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2018年5月25日更新

【第4回沖縄建築賞】奨励賞 一般建築部門/「愛和保育園」(西原町)/前田慎氏(48)/アアキ前田

県内の優秀な建築物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」(主催/同実行委員会)。全28作品の中から、第4回の入賞作品6点が決定した。住宅部門正賞には漢那潤氏の「本部町の新民家」が、一般建築部門正賞には大嶺亮氏の「FFDunit」が選ばれた。

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奨励賞には、大々的に使われた花ブロックが印象的な保育園が選ばれた。

沖縄建築賞|奨励賞 一般建築部門「愛和保育園」(西原町)
東側から見た外観。花ブロックを大胆に取り入れながらも、固定用のフレームは見えない


奨励賞 一般建築部門
「愛和保育園」(西原町)

約3千個の花ブロック 保育室とホールを柔軟に

既製デザインで新提案リ
40周年を機に建て替えられた「愛和保育園」は、親子3代で通う家族もあるという。そこで建築士の前田慎氏は「心の原風景にある懐かしさ」を出すため、昔からある既製デザインの花ブロックで東面と南面を覆い、建物の顔とした。さらに全部で約3千個もの花ブロックをしっかり固定しつつもスッキリした印象にするため、外からは見えない固定用フレームを設計し導入。審査委員は「どこにでもある地場の建材を使い、新しいデザインと工法の提案をした」と評価した。
審査委員らの注目を集めたのが2階フロア。普段は保育室として建具で各クラスを仕切っているが、開け放てばフロア全体が約450人を収容できるホールとなる=下写真。これは、3階建てだった計画を、コストを抑えるため2階建てにしたことで生まれた工夫だが、「工事費高騰に対し、規模を縮小しつつも機能が損なわれないよう、フレキシブルな運用で解決している」と高い評価を受けた。
1階は好きなときに本を読めるよう廊下に本棚が並び、近くには段差に座ったり寝転んだりできる場所がある。送迎時に親子で本を読む光景も見られる。



                 




設計者/前田慎 氏(48)
アアキ前田

短い工期で大変でしたが、子どもたちが笑顔で生活しているのを見ると、やって良かったという気持ちになります。関係者の方々に感謝を申し上げるとともに、今後も愛和保育園が地域の風景としてあり続けてくれるとうれしいです。


 

審査講評 奨励賞 一般建築部門

「愛和保育園」

建築は様々な制約の中で設計者が取捨選択し、それが関係者の共感を得るという過程を経て成立する。選択には覚悟が伴い、共感には経験と情熱が必要となる。
この建築の評価は二つあり、昨今すべての設計者がぶつかる工事費高騰の壁に対し、規模を縮小しつつ機能を損なわないようにしたこと、つまり、集会ホールと保育室を同一フロアでフレキシブルな運用で解決したことである。
もう一つは、シンプルではあるがバランスの良いファサードとそれを実現するために考えられた見えないディテール。設計者本人が言うように、「どこにでもある地場の建材を使い、新しいデザインと工法」を提案した。
一方で、通風と遮光を同時にもたらす花ブロックに面する室内が水周りや階段等であることが残念であった。 この新しい提案が普及していくことを期待したい。



 

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1690号・2018年5月25日紙面から掲載

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