し柱と管柱、梁、筋交い、火打ち梁などで構成され、外力(耐震、耐風)には筋交い、火打ち梁などで抵抗します=図1。筋交いの代わりに構造用合板=用語解説参照=を面材として使用し、面としての構造強度を高くした方法も増えています。
空間デザインの点から見ると軸組みは、柱や梁を見せた造りがしやすく、構造がシンプルなので、将来において比較的、増改築がしやすいのが特徴です。
最近は、プレカット材(工場であらかじめ長さ、接合部などを加工した木材)を用いて、現場で組み立てるスタイルが増えています。この方法だと施工精度が高く、降雨などの影響を受けることなく5日程度で骨組みが完成します。

図1 軸組み工法​


柱や梁、筋交い等で補強した壁で建物を支える工法。2×4工法よりも設計の自由度が高く、増改築も比較的しやすい。

壁で支える2×4
二つめはツーバイフォー工法。正式名を「枠組み壁工法」と言います。ツーバイフォーは北米で発達、進化して広まった工法で、北米では9割の家がこの工法で建てられています。
躯体は2インチ×4インチなどの規格材を主流に構成され、床や壁、屋根に構造用合板を使用。ダイアフラム(床、壁、屋根の版)を構成して外力に抵抗します=図2。
空間デザインでは、小屋組みや吹き抜けなどを一体化した、高さにゆとりのある空間を造りやすいのが特徴です。
簡単な工法で骨組みに熟練した技術は必要がないため、施工精度にバラつきはあまりありません。しかし主要な構造材は輸入材。為替レート(円安/円高)などの影響を受けることもあり、最近はコスト高になっています。

図2 ツーバイフォー工法​


構造用合板を構造材に張り付け、壁や床などの面で建物を支える工法。軸組み工法と比べて、台風や地震などの揺れに強い。

井形状に組み重厚感
最後は丸太組み工法です。一般には「ログハウス工法」とも言われ、別荘やセカンドハウス、コテージなどに多く採用されています。
躯体は、丸太などの木材を水平に積み重ねて井形状の耐力壁を構築し、外力に抵抗する工法です=図3。ログ材そのものが仕上げ材となるのがこの工法の醍醐味で、ウッディーな内装が特徴。重厚感があり独特な外観が形成されるため、個性派の方に人気です。日本では校倉造りが同じ工法だと言われ、歴史的な建築では正倉院(奈良県)が有名です。

図3 丸太組み工法​


丸太などの木材を井形状に積み重ねた耐力壁で、建物を支える工法。ウッディーな内装、重厚感のある独特な外観が特徴。


この他にも耐力壁をパネル化した工法があるほか、最近では積層構造材=用語解説参照=をパネル化して構造体を形成する「CLT工法」も注目されており、大型建築物への採用が期待されています。

◆用語解説
・構造用合板/ベニヤ板を繊維方向に直交するように重ね、接着剤で貼り合わせて強度を高めた合板
・積層構造材/平板を各層の繊維方向が互いに直交するように重ね、接着・圧着した構造材



次回は、木造住宅のメリットについてお話します。


執 筆 者
よへな・ちぜん/アトリエPAD代表者。
那覇市出身。軸組み工法やツーバイフォー工法での木造建築から、鉄筋コンクリート造まで、幅広く住宅建築を手掛ける。南仏風など、スタイルにこだわった住宅を多く設計する。


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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1581号・2016年4月22日紙面から掲載

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